「失敗は成功の母」という言葉もありますが、「失敗学」という言葉もあるくらいで、ミスから学ぶことはとても大事です。
失敗学とは
※ウィキペディアより引用
ここでは、失敗の7つの原因(要因)と、その分析方法。
そして最終的に成功につなげる方法までを、分かりやすく解説します。
失敗の7つの原因(要因):ミスの具体的な種類
まずはじめに、失敗の原因についてです。
失敗(ミス)には、それこそ無限の種類の原因があるように思われがちですが、大まかに分類すると、以下の7つにまとめられるのです。
- (1)未知
- (2)無知
- (3)不注意
- (4)誤った判断
- (5)調査や準備の不足
- (6)外部環境の変化
- (7)誤った目標設定
一つずつ、簡単に解説しますね。
(1)未知
「未知」とは、要するに「自分が知らなかった」ということです。
新たなチャレンジをする時に、そこに必要な知識や経験がない(未知)の状態だと、失敗しやすくなります。
未知は、自分自身の勉強量で克服することができます。
(2)無知
「無知」とは、簡単に言うと、「知っておいたほうが良いと感じてはいたが、事前に調べたり勉強することなくスタートしてしまった」状態のことを指します。
先ほどの「未知」は、「失敗した時に知らなかったという事実を知った」ことだったのに対し、この「無知」は、「失敗する前に必要性に気づいたものの、放置してしまった」状態と言えます。
この無知も、自分自身の勉強量で克服する他ありません。
注意したいのが、無知を恐れて勉強し続けて、行動が疎かになってしまうのは本末転倒、ということです。
ある程度までは学び、「後はやってみないと分からない」となったら行動できる行動力も大事です。
(3)不注意
注意していれば防げたであろう失敗というのもあります。
しかし、人間というのは、いつも万全の状態ではありません。
疲労や体調不良など、不注意を誘発するものは数多くあります。
自分の注意力が散漫になってしまいやすい原因を特定し、それを排除する努力が必要です。
例えば、疲れやすいのであれば、「早めに就寝する」「仕事の合間に、疲労回復のためのストレッチを行う」などです。
(4)調査や準備の不足
チャレンジする前の調査不足・準備不足も、失敗の原因の一つです。
基本的に、100%完璧に準備する、ということは不可能です。
必ず予測していない事態が起こったり、未知の領域が存在するためです。
しかし、だからと言って準備を軽視してはいけません。
自分自身で「やりきった!後はやってみないと分からない」というところまで準備できるか?が大事です。
例えば、ホームページ集客を行うのであれば、検索数の調査やライバル調査がこれに当たります。
(5)プロダクトアウト的な思考
プロダクトアウトというのは、簡単に言うと「良い商品・サービスを作れば売れるだろう」のような考え方です。
物不足の時代はこれでも良かったのですが、今は、良い商品や良いサービスが溢れかえっている時代です。
いくら自分で「この商品は最高だ!」「このサービスは絶対売れる!」と思っても、需要がなければ絶対に売れません。
この反対の考え方が「マーケットイン」という思考です。
こちらは、「マーケット(顧客)が何を求めているのか?から逆算して商品・サービスを開発すること」です。
自分主体ではなく、いかに相手主体になれるか?がポイントと言えます。
※プロダクトアウト・マーケットインという用語は、マーケティング業界で使われる言葉ですが、要するに「自分本位にならないように注意しましょう」ということです。
(6)外部環境の変化
失敗の原因は、自分の行動の中だけにはとどまりません。
自分の周りの環境変化も考える必要があります。
例えば、新たなライバルが登場したり、法規制が変更されたり、といった事が考えられます。
そういった事態になっても慌てないように、事前に対策を想定しておくとベターです。
また、外部環境の変化をいち早く察知できるように、日頃の情報収集も大事になります。
(7)誤った目標設定
最初に設定した目標設定が誤っている、というケースもよくあります。
多いのは、「自分のリソースを越えた目標を設定してしまう」というミスです。
確かに大きな目標を掲げるのは良いことですが、自分の現状も考える必要があります。
設定している目標が、今の自分の状況にマッチしているか?を考慮しましょう。
※失敗のループに気付こう
ここまでに7つの原因を紹介してきましたが、多くの場合、人間は自分の失敗パターンを持っています。
- 例えばある人は、「いつも見切り発車してしまって上手く行かない(調査・準備不足)」だったり。
- またある人は、「いきなり大きな目標を立ててしまって上手く行かない(誤った目標設定)」だったり。
このように、自分の失敗には、一定のパターンがあることが多いものです。
あなたも、ぜひ、これまでの自分自身の失敗の原因を分析してみてください。
そうすると、自分の失敗パターンに気付けます。
失敗パターンに気付いたら、なにか新しいことにチャレンジする前に、その失敗パターンに陥っていないか?を事前に対策することができます。
失敗した時の対策:改善に向けた4つのポイント
次に、失敗した時の対処について、ポイントを解説します。
言ってみれば、「失敗に対する捉え方を見直しましょう」というお話です。
(1)犯人探しをせず、あくまで失敗の原因(要因)を追求しよう
まず、失敗に気付いた時に最初に意識すべきことが、「犯人探しをしない」ということです。
例えばあなたがチームで仕事をしている場合。
「この失敗の原因は、Aさんが●●をしなかったからだ」のように、すぐに犯人探しをしてしまう方がいますが、これだと全く改善されません。
また、一人で仕事をしている場合もそうです。
「自分が不真面目なのがいけなかったんだ」のように、あなた自身を否定するような考えも、犯人探しと同じです。
犯人探しをしても、事態はいっこうに改善されません。
人間はすぐに変われるものではないのです。
人を変えるのではなく、考え方や対処の仕組みを変えて、改善するべきなのです。
犯人探しは今すぐやめて、先ほどの7つの原因のどれに当てはまっているか?を、事実ベースで考えるようにしましょう。
(2)失敗は結果ではなく、単に「期待(予想)と違っただけ」
「失敗=結果」と思っている方がいますが、失敗は結果ではありません。
失敗は、「ただ単に、あなたが期待していたことと違うことが起こっただけ」です。
言ってみれば、小学生の時の理科の実験と同じです。
理科の実験でも、「こういった結果になるだろう」と仮設を立てて、実験しますよね。
仮に「リトマス紙が青色になる」と予想したのに、赤色になったら、その実験は失敗でしょうか?
いいえ、違いますよね。
「なぜ赤色になったのか?」をまた考えて、次の仮設を立てて、また実験を繰り返せば良いのです。
有名なエジソンの名言に、こんなものがあります。
私は失敗したことがない。
ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。
~トーマス・エジソン~
このように、失敗とは結果ではなく、ただの出来事に過ぎないのです。
マーケティングの世界では、「すべてはテストである」という考え方があります。
集客コンサルタントの私がこんなことを言うのはアレですが、100%確実に成功するマーケティング手法は、存在しません。
なので、高い確率で成功するであろうと思われる方法を試し、何回も何回も改善して、可能な限り100%に近づけていく、という発想が大事になるのです。
(3)必ず、全体像を捉える
失敗した部分だけにフォーカスしても、うまく改善できないことがあります。
これは、「前段階に真の原因がある」ことが多いためです。
ホームページ集客で言えば、「アクセスアップ対策の問題だと思ったら、実はホームページの文章に真の原因があった」ということもよくあります。
詳しくは後述しますが、必ず全体像を捉えてから、失敗の改善に取り組みましょう。
(4)時には「撤退」も必要
どうやっても上手くいかない…。
こういった場合には、撤退する勇気を持つことも、とても大切です。
この撤退の話で有名なのが、「コンコルドの誤り」という実話です。
コンコルドは、想定以上の開発費がかかってしまったために、「コンコルドを飛ばしても採算が合わない」ということが開発途中で既に分かっていました。
しかし、これまでかけた開発費用(サンクコスト)を無駄にしたくない、という考えから開発を続行した結果、やはり採算が合わず、結果的に運営を断念した、という経緯があります。
このコンコルドの経験から、「これまでにかけたサンクコストに囚われて、結果的にマイナスの結果になってしまうこと」を、コンコルドの誤り、と言うようになったそうです。
このように、撤退せずに突っ走ってしまうことで、最悪の事態に陥るととも在るのです。
例えば、投資の世界では、「損切りできる人こそ上手くいく」という言葉もあります。
「上手くいくかもしれない…!」と期待を持ち続けるだけではなく、「ここまでダメだったら撤退する」と決めておくことが、成功への近道なのです。
失敗した時の対策手順を6ステップで解説
では、実際に失敗した時には、どんな手順で改善していけばいいのか?
ここでは、その手順を6ステップで解説します。
(Step1)全体像を書き出す
まずはじめに、全体像を書き出すことから始めましょう。
「まずAをした」⇒「次にBをした」⇒「その次にCをした」⇒「そうしたら、こんな望まない結果(失敗)になった」
このように、全体像を書き出してみてください。
図にすると、以下のようなイメージです。
(Step2)失敗の原因を特定し、改善する
次に、失敗の偏印(要因)を特定します。
多くの場合、失敗が起きた1個前に行ったことが、失敗の原因になっていることが多いものです。
しかし、実はここだけの分析・改善だけでは、上手くいかないことがあります。
そこで必要になってくるのが、次のステップです。
(Step3)その部分の前段階を改善する
この「前段階を改善する」という考え方が、失敗を成功に変える大きなポイントとも言えます。
(Step4)テストを繰り返す
1個の改善策を実施したら、その結果を記録しておきます。
そして、その結果を元に、次の改善策を行います。
このように、ひたすらテストを繰り返すようなイメージで、PDCAサイクルを回していきます。
(Step5)撤退の基準を決める
Step4と合わせてやっておきたいのが、「撤退の基準を決める」ことです。
つまり、投資の世界で「株価が●円を下回ったら、損切りする」のように決めるのと同じことです。
「いつまでに」「どんな結果が得られなかったら」撤退するのか?を決めておくと、判断に迷いがなくなります。
後々になって撤退の基準を決めようとすると、「もしかしたら上手くいくかもしれない」「もしかしたら上手くいくかもしれない」と、ズルズル先延ばしになっていくことがあるので、早い段階で決めておくのがベターです。
なお、撤退を判断するまでには、十分なテスト期間を設けることをお勧めします。
例えば、PPC(リスティング広告)を行う時に、「2週間で●円の利益が出なければ撤退する」と決めてしまうのは、性急といえます。
十分なデータがない状態では、撤退すべきかどうか?は判断できません。
PPC(リスティング広告)を行うなら、少なくとも3~6ヶ月は改善を繰り返して判断すべきです。
このように、十分なテスト期間を設けることを意識してください。
(Step6)撤退する
改善を繰り返しても成果が見られなかった場合には、Step5で決めた基準に従って、撤退しましょう。
なお、撤退しても、それは「失敗した」という訳ではありません。
エジソンが言うように「上手くいかない方法を発見した」だけです。
そこで得られた知見やデータを元に、また次にチャレンジする時の貴重な参考データになるのです。
なので、そのまま放置することなく、しっかり記録しておいて、後日参考になるように保存しておきましょう。
まとめ:失敗の原因が分かれば、分析し、改善できる
いかがでしたでしょうか?
失敗についての取り扱い方を解説してきましたが、本質的に言うと、失敗というのは「目の前の出来事に対して、自分が勝手にした意味付け」に過ぎません。
目の前で起こっている出来事に、良い悪いといった善悪は全くなく、単なる出来事に過ぎないのです。
例えば、「雨が降った」という状況を一つとっても、人によって意味付けが異なります。
- 楽しみにしていたデートが雨でキャンセルになってしまったBさんにとって、この雨は「最悪だ」と意味付けされます。
- 運動音痴なC君にとって、この雨でスポーツ大会が中止になったので、この雨は「最高だ」と意味付けされます。
このように、起こった出来事事態には何の意味もなく、個々人が勝手に意味づけしている(解釈している)だけなのです。
なので、その出来事から、あなたがどんな意味を見いだせるか?が大事なのです。
失敗した!と思った出来事も、あなたがそう思っただけで、必ず意味があります。
- この失敗を乗り越えろ!というサインなのかもしれません。
- そこから学びなさい、と言われているのかもしれません。
- そっちの方向じゃないよ、こっちが正解だよ、というターニングポイントなのかもしれません。
目の前の出来事に意味づけしているのは、他ならぬあなた自身です。
ぜひ、失敗を失敗と意味づけずに、そこからあなたにプラスになる意味を見つけて頂ければと思います。
編集後記:賢い者は、他人の失敗に学ぶ
失敗について、先日、以下の書籍を執筆させていただきました。
(複数の企業の社長様との、共著書になります)
アメリカ建国の父とも言われるベンジャミン・フランクリンの名言にも、こんなものがあります。
賢い者は、他人の失敗に学ぶ。
愚かな者は、自分の失敗にも学ぼうとしない。
~ベンジャミン・フランクリン~
人間は、失敗からこそ多くのものを学べるものです。
そして、他人が踏んだ地雷を、わざわざあなたも踏む必要はありません。
そこから学び、地雷を未然に回避することだってできるのです。
願わくば、私が踏んだ地雷の数々を、あなたが決して踏まないように。
この本があなたのお役に立てば嬉しく思います。
本の出版の機会を与えてくださったのは、ザメディアジョングループ代表の山近義幸様です。
また、担当の榊原瑞季様には、初出版の私を懇切丁寧に指導して頂き、本当にお世話になりました。
本当にありがとうございます!
以下、発行元の株式会社ザメディアジョン・エデュケーショナルのホームページをご紹介させて頂きます。
あわせて、以下の記事もよく読まれています