「アルバイト・パートさんを教育して、戦力にしたい」
先日、当社のクライアントに、上記のような相談を受けました。
そこで今日は、パート・アルバイトを教育&戦力化するコツについて、ご紹介します。
パート・アルバイトの教育方法は、「ディズニー」に学べ
私は大学生の頃、ディズニーリゾートでアルバイトしていたことがあります。
(ディズニーは、ホスピタリティの模範とも言えるので、そのホスピタリティを学ぶために働いていました)
ディズニーは、社員教育でも有名で、多くの書籍が販売されています。
読んだことがある方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
ディズニーには、新人教育のマニュアルがない?
さて、そんなディズニーですが、よく「マニュアルがない」と言われますが…。
実際には、新人教育用のマニュアルはあります。
「マニュアル」と言うと、「マニュアル人間」のように、なんだかマイナスイメージで使われがちですが、そんなことはありません。
入社したばかりの新人にとって、仕事のやり方を覚えるのはとても大事なことなので、マニュアルは積極的に活用すべきです。
しかし、マニュアルだけでは、ダメなのです。
マニュアルにプラスして、ディズニーには「行動基準」というものがあります。
ディズニーの行動基準「SCSE」とは?
ディズニーには、SCSE(エス・シー・エス・イー)と呼ばれる、行動基準があります。
これは、以下の英語の頭文字を取ったものです。
- 1.Safety:安全
- 2.Courtesy:礼儀正しさ
- 3.Show:キャストはショーを演じる
- 4.Efficiency:効率
※ディズニーでは、従業員を「キャスト」と呼び、お客様を「ゲスト」と呼びます。
「ディズニーリゾート全体が舞台であり、そこでショーを演じている」という意識があるからです。
ディズニーでは、この「SCSE」の順番を意識して行動することが求められます。
例えば、いくら仕事の効率が上がるようなアイデアがあったとしても、それが礼儀正しさを損なうものなら、そのアイデアは採用されません。
他にも、いくらショーとして魅力的なものでも、安全性に疑問があるなら、それは実施されないのです。
このように、ディズニーでは「SCSE」の順番をキャスト全員が意識しています。
これによって、たとえ新人であっても、柔軟な対応ができるのです。
この行動基準の効果が、目に見えて発揮されたのが、3.11の大震災のときでした。
3.11の大震災。その時、キャストがとった行動は?
3.11の大震災の時、当然ながら、ディズニーリゾートにも被害がありました。
この時、最優先されるのは、「Safety:安全」です。
他の「ショー」などを犠牲にしても、最優先されるべきは「Safety:安全」なのです。
これを、全キャストが理解していたので、現場は迅速に動くことができました。
例えば、以下は、キャストの行動の一例です。
- ダンボールを配布(座ったり、寒さを凌げるように)
- 売り物のぬいぐるみを、防災頭巾として配布
通常、ディズニーでは、ゲストにダンボールが見えないように注意を払っています。
ダンボールは、ショーの場にはふさわしくないからです。
しかし、この時は「Safety:安全」を最優先すべき時なので、「ダンボールを配布する」という行動は、最善の選択だったと言えます。
こういった判断が、上の指示を待つことなく、現場のキャスト一人一人が迅速に行える。
ディズニーの行動基準の真価が発揮された瞬間でした。
マニュアルだけでは、全てのケースには対応できない
マニュアルは、教育面で、とても役立ちます。
しかし、マニュアルだけでは、全てのケースに対応できないのです。
先ほどの3.11の事例を見れば分かります。
この大震災を想定して、「地震の時には、ゲストにぬいぐるみを配布しましょう」というマニュアルが作れるでしょうか?
おそらく、無理だと思います。
これでは、真の意味で、ゲストのことを考えた行動ができないのです。
行動基準があるからこそ、「全体の意志が統一され」「各自が柔軟に判断し」「最適な結果を生み出せる」のです。
この3.11の大震災の事例を見て、私はあらためて、真のチームワークというものを感じました。
まとめ:「行動基準+マニュアル」で教育しよう
以上のように、パート・アルバイトを教育する時には、「行動基準+マニュアル」が大事なのです。
- 行動基準:優先すべき項目を決めておく
- マニュアル:仕事の手順などを教える
この2つが上手く噛み合うことで、パート・アルバイトを戦力化できるのです。
あなたの事務所の行動基準は、どういったものが考えられるでしょうか?
参考になれば幸いです。
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