
私が起業したのは、今から16年前(2010年)のことです。
当時の私は、とにかく必死で、「これが正解だ」と思ったことを、がむしゃらにやっていました。
でも今振り返ると、遠回りだったなと思うことや、「もっとラクに進めたのに」と思うことも、たくさんあります。
もちろん、その経験があったからこそ、今の自分があるとも思っています。
ただ、もしも当時の自分に一つだけアドバイスできるとしたら。
「もう少し肩の力を抜いてもいいよ」
そう伝えたいです。
この記事では、16年前に起業した自分に向けて、今の自分が伝えたいことを、まとめてみました。
特に、これから起業する方や、開業したばかりの士業の先生にとって、何か一つでもヒントになれば嬉しいです。
(1)成功しているふりをしなくていい
起業したばかりの頃の私は、勝手に成功者のイメージを作り上げ、それを追いかけていました。
- オシャレなスーツを着て、
- 高そうなお店に行って、
- SNSにはキラキラした投稿をして…。
でも正直、これってかなり疲れます。
そもそも私は、そういうキラキラした場が得意なタイプではありません。
なのに、「成功とはこういうものだ」と思い込んで、無理に背伸びしていました。
今思えば、「成功しているふり」をすることに、エネルギーを使っていたんですよね。
でも本当に大事なのは、
“どう見られるか”ではなく、“どう在るか”です。
等身大の自分で仕事をしている人のほうが、結果的に信頼されます。
特に士業の先生は、「ちゃんとして見せなきゃ」と思いがちですが、
完璧に見せることよりも、誠実であることのほうが、ずっと大切です。
(2)長期目標はいらない
起業当初の私は、
「目標を明確にして、それに向かって進むべきだ」
と信じていました。
実際に、高額な目標達成プログラム(ナポレオン・ヒル・プログラムなど)にも参加しましたし、何度も目標設定をやり直してきました。
でも今は、長期目標は立てていません。
なぜかというと、時代も変わるし、自分の興味も変わるからです。
「3年後にこうなっていたい」と思っても、3か月後には、その目標自体がズレていることもあります。
それよりも大事なのは、
“今、自分がやりたいと思えること”
“今、目の前のお客様に価値を提供すること”
です。
最初から完璧な設計なんていりません。
小さく試して、ズレたら修正する。
その繰り返しで、十分です。
(3)事務所を拡大しなくていい
以前の私は、「会社は大きくするべきだ」と思っていました。
売上を伸ばして、人を増やして、どんどん拡大していくことが正解だと。
でも実際にやってみると、これがなかなか大変でした。
人が増えれば責任も増えますし、固定費も増えます。
そして何より、「自分がやりたい仕事」から少しずつ離れていく感覚がありました。
今の私は、小さなチームで、無理のない形で仕事をしています。
そのほうが、精神的にも、時間的にも、圧倒的に楽です。
大事なのは、“自分にとってちょうどいい規模”を見つけることです。
無理に拡大しなくても、十分に安定して、満足のいく仕事はできます。
詳しくは、以下もご参照ください。
>> 本「ステイ・スモール」書評・レビュー|小さな会社が成功する戦略とは?
(4)年収=自分の価値ではない
起業したばかりの頃は、「年収=自分の価値」のように感じていました。
売上が上がれば嬉しいし、
逆に下がれば、自分の価値まで下がったような気がしてしまう。
でも今は、そうは思っていません。
年収や売上といった数字は、あくまで“結果”であって、“自分そのものの価値”ではないからです。
数字を追いかけ始めると、
「もっと増やさなきゃ」
「まだ足りない」
と、どこまでも終わりがありません。
本当に大事なのは、
「自分が納得できる働き方ができているか」
「目の前のお客様に、ちゃんと価値提供できているか」
だと思います。
数字は大事です。
ただ、それに振り回されすぎないことも、同じくらい大事です。
(5)1日4~5時間でも、十分に成果は出る
起業当初の私は、「とにかく長く働かなきゃダメだ」と思っていました。
朝から晩まで働いて、休むことに罪悪感すら感じていました。
でも今は、そんなに長時間働いていません。
それでも、ちゃんと成果は出ています。
なぜかというと、
仕事の成果は「時間」ではなく、「質」で決まるからです。
人間の集中力には限界があります。
特に、文章を書いたり、戦略を考えたりするような仕事は、
長時間やればやるほど良くなる、というものではありません。
むしろ、
「集中して働く → しっかり休む」
この繰り返しのほうが、結果的にパフォーマンスは上がります。
士業は基本的に、労働集約型なので、長時間労働になりやすい仕事ですが、
「長く働くこと=良いこと」とは限りません。
短い時間で成果を出す働き方を、少しずつ作っていくほうが、長い目で見て、安定します。
(6)気の乗らない交流会は行かなくていい
起業したばかりの頃は、「人脈を広げないといけない」と思って、いろいろな交流会に参加していました。
でも正直なところ、あまり楽しくありませんでした。
その場では名刺交換をして、それなりに会話もするのですが、
後から思い返すと、ほとんど覚えていないんですよね。
むしろ、
「この時間で、本を読んだり、一人で考える時間に使ったほうが良かったな」
と思うことのほうが多かったです。
もちろん、交流会が合う方もいます。
ただ、合わないのであれば、無理に行く必要はありません。
本当に大事なのは、数を広げることではなく、必要な人と、しっかりつながることです。
それは必ずしも、交流会である必要はありません。
(7)見栄のための選択は、あとで苦しくなる
以前の私は、「こう見られたい」という気持ちで、いろいろな選択をしていました。
例えば、
- 少し背伸びした場所(タワーマンション)に住んでみたり
- 見た目を良く見せようとしたり(オーダースーツなど)
でも、そういう選択は、後からじわじわと自分を苦しめます。
なぜなら、“本来の自分”とズレているからです。
どこかで無理が出てきますし、続けるのも大変になります。
今は、「自分にとって心地いいかどうか」を基準に選ぶようにしています。
そのほうが、無理がなく、長く続けられます。
お客様が見ているのは、見た目ではなく、
「この人に任せて大丈夫かどうか」です。
見栄ではなく、本質で選ぶ。
そのほうが、結果的にうまくいきます。
(8)SNSは無理にやらなくていい
私はこれまで、
Facebook、X、Instagram、LinkedInなど、
いろいろなSNSを試してきました。
理由はシンプルで、「やらないといけない気がしたから」です。
でも実際にやってみて分かったのは、「自分はSNSがあまり好きじゃない」ということでした。
好きじゃないものは、やっぱり続きません。
そして、続かないものは、成果にもつながりません。
だから今は、自分が無理なく続けられる媒体(Youtube、ブログ、ポッドキャストなど)に、集中するようにしています。
士業の先生からも、「SNSをやったほうがいいですか?」というご質問をよくいただきます。
例えば行政書士の先生だと、X(旧Twitter)をやってる方が多い印象です。
もちろん、合う方には有効です。
ただ、全員に必要かというと、そうではありません。
一番大事なのは、“自分が続けられる方法で、集客すること”です。
無理に流行りに乗る必要はありません。
(9)眠いときは、ちゃんと寝たほうがいい
起業したばかりの頃は、「眠くても頑張るのが当たり前」だと思っていました。
でも実際は、その逆でした。
眠い状態で仕事をしても、集中力は落ちますし、判断力も鈍ります。
結果として、時間をかけたわりに、質の低いアウトプットになってしまいます。
一方で、しっかり寝た後の仕事は、驚くほどスムーズに進みます。
同じ1時間でも、生み出せる価値がまったく違います。
これは士業の仕事でも同じで、判断ミスや見落としは、後から大きなリスクになります。
だからこそ、「眠いときは寝る」というのは、甘えではなく、戦略です。
今は、睡眠は仕事の質を上げるための、前提条件だと思っています。
(10)仕事を前倒ししなくていい
その日のタスクが終わると、「明日の分もやっておこうかな」と思っていた時期がありました。
一見、真面目で良さそうに見えるのですが、実はあまり意味がありません。
なぜかというと、仕事というのは、
終わらせても終わらせても、次が必ず出てくるからです。
前倒ししても、その分、新しいタスクが同じスピードで流れ込んできます。
結果として、常に「やることがある状態」から抜けられなくなります。
それよりも、「今日はここまで」と区切るほうが大切です。
(11)土日は、しっかり休んでいい
以前の私は、土日でも普通に仕事をしていました。
メールが来たらすぐ返信して、少しでも前に進めようとしていたのです。
でも今は、土日は基本的に仕事をしません。
理由はシンプルで、そのほうが、
結果的にパフォーマンスが上がるからです。
休みなく働き続けると、気づかないうちに疲労が溜まり、思考も浅くなっていきます。
逆に、しっかり休んだ後の月曜日は、頭がクリアで、仕事の質も高くなります。
長く良い仕事を続けるためには、“休むことも仕事の一部”だと思っています。
(12)もっと「NO」と言っていい
起業したばかりの頃は、
- 断ったら嫌われるのではないか
- せっかくの機会を逃すのではないか
そんな不安から、いろいろなことを引き受けていました。
でも今は、違和感があるものは、できるだけ断るようにしています。
なぜなら、無理して引き受けた仕事は、
自分にとっても、相手にとっても、あまり良い結果にならないからです。
そして、時間もエネルギーも有限です。
合わない仕事に使ってしまうと、本当にやりたいことや、
大事にしたいお客様に使う時間が減ってしまいます。
“何をやるか”と同じくらい、“何をやらないか”も重要です。
断ることは、決して悪いことではありません。
(13)営業はしなくていい
私は営業が苦手です。
起業当初は、「営業ができないと売上は伸びない」と思い込んで、いろいろと努力してきました。
- 営業の本を読んだり
- 高額なプログラムに参加したり
でも、うまくいきませんでした。
理由はシンプルで、「向いていなかった」からです。
苦手なことを頑張っても、せいぜい人並みまでしか伸びません。
それよりも、自分の得意なことに集中したほうが、結果は出やすいです。
私の場合は、「文章を書くこと」でした。
コピーライティングを磨いたことで、自分が営業しなくても、
ホームページが代わりに営業してくれるようになりました。
士業の先生も、営業が苦手な方が多いですが、無理に克服しようとしなくても大丈夫です。
マーケティングの力で、「自然に選ばれる状態」を作ることはできます。
(14)好きなことをやったほうがいい
起業したばかりのころ、とあるマーケティング塾で
「高単価の商品を作ろう」
「もっと売上を伸ばそう」
といったことを教わりました。
それ自体は間違っていないと思います。
ただ、私の場合は、まったくワクワクしませんでした。
やろうと思えばできるかもしれない。
でも、やりたいとは思えない。
そんな状態で取り組んでも、やはり結果は出ませんでした。
そこで、「自分が本当に好きなことは何か?」
を考えたときに出てきたのが、セミナーでした。
人に話すこと、自分の考えを伝えることが、純粋に楽しかったのです。
そこに集中した結果、今のサービス(士業専門オンライン集客スクール:士業の学校)につながっています。
「儲かる業務」ではなく、「自分がやりたい業務」に寄せたほうが、
遠回りのように見えて、それが一番の近道になることもあります。
(15)もっと遊んだほうがいい
起業当初は、「遊んでいる時間=無駄」だと思っていました。
休むくらいなら、少しでも仕事を進めたほうがいい。
そう考えていたのです。
でも今は、遊ぶ時間こそ、大事だと感じています。
なぜなら、余白があるからこそ、新しいアイデアが生まれるからです。
ずっと仕事だけをしていると、思考がどんどん固くなっていきます。
一方で、趣味に没頭したり、家族と過ごしたりしているときに、
ふとした気づきや、新しい発想が生まれることがあります。
士業の先生も、真面目な方が多いからこそ、
意識的に「遊ぶ時間」を取ることが、結果的に仕事にもプラスになります。
遊びは無駄ではなく、“未来の成果につながる時間”だと思っています。
(16)やりたいことは、言葉にしたほうがいい
やりたいことがあっても、
「迷惑かもしれない」
「断られるかもしれない」
と考えて、言わずに終わってしまうことがあります。
以前の私も、そうでした。
でも実際には、言ってみると、意外とすんなり通ることが多いです。
むしろ、言わなければ、何も変わりません。
やりたいことを言葉にすることで、周りが協力してくれたり、新しいチャンスが生まれたりします。
これはビジネスでも同じで、
「こういう仕事をやりたい」
「こういうお客様と関わりたい」
と発信することで、自然とその方向に進んでいきます。
遠慮して何も言わないよりも、まずは言葉にしてみる。
それだけで、状況は大きく変わります。
(17)手紙や、人とのつながりを大切にしたほうがいい
今は、メールやチャットで、簡単にやり取りができる時代です。
とても便利ですが、その一方で、少し「軽く」なりすぎている気もします。
そんな中で、手紙のようなアナログなコミュニケーションには、独特の温かさがあります。
時間をかけて書くからこそ、気持ちが伝わる。
受け取った側も、しっかりと記憶に残る。
ビジネスにおいても、こういった「ひと手間」が、信頼関係を深めてくれます。
士業の先生にとっても、信頼は何より大事な資産です。
効率だけを追い求めるのではなく、人とのつながりを丁寧に育てることが、長期的には大きな差になります。
(18)家族との時間を、もっと大切にしたほうがいい
起業当初は、「今は仕事を頑張る時期だから」と考えて、家族との時間を後回しにしていました。
でも今は、それは少し違ったなと感じています。
仕事はいつでもできますが、家族と過ごせる時間には限りがあります。
子どもが小さい時期も、一緒に過ごせる時間も、
あとから取り戻すことはできません。
だからこそ、今この瞬間を大切にすることが重要です。
これは決して、「仕事をサボろう」という話ではありません。
むしろ、家族との時間を大切にすることで、心が満たされ、
結果として仕事の質も上がります。
(19)悩みや不安は、誰かに話したほうがいい
起業していると、どうしても一人で抱え込んでしまうことがあります。
- 「自分が何とかしなきゃ」
- 「弱音を見せちゃいけない」
そんなふうに思ってしまうからです。
でも実際には、誰かに話すだけで、気持ちが軽くなることがあります。
頭の中でぐるぐるしていたことも、言葉にして外に出すことで、整理されていきます。
私自身も、悩みや不安があるときは、妻に話すようにしています。
話すことで、自分の考えが明確になり、
「意外と大したことじゃなかったな」と感じることも少なくありません。
士業の先生も、責任ある立場だからこそ、孤独を感じやすいと思います。
だからこそ、一人で抱え込まず、誰かと共有することが大切です。
(20)もっと一人の時間を大切にしていい
起業当初は、「人と会うことが大事」「外に出て情報を得なきゃ」と思っていました。
もちろん、それも大切です。
ただ、それ以上に大切だったのが、“一人で考える時間”でした。
静かな場所で、誰にも邪魔されずに、自分の考えと向き合う時間。
この時間があるからこそ、本当に大事にしたいことや、進むべき方向が見えてきます。
周りの情報に触れすぎると、知らないうちに、他人の価値観に引っ張られてしまいます。
だからこそ、意識的に「一人になる時間」を取ることが重要です。
(21)健康を軽視しないほうがいい
起業していると、どうしても仕事を優先してしまい、健康のことは後回しになりがちです。
私も以前は、多少無理しても、仕事を優先していました。
でも今は、健康こそが土台だと考えています。
体調が悪ければ、集中力も落ちますし、判断力も鈍ります。
結果として、仕事の質も下がってしまいます。
逆に、しっかり睡眠をとり、体調を整えていると、
同じ仕事でも、スムーズに進みます。
仕事は、長く続けていくものです。
だからこそ、短期的な無理よりも、長く安定して働ける状態を作ることが大切です。
(22)結局、やってみないと分からない
ここまでいろいろと書いてきましたが、最後に一番伝えたいのは、
「結局、やってみないと分からない」ということです。
どれだけ本を読んでも、
どれだけ人の話を聞いても、
実際にやってみないと、本当の意味では理解できません。
私自身も、たくさんの失敗や遠回りをしてきました。
でも、その経験があったからこそ、今こうして、自分なりの考えを持てるようになったと思っています。
だからこそ、失敗を恐れすぎる必要はありません。
大事なのは、小さく試して、学びながら進んでいくことです。
あなたも、「これでいいのかな」と迷うことがあると思います。
でも、その迷いながら進んでいる過程こそが、経験となり、力になります。
まとめ
今振り返ると、起業したばかりの頃の私は、ずいぶん遠回りをしてきたなと思います。
ただ、その遠回りも含めて、今の自分があります。
もしこれから起業する方や、開業したばかりの方が、同じように悩んでいるのであれば、
今回の内容が、少しでもヒントになれば嬉しいです。
無理をしすぎず、自分に合ったやり方で、
一歩ずつ進んでいけば大丈夫です。
あなたの幸せを、心から願っています。






