
このブログでは、士業のホームページの中でも特に重要な「サービス紹介ページ」についてお話しします。
士業専門Web集客コンサルタントの、大林亨輔(おおばやし こうすけ)です。
多くの士業の先生は、例えば
- 社会保険労務士なら「労務相談」
- 行政書士・司法書士なら「相続手続き」
- 弁護士なら「離婚相談」
といった形で、サービスごとに紹介ページを作っていることが多いのではないでしょうか。
しかし実は、このやり方では反応が取れにくく、なかなか集客できないのです。
なぜなら、お客様は「サービス名」を探しているのではなく、自分の抱えている「悩みを解決してくれる人」を探しているからです。
つまり、ページを「サービス名ごと」に分けるのではなく、「お客様の悩みごと」に分けて作ることが大事なのです。
このブログでは、その理由と具体例を解説しながら、「響くサービス紹介ページの作り方」をご紹介していきます。
検索ユーザーの行動心理
ここでは、社会保険労務士の「労務相談」を例に解説します。
(他の士業も、考え方は同じです)
お客様は、漠然と「労務相談」のような、大きなくくりの言葉で検索することはほとんどありません。
この場合、お客様の悩みは、「労務相談したいなー」のようなフワッとした悩みではなく、実際には、もっと具体的な悩みや課題を抱えているのです。
例えば、お客様が検索するキーワードは、次のようなものが考えられます。
社労士に相談しそうなお客様が検索するキーワード(一例)
- パワハラ対策 社労士
- ハラスメント相談窓口 外部
- 問題社員 対応
- 労働基準監督署 立ち入り調査
では、こうした具体的な検索に対して、どのようなページを用意すれば問い合わせにつながりやすくなるのか?
次に、その具体例を見ていきましょう。
社労士のホームページ事例(労務相談の落とし穴)
実際のホームページを見てみると、社会保険労務士の先生が「労務相談を承ります」といった形で、「労務相談全般のサービス紹介ページ」を用意しているケースが少なくありません。
しかし、先ほど検索キーワードをご紹介したように、お客様は「漠然とした労務相談ではなく、以下のような個別具体的な悩みを解決したい」のです。
お客様の悩み(頭の中)
- 問題社員にどう対応すればいい?(解雇したいけど…)
- 労働基準監督署から急に連絡があったが、対応方法が分からない
- 社内でのパワハラやセクハラへの対応をどうすればよいか
これらは、社会保険労務士の視点から見れば、すべて「労務相談」に含まれる内容です。
しかし、お客様側からすれば「労務相談」ではないのです。
例えば、パワハラの対応で悩んでいる企業担当者が「労務相談を承ります」というページを見ても、「この先生は、本当にパワハラに詳しいのだろうか?」と疑問を持ってしまうのです。
逆に、「パワハラ対応でお悩みの企業様へ」というページが用意されていれば、「自分の悩みに直結するページだ」「この先生はパワハラに詳しんだ」と直感的に理解できます。
これにより、安心感を持って問い合わせや相談につながりやすくなるのです。
つまり以下のように、「サービス名ごと」ではなく「お客様の悩みごと」にページを分けたほうが、お客様の反応はよくなる(つまり、集客できる)のです。
(下の図を見ていただくと、先ほどの図との違いが一目で分かるかと思います)
つまり、同じ「労務相談」というサービスを提供していたとしても、悩みごとにページを分けるかどうかで、依頼者の受け止め方は大きく変わるのです。
超重要なポイント
社労士の視点から見れば、「問題社員もパワハラも、何を相談されても結局は同じ“労務相談”だから、サービス内容も料金も同じなんだけどなぁ」と思うかもしれません。
しかし、お客様から見たら、違うのです。
お客様が見ているのは「サービスメニュー」ではなく、「自分の悩みを解決してくれるかどうか」なのです。
だからこそ、悩み別にページを分けて「当事務所なら、その悩みを解決できます」と伝えることが、とても大切になるのです。
他士業の事例
ここまで社労士の「労務相談」を例に見てきましたが、同じことは他の士業にも当てはまります。
ここでは代表的な事例をいくつかご紹介します。
相続手続き(行政書士・司法書士など)
多くの事務所では「相続手続きなら、当事務所にお任せください」のように、ひとつのページでまとめてしまっています。
しかし以下のように、実際にお客様が抱えている悩みはもっと具体的です。
同じ「相続」でも、悩みはそれぞれ違う
- 身寄りがない「お一人様」の相続をどうすればよいか?
- ペットを残したい場合に、どんな手続きをすればいいのか?
- 相続人に外国人がいるが、どうすればいいのか?
このように、相続と一口に言っても状況は大きく異なります。
「相続手続きを承ります」というページを見ても、「自分の悩みに当てはまるのか?」と不安になるお客様は少なくありません。
一方で、「お一人様の相続でお悩みの方へ」「ペットがいる場合の相続ならお任せください」というページを用意すれば、「これは自分のことだ」と直感的に感じてもらえ、安心感を与えることができます。
なお、相続手続きについては、当ブログ内の別記事でも詳しく解説していますので、ぜひそちらもご参照ください。
>> 行政書士の相続業務は儲かる?集客と差別化戦略を徹底解説
離婚相談(弁護士)
弁護士に多い「離婚相談」も同じです。
「離婚相談を承ります」とまとめて書いても、確かに一定数の反応はあるかもしれません。
しかし実際には、離婚に関する悩みは具体的なテーマごとに異なります。
同じ「離婚」でも、悩みはそれぞれ違う
- 子どもの親権で悩んでいる
- 熟年離婚だから、退職金の財産分与が気になる
- 相手が不貞(浮気・不倫)したので、慰謝料を請求して離婚したい
こうした悩みはすべて「離婚相談」に含まれるものですが、お客様は「自分の状況に合ったページ」を探しています。
例えば「退職金の財産分与が気になる方へ」というページがあれば、当事者は「これは自分の悩みに答えてくれる」と直感でき、相談へとつながりやすくなるのです。
その他の事例(一例)
この考え方は、他の士業の業務にも広く当てはまります。例えば:
- 就労ビザ:外国人本人向け、企業向けにページを分ける
- 建設業許可:新規取得、更新、一人親方向けなど、状況別にページを分ける
- 障害年金:新規の申請(裁定請求)、審査請求・再審査請求でページを分ける
このように、士業が提供するサービスは「サービス名」でまとめてしまうと抽象的になり、お客様にとっては自分ごととして受け止めにくくなります。
だからこそ「悩み別にページを分ける」という工夫が、反応を高めるためにとても重要なのです。
「士業目線」と「お客様目線」の違い
士業の先生方の目線で考えると、「サービス名ごとにページを分ける」ほうが、一番整理されていて分かりやすく思えます。
社労士なら「労務相談」、行政書士・司法書士なら「相続手続き」、弁護士なら「離婚相談」…といった具合です。
ところが、お客様の立場からすると事情が異なります。
お客様が抱えているのは「サービス名」ではなく、「今まさに直面している具体的な悩み」です。
- 「問題社員の解雇をどうすればいいか」
- 「お一人様の相続で不安だ」
- 「退職金の財産分与がないと老後が大変…」
こうした悩みごとにページが分かれていれば、お客様は「この先生は自分の状況を理解してくれている」と感じやすくなります。
その結果、「この人なら安心して相談できそうだ」と思われ、問い合わせにつながりやすくなるのです。
つまり、「サービス名で整理されたページ」は士業の目線、
「悩みごとに分けられたページ」はお客様の目線。
お客様に響くのは、言うまでもなく後者なのです。
まとめ
士業ホームページの最大の落とし穴は、「サービス名でまとめてしまうこと」です。
「労務相談」「相続手続き」「離婚相談」といったサービス名ごとの整理は、士業の先生から見れば分かりやすくても、お客様から見れば漠然としていて自分ごととして受け止めにくいのです。
実際にお客様が探しているのはサービス名ではなく、
「問題社員にどう対応すればいいか」
「お一人様の相続をどう進めればいいか」
「老後のためにも財産分与できないと困る」
といった、自分の悩みに直結する具体的な解決策です。
同じサービスを提供していたとしても、悩み別にページを分けるだけで、お客様にとっての「響き方」も「安心感」も大きく変わります。
その結果、ホームページの集客力も向上します。
ぜひ一度、ご自身のホームページを見直してみてください。
「サービス名で分けてしまっていないか」
「お客様の具体的な悩みに寄り添えているか」
ぜひこれらを確認し、あなたのホームページを改善してみてくださいね。