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お客様からの質問は、まだ出会っていない誰かへの回答になる

大林亨輔の思考ノート
お客様からの質問は、まだ出会っていない誰かへの回答になる

「ブログを書いた方がよいのは分かっています。でも、何を書けばよいのか分かりません」

士業の先生から、このようなご相談を受けることがあります。

情報発信を始めようとすると、何か新しくて特別なテーマを考えなければならないように感じるかもしれません。

けれども私は、ブログの題材はすでに日々の仕事の中にあると思っています。

それは、お客様から実際に寄せられる、個別具体的な質問です。

「お客様の質問」とは、どのようなものか

お客様の質問を記事にしましょうとお伝えしても、具体的にどのような質問なのか、イメージしにくい人もいると思います。

例えば、障害年金を扱っている社会保険労務士の先生であれば、お客様から次のような質問を受けることがあるかもしれません。

  • 初診日が分からなくて困っています。どうすればよいですか?
  • 現在働いているのですが、それでも障害年金を受け取ることはできますか?
  • 医師に書いてもらった診断書が、実際の症状よりも軽く書かれているように感じます。この場合はどうすればよいですか?

私が「お客様の質問を記事にする」と言うときに想定しているのは、このような質問です。

「障害年金とは何か」という制度全体の説明だけではありません。

目の前の人が、今まさに困っていて、専門家へ尋ねたいと思っている具体的な疑問です。

そして、その一つひとつの質問に対して、一つずつ丁寧に答えていきます。

例えば、次のような記事です。

  • 障害年金の初診日が分からない。そんな場合の対処法
  • 働いていても障害年金を受給できますか?実例ともとに回答
  • 診断書が実際の症状より軽く書かれていると感じたら?社労士が分かりやすく解説

こうして具体的な質問をそのまま記事の入口にすると、読者も「これは自分が知りたかったことだ」と気づきやすくなります。

一人からの質問は、その人だけの疑問とは限りません

お客様から質問を受けたとき、通常はその方へ直接回答します。

もちろん、まずは目の前のお客様に丁寧に答えることが大切です。

ただ、その質問を口にしたのは一人でも、同じことで悩んでいる人は、ほかにもいるかもしれません。

  • 初診日が分からず困っている人。
  • 働きながら障害年金を受け取れるのか不安に感じている人。
  • 診断書の内容と、自分が感じている症状との違いに戸惑っている人。

同じ疑問を抱えていても、すべての人が専門家へ直接質問できるわけではありません。

誰に聞けばよいか分からず、Googleで検索している人もいます。

自分の状況を文章にして、AIへ相談している人もいます。

質問すること自体をためらい、一人で悩んでいる人もいるでしょう。

目の前のお客様から受けた一つの質問は、まだ出会っていない誰かが、言葉にできずに抱えている疑問かもしれません。

だからこそ、その質問への回答を記事として残すことには意味があると思います。

制度全体を説明するより、一つの悩みに答える

士業のブログというと、制度や法律について、最初から最後まで詳しく説明しなければならないように感じるかもしれません。

正確な制度説明は、もちろん大切です。

ただ、読者が必ずしも制度全体を知りたいとは限りません。

初診日が分からず困っている人が知りたいのは、障害年金制度の歴史や全体像ではなく、まず「初診日が分からない自分は、次に何をすればよいのか」です。

働いている人が知りたいのは、すべての受給要件を一度に理解することではなく、「働いているという理由だけで対象外になるのか」ということかもしれません。

一つの記事ですべてを説明しようとすると、情報量が増え、かえって読者が自分に必要な答えを見つけにくくなることがあります。

それよりも、一つの質問に対して一つのブログ記事で答える。

最初に結論を伝え、その理由や判断のポイント、必要な対応、注意点を説明する。

その方が、今困っている読者へ答えが届きやすくなります。

専門家の価値は、判断の過程にも表れます

インターネット上には、制度の要件をまとめた情報が数多くあります。

それでも、相談者の悩みがなくならないのは、一般的な制度説明を読んだだけでは、自分の状況をどう考えればよいか分からないからです。

そこで価値を持つのが、専門家が実際の相談対応を通じて培ってきた経験です。

  • この質問では、最初に何を確認するのか
  • どのような条件によって結論が変わるのか
  • 相談者が誤解しやすい点はどこか
  • どのような資料を確認する必要があるのか
  • 自分で判断せず、専門家や関係機関へ確認した方がよいのはどのような場合か

こうした判断の過程は、単に制度をまとめただけでは伝わりません。

専門家だからこそ書けるのは、正解だけでなく、その答えにたどり着くまでに何を確認し、どう判断するかという部分です。

それを丁寧に記事へ残すことで、読者にとっても実用的で、その先生の経験や考え方も伝わる情報になります。

私自身も、日々の相談の見方が変わりました

私のもとにも、士業の先生からホームページ、SEO、広告、文章、問い合わせ対応など、さまざまなご相談が届きます。

以前は、そのご相談へ回答し、問題が解決したら、そこで一つの対応が完了したと考えていました。

もちろん、お客様への回答という役割は、それだけでも果たしています。

ただ、過去の相談や回答を整理してみると、似たような疑問が何度も寄せられていることに気づきました。

一人のお客様が迷っていることは、ほかの先生も迷っている。

一人のお客様へ説明して喜んでいただけたことは、ほかの先生にも役立つ可能性がある。

そう考えるようになってから、日々の相談は、その場限りのやり取りではなく、将来の情報発信につながる大切な一次情報なのだと思うようになりました。

最近は、過去の相談や回答を記録し、必要なときに記事や情報発信へ再利用できる仕組みも作っています。

新しいネタを毎回ゼロから考えるのではなく、すでに行っている大切な仕事を、別の形でも役立てる。

これは、情報発信を無理なく続けるうえでも、大切な考え方だと思っています。

メールをそのまま公開すればよいわけではありません

ただし、お客様とのメールや会話を、そのまま記事にすればよいわけではありません。

氏名や事務所名を消すだけでは、十分に匿名化できない場合もあります。

地域、具体的な日時、家族構成、売上、従業員数、珍しい経歴や出来事などを組み合わせると、本人を推測できる可能性があります。

そのため、記事にするときは、相談の本質を変えない範囲で、個人を特定できる情報を削除したり、一般化したりする必要があります。

また、一人への回答が、同じように見えるすべてのケースに当てはまるとは限りません。

状況によって結論が変わる場合は、何を確認する必要があるのか、どのような例外があるのかも伝えることが大切です。

実際の相談を記事にする目的は、お客様の情報を見せることではなく、その相談から得られた知識や判断を、ほかの人にも役立つ形で届けることです。

情報発信は、まだ出会っていない人への回答です

私は、情報発信は単に知識を見せるためのものではないと思っています。

目の前にいる一人の「困っています」に答えること。

その回答を、同じことで困っている、まだ出会っていない人にも届く形で残しておくこと。

それが、ブログを書く意味の一つではないでしょうか。

ブログのネタが見つからないときは、何か新しいテーマを考える前に、最近お客様から受けた質問を振り返ってみる。

電話や面談で何度も説明していることを思い出してみる。

お客様がどのような言葉で困りごとを伝えているかを確認してみる。

そこには、自分では当たり前になっていて気づかなかった、専門家としての経験や知識が残っています。

一人のお客様への回答が、記事として残り、次に同じことで困った人を助ける。

さらに、その記事を読んだ人から新しい質問が届き、また次の情報発信につながっていく。

私は、そんな形で情報が少しずつ積み重なっていくのが、無理のない、そして専門家らしい情報発信なのではないかと考えています。

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この記事を書いた人

株式会社ミリオンバリュー代表士業専門Web集客コンサルタント大林 亨輔
累計500以上の士業事務所のWEB集客をサポートしてきた、士業専門Web集客コンサルタント。

船井総研出身の父の背中を見て育ち、22歳の時に独立起業。
士業業界のホームページ制作・SEO・PPCといった集客サポートを行い、独自の【士業専門3ステップ集客ノウハウ】を確立。

全国各地でセミナーも行い、ノウハウの普及に務めている。

ディズニーとスターバックスが大好き。
「息子3人の食費がすごいので、仕事頑張ります」
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