
- 「行政書士として自宅で開業したいけれど、信用してもらえるだろうか」
- 「自宅事務所だと、ホームページから問い合わせが来ないのではないか」
こうした不安をお持ちの方も多いと思います。
士業専門Web集客コンサルタントの、大林亨輔(おおばやし こうすけ)です。
結論からお伝えすると、行政書士は自宅開業でも十分に仕事を取れます。
実際、自宅を事務所として開業しながら、ホームページや紹介などを通じて依頼を獲得している行政書士はいます。
大切なのは、事務所が自宅かどうかではありません。
「この先生なら、安心して相談できそうだ」と、依頼前のお客様に伝わっているかどうかです。
この記事では、自宅開業している行政書士のホームページや、行政書士本人の体験談、実際に依頼した方の口コミなどを調査した結果も踏まえ、集客で失敗しないための5つのポイントを解説します。
- 専門分野を絞る
- 来所しなくても依頼できる仕組みを作る
- ホームページで不安を先回りして解消する
- 人柄・実績・専門性を見せる
- 情報発信で信用を作る
これから自宅開業する方はもちろん、すでに自宅で開業しているものの集客に悩んでいる方も、ぜひ参考にしてください。
行政書士の顧客は、本当に自宅事務所を気にしているのか?
自宅開業を考えている先生から、よく聞くのが次のような不安です。
- 自宅だと、事業として本気ではないと思われそう
- 立派な事務所を構えている行政書士に負けそう
- 家の外観を見られたら、信用を失いそう
- お客様を自宅へ呼ぶことに抵抗がある
しかし今回、行政書士本人の体験談、行政書士へ依頼した方の口コミ、自宅開業している行政書士事務所のホームページなどを調べたところ、「自宅事務所だったから不安だった」「自宅だったため依頼しなかった」という趣旨の口コミは、ほとんど見つかりませんでした。
一方、高評価の口コミで繰り返し出てきたのは、次のような内容です。
- 説明が分かりやすかった
- 返信が早かった
- 親切に対応してくれた
- 専門知識が豊富だった
- 相談しやすかった
- 料金が分かりやすかった
もちろん、口コミに書かれていないだけで、事務所の場所や外観を気にする方がまったくいないとは言い切れません。
ただ、少なくとも今回の調査からは、お客様が最終的に評価しているのは「事務所の立派さ」よりも、説明・対応・専門性・人柄といった、依頼後の安心感につながる部分だと考えられます。
士業選びでは「事務所の規模」より「相性・人柄」が重視される
行政書士を対象とした調査ではありませんが、士業選びの参考になるデータがあります。
株式会社ビスカスが、税理士紹介サービスの利用者105名を対象に行った2026年の調査では、税理士選びで「相性・人柄」を重視した人は92.4%でした。
一方、「事務所の規模」を重視した人は29.5%にとどまっています。
税理士と行政書士では依頼内容が異なるため、この数字をそのまま行政書士に当てはめることはできません。ただ、専門家へ依頼する際に、事務所の大きさだけでなく「この人に相談しやすいか」「信頼して任せられるか」が重視されることを示す参考データにはなります。
出典:株式会社ビスカス「税理士選びの決め手は『相性・人柄』が9割超えで最多」(調査期間:2025年8月~2026年1月、有効回答数:105件)
引用:税理士紹介センタービスカス
つまり、自宅開業の行政書士が考えるべきなのは、豪華な応接室を用意することよりも、依頼前の不安を減らし、先生自身の信頼性を伝えることです。
ここからは、そのために実践したい5つのポイントを、具体的に解説します。
ポイント1.専門分野を絞る
自宅開業で仕事を取るために、最初に考えたいのが専門分野です。
「自宅だから信用されない」と思ってしまいがちですが、集客の現場では、それ以前に「何が得意な行政書士なのか分からない」ことのほうが大きな問題になりやすいのです。
例えば、ホームページに次のように書かれていたら、依頼者はどちらに相談しやすいでしょうか。
- 行政書士です。許認可から相続まで、何でもご相談ください
- 千葉県の建設業許可申請に対応。新規許可から更新・業種追加までサポート
後者のほうが、自分の悩みを解決してくれそうだと感じやすいはずです。
今回調べた自宅開業の行政書士事務所でも、建設業許可、相続、外国人の在留資格など、専門分野を明確に打ち出している例が多く見られました。
専門分野が明確になると、比較される軸を「事務所の大きさ」から「自分の悩みに詳しいかどうか」へ変えられます。
「専門」と書くだけでは不十分
ただし、ホームページに「建設業許可専門」と書くだけでは、十分な差別化にならないこともあります。
専門性を伝えるには、次のような情報も一緒に掲載しましょう。
- どの地域の申請に対応しているのか
- どのような事業者を支援しているのか
- 新規・更新・変更届など、どこまで対応できるのか
- 相談から許可取得まで、どのような流れで進むのか
- よくある失敗や注意点を解説した記事
- 対応経験やお客様の声
「専門です」という肩書きではなく、ページ全体で専門性を証明することが大切です。
ポイント2.来所しなくても依頼できる仕組みを作る
自宅開業でも、お客様を必ず自宅へ呼ぶ必要はありません。
実際、自宅開業している行政書士の中には、次のような方法を組み合わせ、来所しなくても相談・依頼できるようにしている方がいます。
- お客様の会社や自宅への訪問相談
- 貸会議室やコワーキングスペースでの面談
- ZoomやGoogle Meetを使ったオンライン相談
- 電話・メール・LINEによる連絡
- 郵送やクラウドを使った書類の受け渡し
業務によっては、相談から受任まで一度も事務所へ来てもらわずに進められます。
「自宅だから不利」と考えるのではなく、「自宅へ来なくても依頼できる流れを、どう作るか」と考えることが大切です。
対応方法はホームページに明記する
オンライン相談や訪問対応が可能でも、ホームページに書かれていなければ、お客様には伝わりません。
例えば、次のように具体的に書きましょう。
- 初回相談はZoom・電話・対面から選べます
- 平日18時以降のオンライン相談にも対応しています
- ○○市・△△市は訪問相談が可能です
- 書類は郵送でも受け付けています
- 対面相談は完全予約制です
お客様が「自分の場合は、どう相談すればよいのか」を想像できれば、問い合わせの心理的なハードルを下げられます。
なお、自宅住所の公開や防犯面が心配な方は、以下の記事も参考にしてください。
ポイント3.ホームページで不安を先回りして解消する
お客様が自宅事務所を見て不安になるとすれば、その原因は「自宅であること」だけではありません。
必要な情報が足りず、相談や訪問の様子を想像できないことが、不安につながっている場合もあります。
例えば、対面相談を受け付けるなら、お客様は次のような点が気になります。
- どこから入ればよいのか
- 看板や表札はあるのか
- 駐車場は使えるのか
- 予約は必要なのか
- 家族の生活空間に入ることはないのか
- 相談料はいくらなのか
- 相談後、どのような流れで依頼するのか
これらが分からないと、「なんとなく行きづらい」と感じ、問い合わせをためらう原因になります。
アクセス案内は「住所を載せるだけ」で終わらせない
今回調べた行政書士事務所の中には、住宅街にあるからこそ、曲がり角や目印を写真付きで説明しているホームページもありました。
アクセスページには、住所と地図だけではなく、必要に応じて次の情報も掲載しましょう。
- 最寄り駅やバス停からの道順
- 曲がり角や建物の目印
- 入口・インターホン・表札の写真
- 駐車場の位置と駐車できる台数
- 完全予約制であること
- 車椅子やベビーカーで来所できるか
また、料金、依頼の流れ、必要書類、よくある質問なども詳しく掲載すると、来所前だけでなく、問い合わせ前の不安も減らせます。
ホームページは、事務所を立派に見せるためのものではありません。お客様が安心して次の一歩を踏み出せるようにするためのものです。
ポイント4.人柄・実績・専門性を見せる
自宅事務所には、豪華な受付や多くのスタッフはいないかもしれません。
しかし、一人事務所には「相談した先生が、最初から最後まで対応してくれる」という安心感があります。
この強みを生かすためにも、ホームページでは「誰が対応するのか」をしっかり伝えましょう。
具体的には、次のような情報が役立ちます。
- 本人の顔が分かる自然な写真
- 経歴や保有資格
- 行政書士を目指した理由
- 現在の専門分野を選んだ理由
- 相談時に大切にしていること
- 対応件数や具体的な支援実績
- お客様の声
- 業務に関するブログや動画
実績が少ない開業直後は、何を見せればよいのか
開業直後は、掲載できる実績やお客様の声が少ないのが普通です。
その場合は、実績がないことを無理に隠したり、大きく見せたりする必要はありません。
まずは、次のような情報から充実させましょう。
- なぜ、その業務に取り組みたいのか
- 開業前の職歴や業界経験を、依頼者のためにどう生かせるか
- 相談時にどのような説明や対応を心がけるのか
- 業務について継続的に学んでいること
- 制度や手続きを初心者向けに解説した記事
実績を誇張するのではなく、現在伝えられる経験・姿勢・知識を、具体的な言葉にすることが信頼につながります。
ポイント5.情報発信で信用を作る
私が、自宅開業の行政書士に特におすすめしたいのが情報発信です。
よく知らない行政書士の自宅へ相談に行くのは、依頼者にとって少し勇気が必要かもしれません。
しかし、相談前にその先生のブログを読み、YouTubeを見て、考え方や話し方を知っていたらどうでしょうか。
「この先生なら、丁寧に説明してくれそう」
「この分野に詳しそうだから、一度相談してみよう」
そう感じてもらいやすくなります。
情報発信には、「知らない先生」を「一度話を聞いたことがある先生」に近づける働きがあります。
最初から複数の媒体を始めなくてもよい
情報発信というと、ブログ、YouTube、Instagram、X、TikTokなど、すべてを始めなければいけないように感じる方もいるかもしれません。
しかし、一人事務所で無理に媒体を増やすと、本来の業務や勉強の時間がなくなってしまいます。
まずは、自分の専門分野について、お客様からよく聞かれる質問を一つずつ解説するところから始めるのがおすすめです。
例えば、建設業許可を専門にするなら、次のようなテーマがあります。
- 建設業許可が必要になる工事金額
- 申請から許可までにかかる期間
- 開業直後でも許可を取れるのか
- 専任技術者の要件
- 自分で申請する場合と行政書士へ依頼する場合の違い
1本の記事ですぐに問い合わせが増えるとは限りません。
それでも、役立つ情報を積み重ねることで、検索から見つけてもらえる可能性が増え、相談前の信用も作りやすくなります。
私なら、浮いた家賃をホームページと情報発信へ投資する
私自身が、これから行政書士として独立するなら、最初は自宅開業を選ぶと思います。
理由は、事務所家賃という固定費を抑えられるからです。
開業直後は、毎月安定して依頼が入るとは限りません。売上がまだ安定していない段階で固定費を大きくすると、集客施策を試すためのお金や時間が減ってしまいます。
そのため私なら、最初から立派な事務所を借りるのではなく、浮いた家賃の一部を次のようなことに使います。
- 専門分野を伝えるホームページの整備
- 依頼者の悩みに答えるブログ記事の作成
- 必要に応じたリスティング広告
- 相談しやすくするためのオンライン環境
- プロフィール写真や説明資料の改善
もちろん、自宅開業がすべての方に向いているわけではありません。
家族のプライバシー、来客スペース、所属予定の行政書士会が定める事務所要件なども確認する必要があります。業務内容や生活環境によっては、賃貸事務所やレンタルオフィスが適している場合もあります。
ただ、「集客できるかどうか」だけを理由に、最初から高い家賃を負担する必要はないと、私は考えています。
なお、行政書士の開業資金の目安については、以下の記事もご参照ください。
>> 行政書士の開業資金を賢く節約!自宅 vs. レンタルオフィスのコスト比較
自宅開業の行政書士が確認したい集客チェックリスト
最後に、この記事で解説した内容をチェックリストにまとめます。
- 専門分野が、ホームページを見て数秒で分かるか
- どのような相談に対応できるか、具体的に書かれているか
- Zoom・訪問・貸会議室など、来所以外の相談方法があるか
- 料金や依頼の流れが分かりやすいか
- 来所時の入口・駐車場・予約方法を説明しているか
- 顔写真やプロフィールで人柄が伝わるか
- 実績やお客様の声を、可能な範囲で掲載しているか
- 専門分野に関する情報発信を続けているか
すべてを一度に完成させる必要はありません。
まずは不足している項目を一つ選び、今週中に改善してみてください。
まとめ:自宅かどうかより「安心して依頼できるか」が重要
今回は、行政書士が自宅開業でも仕事を取るためのポイントを5つご紹介しました。
- 専門分野を絞る
- 来所しなくても依頼できる仕組みを作る
- ホームページで不安を先回りして解消する
- 人柄・実績・専門性を見せる
- 情報発信で信用を作る
自宅だから仕事が来ない、というわけではありません。
お客様が見ているのは、事務所の大きさだけではなく、「この先生は自分の悩みに詳しいか」「安心して相談できるか」「分かりやすく対応してくれそうか」という点です。
自宅開業は、固定費を抑えながら事業を始められる合理的な選択肢です。
その利点を生かしながら、ホームページと情報発信を通じて信頼を積み重ねていけば、自宅事務所でも十分に集客の可能性を高められます。
なお、行政書士の自宅開業については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてお読みください。
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