経営者・自営業者・士業といった人にとって、パートナーとの良好な関係は必要不可欠です。
(上の写真;右側の女性が、私の妻です。妻がいなければ、今の私はありません)
そこで今日は、夫婦経営を成功に導くための心得(コツ)を、9つご紹介します。
「夫婦経営がうまくいかない…」とお悩みの方は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
- 分かりやすいように、自営業者のように1人でやられている方や、士業などの方も、まとめて”経営者”と表記します。
- 便宜上、男性側が経営者、女性側がそのパートナー、という視点で解説します
- 便宜上、「夫婦経営」という言葉を用いていますが、これは「夫婦2人で経営している」というものだけではなく、「経営者がメインで仕事をしていて、奥様がそのサポートをしている」「奥様は専業主婦」というご夫婦にも、お役立ていただけると思います。
(1)奥様(経営者の妻)の3つの心得
(1-1)「頑張らないで」と伝える
奥様(経営者の妻)の気持ちとしては、純粋な気持ちで「お仕事、頑張ってね」と伝えているものと思います。
ただ、経営者は、基本的に頑張っていて、ともすれば、頑張りすぎています。
そして、頑張りすぎていることに、経営者本人は気付いていません。
頑張って、頑張りすぎて、いずれガタが来て、体調を崩すまで頑張り続けます。
経営者は、責任感がとても大きいです。
なので、何でもかんでも自分ひとりで背負おうとします。
家族のことはもちろん、会社のこと、社員のこと、会社のお客様のこと、すべてを守ろうとしています。
経営者に必要なのは、頑張りではなく、「今の自分で良いんだ」という許しです。
なので、奥様が先んじて「頑張らないでね」「頑張りすぎないでね」と伝えてあげて下さい。
代わりに、「今日もお仕事楽しんでね!」「Enjoy!」と伝えてあげて下さい。(楽しんで仕事している経営者は、最強です)
経営者は、その言葉に「頑張ってるからではなく、今の自分で愛されているんだ」と安心できます。
その言葉に救われます。
(1-2)すべてOKしない
私本人の話ですが、仕事でいいアイデアが思いついたり、新事業を始めようとする時には、必ず妻に相談します。
この時、妻は、妻の視点でアドバイスをくれたり、時には反対意見をくれたりします。
そして、私のこれまでの経験上、妻の意見は多くの場合、正しいです。
私の意見よりも的を得ていることが多々あります。笑
経営者は、「これは良い!」と思うと、一気に突っ走る傾向にあります。
周りの意見に耳を傾けず、自分の世界に入り込みます。
社員も、社長の暴走を止めることはできません。
そこで大事なストッパーの役割をするのが、パートナーである女性(妻)です。
もちろん、良いと思うアイデアには、いいね!と大賛成してあげましょう。
しかし、いつもYesだけだと、その時は経営者は嬉しいかもしれませんが、長期的な成功は難しくなります。
Noと言えることは、奥様の大事な資質だと感じます。
(1-3)最終判断は、経営者に委ね、信じる
先ほど、「すべてOKしない」と書きましたが…
最終的に判断するのは、経営者です。
経営者は、自分で決めるからこそ、責任を持ってできるし、行動力が発揮されます。
人から押し付けられた意見や、世間一般で良しとされている手順を真似するのではなく、自分で決めたいのです。
結果的に、人の意見を採用したり、既存の手順を真似したりすることになっても、「人の意見を採用する」「この手順を真似する」という最終決定の部分は、自分で決めたいのです。
なので、最終判断は、経営者に委ねて下さい。
そして、そのすべてを受け入れ、信じてあげて下さい。
経営は、山あり谷ありです。
良い時もあれば、悪い時も必ずあります。
いつも右肩上がりではありません。
しかし、経営者は、良くも悪くも、失敗から学ぶものです。
自分で決めて、失敗したら、そこから多くを学びます。
成功したら、仕事がうまくいく、
失敗したら、そこから学び成長できる。
要するに、どちらもOK!ということです。
(2)経営者の3つの心得
(2-1)今の自分で「愛されている」ことに気付く
これは私の肌感覚ですが、経営者は、「愛されるために」経営者として頑張っている節があります。
(現に、私がそうでした)
- もっと頑張って、組織が大きくなれば、認めてもらえる
- もっと力がつけば、信頼してもらえる、愛される
何かを得るために頑張ろうとすると、それが原動力にもなるのですが、逆を言えば「自分は、頑張らないと愛されない存在だ」というセルフイメージが染み付いてしまいます。
「頑張らないと愛されない存在」というセルフイメージが強固になると、危険です。
- 「売上が5億を超えれば幸せになれる!」と思って頑張ってきたのに、5億を達成しても、なにも嬉しくない…。
- 「社員数が100人を超えれば幸せになれる!」と思って頑張ってきたのに、社員数100人を超えても、なにも感じない…。
このように、いずれ燃え尽き症候群になります。
順風満帆に成功していると思われていた経営者が、ある日突然自殺してしまうことが稀にありますが、私はこのセルフイメージが影響しているものと思っています。
ただ、奥様は、経営者が頑張っているから愛しているのではありません。
経営者本人を、そのままを、愛しているのです。
なので、経営者が頑張ろうと頑張らなかろうと、奥様は経営者を愛しています。
そのままで愛されているのです。
頑張っているから、愛されているのではありません。
人一倍稼いでいるから、愛されているのではありません。
今の自分で、十分に愛されているのです。
これに気付くと、肩の力が抜けて、仕事がもっと楽に幸せになります。
(2-2)仕事と家庭は、車の両輪
よく「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を聞きますが、経営者にとっても、仕事と家庭のバランスをとることは、とても大切です。
一点、この「仕事と家庭のバランスをとること」を、間違って理解してしまうと、苦しくなります。
仕事と家庭のバランスをとると言うと、多くの場合、「100あるパワーを、仕事と家庭の2つに分散させる」ようなイメージを持たれます。
図にすると、以下のようなイメージです。
確かに分かりやすいイメージなのですが、私はこれに違和感を感じています。
仕事も家庭も、お互いを犠牲にするようなものではなく、両方が上手く噛み合うからこそ成功できると感じています。
私の中でのワーク・ライフ・バランスのイメージは、「車の両輪」のようなイメージです。
片方の車輪が仕事で、もう片方の車輪が家庭です。
車の両輪なので、片方が成功して車輪が大きくなっても、もう片方が小さいままだと、まっすぐ前に進めなくなります。
仕事も家庭も、両方がお互いを補っているのです。
どっちの車輪が偉くて、どっちの車輪が偉くない、というものではありません。
どの車輪も大事なのです。
(自動車だって、どの車輪が大事か?なんていう優劣はないですよね。それと同じです)
車の両輪を成長させるようにバランスをとると、上手くいくように感じています。
(2-3)家でも仕事の話をする
経営者は、「家族に心配をかけたくない」という想いが強いです。
だからこそ、家で仕事の話をしないことが多いようです。
しかし、家族には心配をかけまい!としているその姿勢が、かえって奥様を不安にさせていることもあります。
現に、私がそうでした。
自分で抱え込んで、苦しくなって、その様子を一番近くで見てくれていた妻は、とても心配だったそうです。
これを聞いてから、私は反省し、仕事の話を家でもどんどんするようになりました。
プラスの話だけではなく、マイナスの話も伝えます。
- こんな契約が取れたんだ!
- お客様から、成果が出たって報告があったよ!
- ちょっと仕事で大変なことがあってさ…
こういった話を、妻はちゃんと聞いてくれます。
夫婦で共有すると、嬉しい話は、喜びが2倍になります。
逆に、大変だった話は、大変さが2分の1(半分)になります
夫婦の会話も増え、いいこと尽くしです。
(3)夫婦お互いの3つの心得
(3-1)相手を変えようとしない
これは、夫婦経営うんぬんに限りませんが、結局のところ、相手を変えるなんてできません。
人間は、自分で気づき、自分で変わらない限り、本質的には変われないのです。
相手を変えるのではなく、自分が変わりましょう。
もっと言えば、まずは自分から与えましょう。
仕事を手伝ってほしければ、まずは自分から手伝いましょう。
愛してほしければ、まずは自分から愛しましょう。
自分が変われば、相手も変わります。
(3-2)相手の話を聞く
夫婦仲について、ニーチェの格言に、こんなものがあります。
夫婦生活は長い会話である。
~ニーチェ~
結婚するときはこう自問せよ。
「年をとってもこの相手と会話ができるだろうか」
そのほかは年月がたてばいずれ変化することだ。~ニーチェ~
これらの格言を見ても、夫婦の間の会話は、人生においてとても大切なものだと気付かされます。
経営者の方へ。(私自身への戒めとして)
奥様は、本当に大変です。
掃除・洗濯・料理などの家事をして、子どもの寝かしつけや習い事の送り迎えなどもして、とても大変です。
何かで読んだことがありますが、専業主婦は、年収に換算すると、年収1000万円の働きに相当するそうです。
家事などはもちろん、経営者のサポートもして、仕事がうまくいくように陰ながら支えてくれています。
内助の功というものですね。本当にありがたい限りです。
奥様の話を聞きましょう。
「今日は何があったの?」と声をかけましょう。
「何か手伝えることはない?」と申し出ましょう。
奥様(自営業の妻の方)へ。
経営者は、本当に大変です。
自分の仕事はもちろん、家族を守り、お客様を守り、多くの責任を背負っています。
経営者は、そういう役割なのです。
経営者の話を聞いてあげて下さい。
私もそうですが、経営者は、いつまでたっても子供です。
- こんなことができるようになった!
- 仕事でこんな成果があった!
- こんな大変なことがあった!
これって、子供が「ママ見て!ブロックでお城を作ったんだよ!」「ママ聞いて!学校でこんなことがあったんだよ!」と話してくる状況と同じですよね。笑
ちょっとでも良いです。
家事の手を止めて、話を聞いてあげて下さい。
それだけで、満足しますから。
「家族に愛されている」と感じられて、また頑張れますから。
(3-3)夫婦喧嘩はその日のうちに完了させる
喧嘩するのは、良いことです。
「雨降って地固まる」とも言いますよね。
ただ、夫婦喧嘩しても、その日のうちに仲直りしましょう。
夫婦喧嘩は、どちらか一方が悪い、なんていうことはありません。
どちらにも原因があります。
そして多くの場合、どちらの意見が良い悪いでもなく、ただ単に”意見が違うだけ、視点が違うだけ”です。
- 「あなたは、この状況を見て、そう感じたんだね。そういう意見を持っているんだね」
- 「私は、同じ状況を見て、こう感じるんだ。こういう意見があるんだ」
- 「二人にとって良いのは、どういう着地点だろうね?」
こういう話ができれば、喧嘩は建設的なものになります。
余談ですが、朝に夫婦喧嘩をして、仲直りしないままだと、交通事故になる確率が上がるそうです。
イライラした気持ちが注意力を散漫にさせてしまったり、マイナスの出来事を引き寄せてしまうのかもしれませんね。
「最後だとわかっていたなら」という本にも、こんなことが書いてあります。
最後だとわかっていたなら(一部抜粋)
あなたがドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは あなたを抱きしめて キスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて
抱きしめただろうたしかにいつも明日はやってくる
でももしそれがわたしの勘違いで
今日で全てが終わるのだとしたら、
わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか 伝えたい明日が来るのを待っているなら
今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたら
あなたは今日を後悔するだろうから
微笑みや 抱擁や キスをするための
ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと
忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと「ごめんね」や「許してね」や
「ありがとう」や「気にしないで」を
伝える時を持とう そうすれば
もし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから
喧嘩したまま出かけるのは、やめましょう。
帰ってきてから仲直りできるなら、今すぐでも仲直りできるはずです。
お互いを愛して夫婦になったのですから、すべてを2人の成長の糧にしましょう。
まとめ:夫婦経営の成功の土台は「感謝」
さて、ここまで偉そうに書き続けてきましたが…笑
ここに書いたコツ(心得・心構え)は、私が自分でゼロから考えだしたのではありません。
日々、妻と共に生活し、失敗し、それでも見守ってくれている妻に教わってきました。
(そして、私の周りにたくさんいる、幸せな経営者夫婦から学んできました)
妻は、私が変わることを求めません。
いつも、私が気付くまで見守ってくれています。
だからこそ私は、気付き、学ぶことができました。
そういう意味では、ここで書いた内容は、私が私に向けて書いた戒めとも言えます。
この記事を書いている最中、マザー・テレサのこんな格言を思い出しました。
マザー・テレサは、1979年にノーベル平和賞を受賞した時、「世界平和のために、私たちはどんなことをしたらいいですか?」とインタビューされて、次のように答えたそうです。
家に帰って、家族を大切にしてあげてください。
~マザー・テレサ~
私は、仕事も、自己成長も、すべての基盤は家族にあるように感じています。
家族が仲良し。それが一番。
どんな人の人生も、家族の中からスタートしているわけなので、ある意味当然なのかもしれません。
夫婦経営は、なかなかできない経験です。
とても貴重な体験です。
この経験を与えてくれた妻:磨里子に、心から感謝しています。
いつも本当にありがとう。
これを読んでくれているあなたの夫婦関係が、より良くなることを願って。
最後までお読み下さり、ありがとうございました^^
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