
- 「行政書士として開業したいけど、まず何から準備すればいいの?」
- 「事務所は自宅にすべきか、レンタルオフィスにすべきか迷っている…」
- 「名刺や印鑑、備品ってどこまで必要なの?」
- 「資金や集客の準備をしないと、開業後に仕事がなくて失敗するのでは?」
もしあなたが、こうした不安や疑問を抱えているなら、この記事が解決のヒントになります。
士業専門Web集客コンサルタントの、大林亨輔(おおばやし こうすけ)です。
これまで、行政書士をはじめ、500以上の士業の先生方の開業・集客を支援し、安定した顧客獲得につながる仕組みづくりをお手伝いしてきました。
この記事では、行政書士の開業準備について、次のようなポイントをわかりやすく解説します。
この記事でお伝えすること
- 行政書士の開業準備で必ず押さえるべき流れ(登録・開業届などの手続き)
- 開業資金・事務所・備品など、準備に必要なお金とモノの整理
- 実務力を高める方法と、未経験でもスムーズに仕事を始めるための準備
- 開業準備で失敗した人の体験談と、成功した人との違い
- 開業前から差をつける「士業専門3ステップ集客ノウハウ」と成功事例
開業準備は「何から手をつけるか」が明確になっていないと、時間もお金もムダになり、最悪の場合は「仕事がない…」と後悔することになりかねません。
この記事を読めば、行政書士としての開業準備を体系的に理解し、成功するための道筋を具体的に描けるようになります。
ぜひ最後までお読みいただき、あなたの開業準備にお役立てください。
【無料PDF配布】行政書士開業準備チェックリスト
行政書士の開業準備とは?【全体像を整理】
試験合格後にやるべき準備の流れ(時系列フロー)
行政書士試験に合格した後、実際に独立開業するまでには、以下のような複数の準備ステップがあります。
流れを把握しておくと「何から始めればいいのか」が明確になり、効率よく行動できます。
開業資金を準備する
- 登録費用(20~30万円前後)
- 初期備品・設備費
- 運転資金(生活費を含め半年~1年分)
※最低でも200万~300万円を用意できると安心
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事務所の準備
備品の準備
実務の勉強を始める
行政書士会への登録申請
- 書類準備(住民票・資格証明・誓約書など)
- 行政書士会に申請し、審査を受ける
事務所調査・登録証交付
- 行政書士会による事務所訪問調査
- 登録証交付式・入会式に出席
営業ツール準備
- ホームページを準備(登録完了まではパスワード制限をかけて、非公開にしておくと安心)
- 挨拶状の配布や人脈への告知を開始
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税務署に開業届を提出
- 「開業届」「青色申告承認申請書」を提出
- 税務面で正式にスタート
この流れを押さえるだけで、開業準備の全体像を「地図」として理解できるようになります。
準備を怠ると、失敗・廃業リスクが高まる…
行政書士の廃業理由の多くは、特別なスキルや人脈の不足ではなく 「準備不足」 にあります。
代表的な失敗例は以下の通りです。
- 資金計画の甘さ:半年も経たずに資金ショート
- 集客準備を後回し:開業したものの「仕事がない」と悩む
- 実務力不足:最初の案件でつまずき、顧客からの信頼を失う
特に多いのが「集客の準備不足」です。
どんなに資格があっても、顧客から選ばれなければ仕事は始まりません。
実際、士業に限らず、中小企業の廃業理由の7割以上が「販売不振」つまり、「集客の不足」によるものです。

逆に、資金・事務所・備品・実務・集客の準備を体系的に進めておけば、開業直後から安定したスタートを切ることもできます。
開業準備は「やらなかったから失敗した」と後悔する人が多い分野です。
最初の段階で正しい手順を押さえておくことが、長期的な成功の分かれ道となります。
それではここからは、先程ご紹介した各ステップを、詳しく解説していきます。
Step1:開業資金を準備する
行政書士として独立開業するには、まず最初に「資金計画」を立てることが欠かせません。
せっかく開業しても、途中で資金が足りなくなってしまうと、事務所運営が滞るだけでなく、最悪の場合は廃業につながるリスクもあります。
参考までに、自宅開業の場合の開業資金の目安を、以下にご紹介します。
自宅開業でかかる開業資金
開業資金(初期費用)
| 入会金+登録料+登録免許税+会費 | 約30万円 |
|---|---|
| 実務書や講座参加費 | 約25万円 |
| 書式集 | 約5万円 |
| パソコン | 約10万円 |
| 事務所備品(デスクや応接スペース、書庫など) | 10~15万円 ※中古を活用するなどして、できる限りおさえましょう。 |
| 通信環境の確保(電話機、複合機、回線工事など) | 約8万円 |
| 名刺、開業の挨拶状など紙媒体 | 約4万円 |
| 印鑑(職印、銀行印、ゴム印、印鑑ケース) | 約2万円 |
| 表札 | 約1万円 |
| 家賃(事務所を借りる場合) | ※最初は自宅開業で、コスト削減しましょう。 |
| 合計 | 約100万円 |
運転資金(ランニングコスト1)
| 行政書士会の会費、支部会費 | 約1万円/月 ※地域によって若干差があります。 |
|---|---|
| 水道光熱費や通信費 | 約1万円/月 |
| その他備品、消耗品、交通費など | 約2~3万円/月 |
| 家賃(事務所を借りる場合) | ※最初は自宅開業で、コスト削減しましょう。 |
| 合計(半年分なら) | 約5万円/月 ⇒ 半年で30万円 |
| 合計(1年分なら) | 約5万円/月 ⇒ 年間60万円 |
生活費(ランニングコスト2)
| 生活費 | 約15万円/月 ※個人差があります。 |
|---|---|
| 合計(半年分なら) | 約15万円/月 ⇒ 半年で90万円 |
| 合計(1年分なら) | 約15万円/月 ⇒ 年間180万円 |
マーケティング予算
| ホームページ制作費 | 約30万円 |
|---|---|
| 毎月のランニングコスト(サーバーやドメインの 維持費、Web集客の専門家に相談など) |
約2万円/月 ⇒ (半年分なら)12万円、(1年分なら)24万円 |
| (できれば)広告費 | 約5~10万円/月 ⇒ (半年分なら)30~60万円、(1年分なら)60~120万円 ※計算しやすいように、「半年分なら、50万円」 「1年分なら、100万円」と仮定 |
| 合計(半年分なら) | 92万円 |
| 合計(1年分なら) | 154万円 |
上記を合計すると、準備しておくべき資金は、以下のようになります。
半年分なら
1年分なら
資金準備の段階で「どこにどれくらい投資すべきか」を整理することが、開業後の安定運営につながります。
例えば「机や椅子は中古で十分」「ホームページはプロに投資する」など、優先順位を決めておくと無駄な出費を防げます。
(関連記事はこちら)
>> 行政書士の開業資金を賢く節約!自宅 vs. レンタルオフィスのコスト比較
Step2:事務所の準備
行政書士として独立するためには、まず事務所を構える場所と名称を決める必要があります。
「どこで開業するか」「どんな事務所名にするか」は、後々の集客にも影響を与える大切なポイントです。
自宅開業 or レンタルオフィスを決定
事務所を構える際、多くの行政書士が悩むのが「自宅開業か?レンタルオフィスか?」ではないでしょうか。
事務所が決まれば、自動的に住所も決まります。
自宅開業のメリット
- 初期費用やランニングコストを抑えられる
- 通勤の必要がなく効率的
- プライベートとの切り替えを工夫すれば長期的に安定運営できる
自宅開業のデメリット
- 生活空間と業務空間が混ざりやすい
- 来客対応には工夫が必要
- 家族の理解や協力も求められる
レンタルオフィス開業のメリット
- 立地が良い場所に事務所を構えられる
- 来客対応がしやすい
- 設備(会議室・ネット環境)が整っているケースが多い
レンタルオフィス開業のデメリット
- 毎月の固定費がかかる
- 集客・マーケティングに回せる予算が減る
実際には、行政書士の約6割が自宅開業を選んでいます。
ただし、自宅開業の場合には「事務所としてのレイアウト」が重要です。
生活感を排し、顧客対応ができる環境を整える必要があります。
(関連記事はこちら)
>>行政書士の6割が自宅開業。間取りや条件、レイアウト例を徹底解説
事務所名を決める
事務所の場所を決めたら、次は 事務所名(屋号) を決めましょう。
最近は、氏名を入れた「たなか行政書士事務所」のような名称だけでなく、目的や将来性を考えて以下のような事務所名も増えてきましたね。
- ■■駅前行政書士事務所(事務所名を見ただけで、立地が分かりやすい)
- グローバル▲▲行政書士事務所(国際的なイメージ:ビザなどを扱う場合など)
(関連記事はこちら)
>> 事務所名(屋号)の決め方。集客(SEO対策)への影響は?
Step3:備品の準備
行政書士として業務を行うためには、最低限の備品を整えておく必要があります。
この準備が不十分だと、行政書士会の事務所調査で不適格と判断される可能性もあるため注意が必要です。
必須備品
| 机(デスク)・椅子 | 落ち着いて作業できる環境を整えることが基本 |
|---|---|
| パソコン | もはや必須 |
| 書庫や金庫(鍵つき) | 顧客書類や契約書、貴重品などを安全に保管するため |
| プリンター・スキャナー | 紙のやり取りも多いため兼用タイプがおすすめ |
あわせて準備すべきもの
| 印鑑(職印、銀行印、ゴム印、印鑑ケース) | 契約書や申請書類で使用 |
|---|---|
| 表札(看板) | 事務所には「行政書士事務所」であることを示す表示が必要 |
| 名刺 | 最初の営業ツール。信頼感を与えるデザインを意識する |
| 挨拶状 | 開業を知らせるために役立ち、人脈から最初の案件につながるケースもある |
| 実務書や書式集 | 各業務の流れや書類作成の基本が体系的にまとまっている。開業直後の業務処理に欠かせないため、早めに揃えておくと安心 |
備品準備は「開業に必要だから買う」というだけでなく、顧客に信頼感を与える環境づくりでもあります。
特に名刺は「自分をどう見せるか」を考えるきっかけになりますし、仕事につながるかを左右するものでもあるので、しっかりと作り込みたいところです。
(関連記事はこちら)
>> 行政書士は名刺を3種作ろう│仕事・紹介を生むポイント解説
Step4:実務の勉強を始める
行政書士として開業準備を進めるうえで、多くの人が見落としがちなのが「実務の勉強」です。
資格に合格しただけでは、実際の業務に対応できるわけではありません。
開業後すぐに案件が来ても困らないように、早い段階で実務スキルを身につけておくことが大切です。
1. 自分が取り組む業務(専門分野)を決める
行政書士の業務は幅広く、相続・建設業許可・ビザ・会社設立・飲食店営業許可など多岐にわたります。
すべてに手を広げるのは非効率なので、まずは自分が集中して取り組む分野を選びましょう。
専門分野の選び方のポイントは以下の通りです。
- 市場の需要があるか(Web集客するなら、検索数が多いか?はとても大事)
- 報酬単価が適正か(効率的に収益につながるか)
- リピートや紹介につながりやすいか
- 自分の興味や強みに合っているか
以下の関連記事も参考になると思います。
行政書士向け「専門分野の選び方」参考記事はこちら
お勧めの専門分野(一例)
2. 実務書・書式集で体系的に学ぶ
開業直後に役立つのが、実務書や書式集です。
申請書類のフォーマット、業務の進め方、必要なチェックポイントが体系的にまとまっているので、最初の実務対応の不安を軽減してくれます。
3. 講座やセミナーを活用する
各行政書士会や民間スクールでは、実務に特化した講座や研修が開かれています。
独学だけでなく、現場経験を持つ講師から学ぶことで、実際の業務の流れをイメージしやすくなります。
4. 先輩行政書士から学ぶ
もし身近に先輩行政書士がいるなら、積極的に質問してみるのもおすすめです。
現場でしかわからないコツや失敗談を聞けるのは、大きな学びになります。
資格に合格しても「実務経験ゼロ」では、開業直後に案件が来た時に大きな壁にぶつかってしまいます。
早い段階で勉強を始め、最低限の実務処理ができる準備を整えておくことで、安心して開業に踏み出せます。
(関連記事はこちら)
>> 行政書士の実務の勉強法×7 & 実務経験の積み方×5。新人さん必見
Step5:行政書士会への登録申請
開業する際には、まず所属予定の都道府県の行政書士会に登録申請を行います。
手順としては、以下のような流れになります。
- 各都道府県の行政書士会ホームページで、提出書類や必要費用を確認
- 書類や添付資料を準備
- 事前予約のうえ、行政書士会の窓口に本人が持参して申請
提出内容や費用は地域によって異なりますが、ここでは東京都行政書士会を例に、必要な書類と費用を整理しました。
提出書類の一例(東京行政書士会の場合)
※最新の情報は、必ず所属会をご確認ください。
| 書類名 | どんなもの? | どこで手に入る? |
|---|---|---|
| 行政書士登録申請書 | 登録の本体書類 | 東京都行政書士会サイトの様式(窓口案内ページ)から入手・配布 |
| 履歴書 | 指定様式の履歴書 | 同上(様式一式) |
| 誓約書 | 欠格事由等に関する誓約 | 同上(様式一式) |
| 東京都行政書士会入会届 | 都行政書士会への入会届出 | 同上(様式一式) |
| 行政書士となる資格を証する書面 | 試験合格者は合格証原本提示 | 合格証は本人保有。証明書は各所属会等で発行。要件は会案内に記載。 |
| 住⺠票 | 本籍記載必須、発行後3か月以内 | 住民登録地の市区町村窓口 |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村発行。破産等の欠格事由に該当しない旨の証明。発行後3か月以内 ※運転免許証・パスポート・保険証等ではありません。 |
本籍地の市区町村窓口 |
| 顔写真 | 3cm×2.5cm/カラー/無帽/正面上半身/無背景/裏面に氏名。履歴書・入会届貼付分含む同一写真5枚。 | 写真店・証明写真機で撮影。要件は会案内に記載。 |
| 入会届(個人) | 会への入会届。日付は申請日、申請書と同一印を押印。FAX番号がなければ「なし」と記入。 | 行政書士会の指定様式(様式第1号の1) |
| 戸籍抄本(該当者のみ) | 旧姓使用希望や氏名変更がある場合に提出(発行後3か月以内)。 | 本籍地の市区町村窓口 |
| 事務所の使用権を証する書面 | 形態別に必要:自宅以外は登記事項証明書写し/賃貸借契約書写し/所有者の使用承諾書(規定様式)等。 | 登記事項証明書は法務局、契約書は賃貸人等、承諾書は会の規定様式。詳細は会案内を参照。 |
| 事務所写真(規定の用紙に添付して提出) | 外観・入口・表札/ポスト表示、内部(独立性・PC・書類保管場所が分かる)を撮影、撮影1か月以内。 | 写真貼付用紙は会の様式。撮影は自前で可。要件は会の案内に明記。 |
| 事務所内部の配置図 | 机・椅子・事務機器等の配置を図示。執務場所や写真番号も記入し、面積を付記。 | 自作(手書き・PCどちらでも可) |
| フロア図 | 自宅や集合住宅、商業ビル、レンタルオフィス等で事務所を設ける場合に提出。玄関から事務所までの経路を図示。 | 自作(建物の図面をベースに作成) |
お金関係
| 書類名 | どんなもの? | どこで手に入る? |
|---|---|---|
| 収入印紙(3万円) | 登録免許税。1枚3万円の収入印紙。貼付せずに持参。 | 郵便局などで購入 |
| 登録手数料・入会金の振込票控え | 事前に22万5,000円を指定口座へ振込。振込控えを提示(ネット振込なら画面印刷)。 | 銀行にて |
| 会費21,000円(現金) | 申請当日に現金で持参。内訳:会費3か月分18,000円+政治連盟会費3,000円。 | 当日窓口で納付 |
場合により必要なもの
| 書類名 | どんなもの? | どこで手に入る? |
|---|---|---|
| 戸籍抄本(該当者のみ) | 旧姓使用希望や氏名変更がある場合に提出(発行後3か月以内)。 | 本籍地の市区町村窓口 |
| 共同・合同事務所届出(該当者のみ) | 他の行政書士や士業と同じ部屋に事務所を設置する場合に必要。事務所所在地・士業者名・経費分担方法を記入。現況届も併せて提出。 | 日行連書式7 |
Step6:各行政書士会による事務所調査・登録証交付
登録申請が受理されると、行政書士会による事務所調査と、登録証交付式・入会式が行われます。
1. 事務所調査
行政書士として業務を行うには、事務所が一定の基準を満たしている必要があります。
東京都行政書士会の場合、基本的には提出した事務所写真で確認されますが、場合によっては実地訪問が行われることもあります。
確認される主なポイントは次の通りです。
事務所調査で確認される主なポイント(一例)
- 独立性が確保されているか(自宅の一角でもOK。ただし居住スペースと明確に区分が必要)
- パソコンやプリンターなど、業務に必要な備品が揃っているか
- 書庫や金庫など、顧客の書類を安全に保管できる環境があるか
- 表札・ポストに事務所名が明示されているか
これらが不十分な場合、登録が認められないこともありますので、申請前に整えておくことが大切です。
2. 登録証交付式・入会式
事務所調査を無事にクリアすると、登録完了通知とあわせて行政書士会の入会式案内が届きます。
入会式は、各都道府県の行政書士会本部で開催され、ここで正式に行政書士としての第一歩を踏み出すことになります。
当日の主な流れは次の通りです。
- 登録証の交付
- 会員バッジの授与
- 規則集や名簿など各種資料の配布
- 新入会員としてのオリエンテーション
この場は、同時期に開業する多くの行政書士と出会える機会でもあります。
人脈づくりの場としても非常に重要ですので、必ず出席しましょう。
また、名刺交換が盛んに行われますので、十分な枚数の名刺を持参して臨むと安心です。
入会式を終えると、いよいよ正式に行政書士として開業できるようになります。
Step7:営業ツール準備(主にホームページ)
登録が完了したら、いよいよ営業ツールの準備に取りかかります。
ここからが本格的な集客のスタートです。
行政書士の集客のメインのツールになるのが、ホームページです。
名刺やチラシ以上に、信頼感や専門性を伝える中心ツールになります。
注意点として、登録完了前に公開してしまうのは避けましょう。
公開する場合は、パスワード制限をかけて非公開設定にしておくのが安心です。
なお、営業ツールを整えることは第一歩に過ぎません。
実際に仕事につなげるためには、どの分野で集客するか、どうやって信頼を築くかといった戦略が不可欠です。
ここは非常に重要なテーマになりますので、この記事の後半でも改めて詳しく解説します。
Step8:税務署に開業届を提出
行政書士会での登録が完了したら、次はいよいよ税務署への届出です。
この手続きをもって、税務面でも正式に「個人事業主」としてスタートできます。
提出すべき書類は大きく分けて3種類あります。
- 税務署に出すもの(①開業届、②青色申告承認申請書)
- 都道府県税事務所に出すもの(③個人事業税の事業開始等申告書)
これらはすべて無料で入手できます。
控えを受け取っておくと、補助金申請や融資の際に「事業を開始した証明」として活用できますので、忘れずに手元に残しておきましょう。
以下に、それぞれの書類の内容と入手先を一覧にしました。
| 書類名 | どんなもの? | どこで手に入る? |
|---|---|---|
| 個人事業の開業・廃業等届出書(通称:開業届) | 事業を開始したことを税務署に届け出る書類。氏名、屋号、事業概要、開業日などを記入。 | 税務署窓口、国税庁ウェブサイトでPDFダウンロード可 |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 青色申告制度を適用して申告を行いたい旨の申請書。 | 所轄税務署窓口、国税庁ウェブサイトに様式あり |
| 事業開始等申告書(個人事業税) | 個人事業税の課税対象となる事業の開始を都道府県税事務所に届け出るもの(税務署ではなく都道府県税事務所提出)。 | 各都道府県税事務所、市町村役場窓口、自治体HP |
補足ポイント
- 開業届は、「事業開始した日から1ヶ月位内」に提出する必要があります(つまり、開業してから提出してもOK、ということです)。
- 青色申告承認申請書は「開業から2ヶ月以内」に提出する必要があります。
- 開業届は提出後、控えに受理印をもらっておくと、補助金申請や融資申請等で証明書として使えるケースがあります。
行政書士として開業するメリット・デメリット
「ここまで準備の流れを見てきたけれど、そもそも行政書士として開業する価値があるのか?」
そう感じている方のために、メリットとデメリットを整理しました。
行政書士で開業するメリット
| ライフスタイルに合わせて働ける | 勤務時間や場所を自分で決められる |
|---|---|
| 年齢を問わず働ける | 定年がなく、60代以降も活躍できる。「人生100年時代」と言われる今だからこそ。 |
| 開業ハードルが低い | 弁護士・税理士など他士業に比べ、独立開業までの道が短い |
| 他業種に比べ、資金が少なくても開業できる | 自宅開業なら初期投資を抑えられる |
| 成功すれば高収入も可能 | 特化分野を確立すれば年収1,000万円超も狙える |
行政書士で開業するデメリット
| 経営も実務もすべて自分 | 営業・会計・業務処理を一手に担う必要がある |
|---|---|
| 顧客は自分で確保 | 会社員と違い、仕事は待っていても来ない |
| 収入の安定性が低い | 特に開業初期は「仕事がない」リスクが高い |
| 需要に左右される | 専門分野によっては景気や政策の影響を強く受ける |
| 税務処理の負担 | 確定申告・帳簿付けなども自己管理が必要 |
このメリットとデメリットの見方(私の考え)
もちろん、どんな仕事にもメリットとデメリットは存在します。
ただ、私自身は「行政書士の仕事は、独立開業に非常に向いている」と考えています。
理由1.少ない開業資金で独立できる
理由のひとつは、開業資金の少なさです。
一般的に飲食店や小売業を始める場合は、数百万円~数千万円の設備投資が必要になります。
しかし行政書士であれば、200~300万円程度の資金があれば開業可能です。
これは大きな魅力です。
理由2.年収1,000万円超えも狙える
さらに注目すべきは、少ない開業資金でも高収入を狙える点です。
行政書士会のデータによれば、約9.5%(10人に1人)が年収1,000万円を超えているとされています。
一方で、日本全体で年収1,000万円を超えている人は国税庁の統計(令和5年)で、5.5%程度。
つまり、行政書士は日本全体と比べて約1.72倍も高収入を得やすい職業なのです。
実際、当社がサポートしている行政書士の先生方の中にも、年収1,000万円を突破している方が複数いらっしゃいます。
理由3.10人に1人=行政書士試験の合格率と同じ
「年収1,000万円超えは、行政書士の約10%」と聞くと、なんだか少ないような気もするかもしれません。
しかし、思い出してください。
あなたが合格した行政書士試験の合格率は、例年10~13%ほどなのです。
つまり、割合としては、ほぼ同じ。
私は、十分に希望が持てる数字だと思います。
だからこそ、行政書士として開業する方には、ぜひ夢を持って挑戦してほしい。
この仕事は大きな可能性を秘めています。
行政書士として成功するためのカギは「集客」にあり
ここまで見てきたように、行政書士の開業は他業種に比べて初期投資が少なく、さらに努力次第で年収1,000万円を超える可能性も十分にあります。
しかし、そのためにはただ登録して開業するだけでは不十分です。
実際に年収1,000万円を超えている先生方に共通しているのは、「安定して相談や依頼が集まる仕組み」を持っているという点です。
つまり、成功のカギは「集客・マーケティング」なのです。
では、営業が苦手な行政書士でも、安定して集客を実現するには、どうすればよいのでしょうか?
その答えが、私たちが提唱している 「士業専門3ステップ集客ノウハウ」 です。
ここからは、行政書士の先生が開業後に安定して案件を獲得するための、実践的な3ステップ戦略を解説していきます。
行政書士の集客を成功させる3ステップ
行政書士として開業後に安定して案件を獲得するためには、営業の得意・不得意に関係なく「仕組み化された集客」が必要です。
私たちはそれを 3ステップ集客ノウハウ として体系化しています。
Step1:「集客できる専門分野」を選ぶ
行政書士の業務は、それこそ何百種類とありますが、「なんでもできます」では選ばれにくいのが現実です。
依頼者は「相続に強い行政書士」「建設業許可の専門家」といった、明確な専門性を求めています。
まずは、需要や単価、リピート性、競合状況を踏まえて「勝てる専門分野を絞り込むこと」が第一歩です。
Step2:ホームページの「文章」で信頼を伝える
依頼を獲得できるかどうかは、ホームページの「見せ方」に大きく左右されます。
専門性、実績、代表者の想いを明確に伝えることで、「この先生なら安心できる」と感じてもらえます。
特に文章の質は重要で、信頼感や共感を与えることで、ホームページの集客力や受注率は大きく変わります。
Step3:「質の高いアクセス」を集める
アクセスの「数」が多くても、依頼につながらなければ意味がありません。
大事なのは、アクセスの「質」です。
「業務名 × 地域名」や「代行」「申請」などの今すぐ系キーワードを狙うことで、ホットな見込み客を集めることができます。
こうしたアクセスを増やすことが、安定的に依頼を獲得する近道です。
さらに詳しく学びたい方へ
ここでご紹介した内容は、あくまで要点です。
より具体的な方法や実際の事例は、この場で文章だけだと伝えづらいので、
私たちが提供している 「士業専門3ステップ集客ノウハウ:ベーシック講座」 で詳しく解説しています。
営業が苦手でも安定して集客できる方法を、動画と資料で体系的に学べますので、ぜひご活用ください。
【無料】「士業専門3ステップ集客術:ベーシック講座」は、こちら
あなたが今日、手に入れるもの
- 士業専門3ステップ集客法ベーシック講座(セミナー動画:全83分)
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行政書士の成功事例|3ステップ集客で成果を出したケース
実際に3ステップ集客ノウハウを取り入れた行政書士の先生方からは、数多くの成功事例が生まれています。
ここでは代表的な2つのケースをご紹介します。
事例1:建設業許可に特化し、開業1年で年商1,000万円を突破
K先生は、開業当初は「相続・会社設立・建設業許可」など幅広く対応していました。
しかし、問い合わせはほとんどなく、不安な日々が続いていました。
当社のサポートでは、まず「専門分野の絞り込み」に着手。
K先生の過去の経験や地域の需要を分析し、「建設業許可」に特化する方針を打ち出しました。
ホームページもそれに合わせて全面的にリニューアル。
結果、わずか1年で年商1,000万円を突破。
「専門性を打ち出すことが、ここまで結果を変えるとは思わなかった」とご本人も驚かれていました。
事例2:ビザ全般から「就労ビザ」に絞り、月10件超の問合せ獲得
T先生は、ビザ業務全般を扱うホームページを自作していましたが、競合の多さから問合せが増えませんでした。
分析の結果、ニーズの高い「就労ビザ」に特化する戦略を採用。
情報発信の切り口を整理し、SEOキーワードも「就労ビザ専門」に絞り込みました。
その結果、毎月10件以上の問い合わせを安定して獲得。
さらにリピートや紹介にもつながり、企業顧問契約にも発展しています。
成功する人に共通していること
これらの事例に共通しているのは、以下の3点です。
成功事例の共通点×3
- ①勝ちやすい専門分野に絞ったこと
- ②ホームページで専門性を的確に伝えたこと
- ③温度の高い(ホットな)アクセスを集めたこと
「何でもできます」ではなく、「この分野なら任せてほしい」と打ち出すことが、集客成功の最大のポイントです。
行政書士として成功している先生方も、最初から特別なスキルや人脈を持っていたわけではありません。
正しい戦略を選び、着実に実行したことで成果をつかんでいます。
つまり、「誰でも可能性がある」ということです。
あなたも正しい準備と集客の仕組みを整えれば、十分に成果を出すことができます。
開業準備で失敗しやすいポイント
ここまで、成功のポイントをお伝えしてきましたが…
逆に、失敗のリスクについても触れておきたいと思います。
廃業してしまった行政書士の体験談:まとめ
| お名前 | 廃業までの期間 | 後悔の理由・背景 | 出展 |
|---|---|---|---|
| たけおさん | 約5年 | 行政書士の収入だけでは生活できなかった。 営業が苦手で、仕事を継続的に取れなかった。 |
Youtube |
| 島本さん | 約5年 | 行政書士業だけで安定した収益が生み出せなかった。 | ブログ |
| 村川とわさん | 約2年 | 相続業務に馴染めず、心理的負担が大きかった。 数年かけて軌道に乗せる必要性に対し、継続が難しいと判断。 |
ブログ |
上記をまとめると、以下のような共通点が見えてきます。
開業資金が不足していて廃業
- 開業資金を十分に準備せず、半年以内に生活費が底をつく
- 運転資金が確保できず、せっかく依頼が入っても継続できない
仕事がない・顧客を獲得できないケース
- 営業が苦手で集客に取り組まなかった
- ホームページや人脈づくりを怠り、最初の数年を乗り切れなかった
専門分野の選び方を誤ったケース
- 自分に合わない業務を選んでしまい、モチベーションが続かない
- 市場規模や需要を考えずに「やりたい分野」だけで決めてしまった
成功した行政書士の工夫と行動
一方で、以下のような成功体験談もたくさんあります。
| お名前 | 1年目の状況 | 打開策・成功要因 | 出展 |
|---|---|---|---|
| 宮城彩奈先生 | 資産残高3万円まで追い込まれる | ホームページ・DM・飛び込みなど、あらゆる営業チャネルを実行。 | Youtube |
| おしかせ先生 | 売上、約75万円 | ホームページで100%WEB集客。 開業前に準備・戦略を整えていた。 |
ブログ |
| ヤマハチ先生 | 半年以上、売上0円 | WEBマーケティングを学び、数ヶ月後に成果が出始めた。 粘り強く継続。 |
ブログ |
印象的なのは、やはり「集客・マーケティング」への注力の差。
あなたもぜひ、「集客・マーケティング」を怠らないよう、着実に前進していきましょうね。
行政書士の開業準備に関する、よくあるご質問(FAQ)
未経験でも開業できる?
はい、未経験でも開業は可能です。
実際、行政書士の多くは、実務経験がゼロの状態でスタートしています。
ただし「実務の勉強」と「専門分野の選定」を同時並行で進めないと、開業後に仕事が取れずに苦労するケースが多いです。
(参考記事はこちら)
>> 行政書士の実務の勉強法×7 & 実務経験の積み方×5。新人さん必見
開業資金が少ない場合はどうする?
最低でも200万~300万円を準備できると安心ですが、もし資金に不安がある場合は以下の選択肢があります。
- 自宅開業で初期費用を大幅に抑える
- 中古の備品を活用する
- 日本政策金融公庫などの創業融資を活用する
- 助成金・補助金を検討する
無理にスタートして途中で資金ショートするより、準備を整えてから始める方が結果的に安定しやすいです。
開業してすぐ仕事がある?
残念ながら、開業直後から仕事が次々に入ることはほとんどありません。
特に最初の1~2年は「営業活動」「人脈づくり」「情報発信」に力を入れる必要があります。
実際に「開業したけど仕事がない」と悩む方も多いため、開業前から営業ツール(ホームページや名刺)を準備しておくことが重要です。
(参考記事はこちら)
>> 行政書士の開業後に仕事がない… その原因と、未経験でも成功するための集客法
行政書士の開業準備にかかる期間はどれくらい?
試験合格から開業までの準備期間は、おおむね以下のようにイメージしておくとよいかと思います。
- 最短:2~3か月(登録書類をすぐ用意し、環境整備を同時進行した場合)
- 一般的:3~6か月(登録審査期間+事務所環境・集客準備を含めて)
- じっくり型:半年~1年(資金計画・専門分野選定・実務勉強を慎重に進める場合)
人によって準備期間には差がありますが、ある程度の時間の余裕を持って開業準備を進めることをお勧めします。
まとめ|行政書士開業は「準備次第」で未来が変わる
準備の差が成功・失敗を分ける
行政書士の開業は、資格を取れば誰でもスタートできますが、成功できるかどうかは「準備の質」で大きく変わります。
資金計画・事務所や備品の整備・実務の勉強・登録申請の手続き…。
これらを一つずつ確実に進めることで、開業後の安心感や安定につながります。
逆に準備不足のまま開業してしまうと、最初から「仕事がない」「資金がショートした」といった壁にぶつかってしまう可能性が高まります。
集客準備を整えて、不安なくスタートしよう
準備の中でも特に重要なのが「集客」です。
どれだけ事務所を整えても、顧客を獲得できなければ、廃業まっしぐらです。
本記事でも触れたように、集客の基本は 「専門分野を絞る → ホームページで信頼を伝える → 質の高いアクセスを集める」 の3ステップです。
開業準備の段階から、この流れを意識して動いておくことで、スタートダッシュを切ることができます。
最後に
行政書士の開業は、準備次第で未来が大きく変わります。
もしこの記事を読んで「もっと具体的に学びたい」と感じた方には、以下の2つの学びの場をご用意しています。
本格的に学びたい方へ
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開業直後から安定して集客できる仕組み作りを、体系的に学ぶことができます。
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どんなスタイルで学ぶにしても、行動を始めることが第一歩です。
あなたの開業準備が、未来の成功につながることを心から応援しています。






