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行政書士のダブルライセンス16選。資格者の本音&お勧めTOP3も紹介

マーケティング
行政書士のダブルライセンス16選。資格者の本音&お勧めTOP3も紹介
  • 「行政書士資格者に、お勧めのダブルライセンスは?」
  • 「ダブルライセンスは本当に有利?メリットは?」
  • 「それぞれの資格の内容や、業務での活かし方を知りたい」

この記事は、そんな方に向けて書きました

大林こうすけ
こんにちは。
士業専門Web集客コンサルタントの、大林亨輔(おおばやし こうすけ)です。

ダブルライセンスを取得することで、業務の幅が広がり、売上アップにもつながってきます。

ここでは、行政書士資格者にお勧めのダブルライセンスや、各資格を実際の業務でどう活かせるか?を解説します。

また、X(旧Twitter)を調査し、「実際に、資格者ご本人たちは、ダブルライセンスについてどう考えているのか?(必要?不要?)」についてもまとめました。

こういった、生の声はとても参考になると思いますので、ぜひご参照ください。

動画での解説は、こちら

このブログ記事の要点を、動画で解説しました。

なお、このブログ記事の中では解説していない、「まだ取得者が少ない、穴場の資格」についても、この動画の中で解説していますので、ぜひご覧ください。

公式チャンネル登録はこちら

ダブルライセンスのメリット

ダブルライセンスのメリット

(1)売上アップできる

ダブルライセンスを目指す多くの理由が、「売上アップしたいから」ではないでしょうか。

例えば、「会社設立」を考えてみましょう。
行政書士資格だけでは、登記は行えません。
また、会社設立の手続きが終わってしまえば、それで関係は終了です。

しかし、司法書士の資格もあれば、登記申請まで完結できます。

また、社会保険労務士の資格もあれば、「社会保険の手続き」「給与計算」「助成金の申請」なども提案・サポートできます。

これにより、顧客単価も上がり、売上アップにつながります。

(2)売上が安定する

行政書士はスポット業務が多いですが…
スポット業務だけだと、いつまでも新規の顧客を集客しなければならず、いずれ疲弊してしまいます。

そのため、以下のような「顧問契約(継続収入)」がある資格とのダブルライセンスは、非常に相性がいいのです。

  • 社労士
  • 税理士
  • 中小企業診断士などコンサルティング業務

顧問契約で、継続収入が入ってくれば、売上も安定します。

(3)業務の幅が広がる

例えば、建設業許可を考えてみましょう。
行政書士のみだと、「建設業許可」「経審」「入札」といった業務だけになります。

そこに、社会保険労務士の資格があれば、例えば労務面などもサポートできるようになります。

業務の幅が広がることで、お客様に提供できる価値もアップし、信頼されます。

(4)専門性が上がる

例えば、行政書士に加えて、宅地建物取引士(宅建士)の資格があれば、相続によって発生する不動産売買にも対応できるようになります。

これにより、相続という仕事の専門性が上がり、お客様にも質のいいサービスを提供できるようになります。

(5)他の行政書士との差別化になる

日本行政書士会連合会のデータによると、行政書士は、51,619 名もいます(令和6年4月1日現在)。

さらに、行政書士資格は、毎年約4,000人が合格しています。

つまり、ライバルがどんどん増えているのです。

そのような中で、ダブルライセンスであることで、他事務所との差別化になり、選ばれる理由になります。

(6)AI・ITに対抗できる

野村総合研究所とオックスフォード大学との共同研究によると、行政書士は「AIによる代替可能性:91.3%」とされています。

AIやIT技術の進化にともない、単純な書類作成のみでは生き残れなくなってくるでしょう。

今後は、人間でしかできない業務(例:人対人のコンサルティング業務など)を中心にしていくことを目指す必要がありそうです。

ダブルライセンスによって、例えば中小企業診断士や社会保険労務士、税理士など、コンサルティング業務での顧客と関わりを増やせれば、AIに負けずに売上アップを目指せます。

(7)仕事の紹介が増える

ダブルライセンスになることで、他の資格者とのコネクションが、自然と増えていきます。

例えば、社会保険労務士の資格を取得すれば、自然と同業の社会保険労務士との人脈ができるでしょう。

すると、他の社会保険労務士から「許認可なら、●●さんは行政書士資格も持ってるから、紹介しよう」と仕事が回ってくることも増えます。

(8)顧客満足度が高まる

多くのお客様は、「どこからどこまでの範囲が行政書士の仕事なのか?」を知りません。
なので、「ここは対応できない」と言われると、他の専門家を探すのがすごく手間に感じてしまうのです。

ダブルライセンスになれば、あなたにワンストップで依頼でき、お客様の手間が省けます。

それが、顧客満足度の向上につながります。

(+α)キャリアアップや転職活動で武器になる

「資格を持っている」というのは、知識があることの客観的な証明になります。

つまり、企業に就職する際のアピールになるのです。

また、「難しい国家資格を2つ以上持っている」ということが、「目標達成」「努力」といった人間性のアピールにもなります。

ダブルライセンスのデメリット。「不要」「やめとけ」と言われる理由

ダブルライセンスのデメリット

上述のようなメリットがある一方で、「ダブルライセンスは不要、やめとけ」といった意見もあります。

その理由を、以下にまとめます。

(1)ダブルライセンス=集客できる、ではない

新しい資格を取得してダブルライセンスになっても、それで集客できる!というわけではありません。

資格というのは、いわば「商品」のようなもの。

例えば、社会保険労務士の資格を手に入れたら、「社会保険労務士が扱うサービス(商品)」を売れるようになりますが、この時点では商品を手に入れただけです。

その商品を売るには、「売り方(つまり、マーケティング)」を知らなければなりません。

なお、行政書士のWebマーケティングについては、以下の「士業専門3ステップ集客術:ベーシック講座」でも解説していますので、ぜひご覧ください。

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(2)資格取得には、時間と労力がかかる

各資格を取得するのに必要な勉強時間は後述しますが、例えば司法書士資格を目指す場合、「約3,000時間」が必要と言われています。

あなたの時給が仮に5,000円だとしたら、金額換算して、約1,500万円を投資していることになります。

やみくもに資格取得を目指していては、いくら時間があっても足りません。

あなたが目指す働き方・提供したいサービスを考え、必要な資格を見極めてチャレンジしましょう。

(3)1つの資格を極めるだけでも大変

士業の業務は、どれも奥深く、幅広いものです。
そのため、1つの実務を極めるだけでも、結構大変なもの。

それを複数の資格でやろうとすれば、相当大変であろうことは想像できます。

ある意味、「野球選手が、サッカーでもプロを目指そうとするようなもの」とも言えるかもしれません。

(4)資格取得後のインプットも必要

資格は、「取得して終わり」ではありません。

取得後も、法改正などにあわせて、最新の情報をインプットする必要があります。

複数の資格を持っていれば、それだけ対応すべき法改正も増えることになり、時間と労力がかかります。

(5)「手段の目的化」に気をつける

資格取得は、あくまで「手段」です。

あなたの目指す働き方を実現することが「目的」であり、資格取得そのものを目的にしてしまったら、本末転倒。

前述の通り、資格取得には時間と労力がかかりますので、「自分の目的に、その資格は本当に必要か?」をよく考えてチャレンジすることをお勧めします。

X(旧Twitter)を調査。資格者の本音とは?

上述のように、ダブルライセンスには、メリットもデメリットもあることが分かります。

これでは、結局どっちがいいの?と悩みますよね。

そんな時に参考になるのが、「実際に、資格者の方々の意見はどうなのか?」ではないでしょうか。

そこで、X(旧Twitter)の投稿を調査してみました。

以下、参考になったものをいくつかご紹介します。

肯定派(必要、あって良かった、など)

中間派(業務分野による、など)

否定派(必要ない、など)


上記のように、必要ありなし、どちらの意見もあるようでした、

ダブルライセンスは必要か?の結論「あなたが目指す働き方を考えよう」

ここまでのメリット・デメリットを簡単にまとめると、以下のようになります。

  • メリット:売上の向上や安定、差別化などで有利
  • デメリット:資格取得前も、取得後も、時間と労力がかかる

つまり、「あなたが目指す働き方を考え、資格取得にかかる時間・労力以上のメリットを感じられるなら、ダブルライセンスを目指しましょう」ということです。

悪い例

なんとなく、「社労士の資格があれば、顧問契約で継続収入になって、売上アップできるかも…」くらいの気持ちであれば、やめておいたほうがいいかもしれません。

良い例

逆に、例えば「社労士の資格があれば、今メインで行っている会社設立の手続きの後にも、顧問契約でこんなサポートを提供して、繋がりが保てる。会社設立のときにも、労務や社会保険について質問されることも多いし、ニーズがあるということだ。他にも、この助成金を提案してお客様にも喜んでもらえる。結果、事務所の売上アップにもなる!」ということであれば、社労士の資格取得は理にかなっていると言えるでしょう。

「この資格を取得すれば、こんな働き方・こんなサービスが提供できて、自分にも顧客にもメリットがある!」

そう思えるなら、ぜひダブルライセンスにチャレンジしてみてください。

行政書士のダブルライセンス:資格16選

ダブルライセンスの資格16選

それでは、ここで「行政書士と相性がいい資格」をご紹介します。

合格率 勉強時間 難易度 年収(中央値) 重複試験範囲
(比較参考)行政書士 13.9% 800時間(1~2年) B 400万円
(1)社会保険労務士 6.4% 800~1,000時間(1年) B 500万円 重複なし
(2)税理士 21.7% 4,000時間(3~5年) A 700万円 重複なし
(3)司法書士 5.2% 3,000時間(2〜3年) A 425万円 憲法・民法・商法
(4)中小企業診断士 4% 1,000時間(2~3年) A 500〜800万円 会社法
(5)宅建士 17.2% 300~400時間(5ヶ月) C 400~600万円 民法
(6)土地家屋調査士 9.66% 1,000時間(1年半) B 450万円 民法
(7)不動産鑑定士 33.6% 2,800時間(1年半~2年) B 599万円 民法
(8)弁理士 6.1% 3,000時間(2年) A 600万円 論文試験免除
(9)海事代理士 55.7% 500時間(10ヶ月) B 500万円 憲法、民法
(10)FP(2級) 学科:39%
実技:61.12%
150~300時間(3〜5ヶ月) C 246万円 民法
(11)建設業経理士(2級) 41.1% 初学:80~100時間
簿記2級:20~30時間
C データなし 重複なし
(12)簿記(2級) 21.1% 300時間(4~6ヶ月) C データなし 重複なし
(13)相続診断士 90%以上 150時間(3ヶ月) C データなし 民法
(14)ビジ法(2級) 33.5% 90時間(2ヶ月) C データなし 民法・商法
(15)個人情報保護士 37.3% 50時間(1ヶ月半) C データなし 一般知識
(16)TOEIC(745点以上) 30.7% 100点UPに200時間 B データなし 重複なし

※上記データは、2023年度後半~2024年度前半の数字をまとめています。
※「難易度」は、合格率や勉強時間などをふまえ、決定しています。
※「年収」は、「平均年収」だと一部の高年収者が平均を引き上げてしまうので、より現実の年収に近い「中央値」をまとめています。
※「年収」は、「その資格単体の年収」を示しています。例えば、行政書士+社労士の資格を取得したからと言って、単純に「400万円+500万円=900万円の年収が期待できる」わけではありません。
※「重複試験範囲」は、「行政書士試験とかぶっている試験範囲」を示しています。

(1)社会保険労務士

社会保険労務士の業務

  • 労働関連・社会保険に関する書類作成、法的事務
  • 労働関連・社会保険に関する相談・指導
  • 助成金の提案・手続き
  • キャリアコンサルティング
  • 職業訓練
  • 新人研修
  • 事業者向けセミナーの講師

など

特に近年は、「パワハラなどのハラスメントに関する問題」「メンタルヘルス問題」といった相談も増えているので、社会保険労務士の需要は高まってきています。

顧問契約で継続的な売上になるのも、嬉しいですね。

行政書士業務との組み合わせ(例)

許認可や会社設立 会社設立の際に、企業から労働関連や社会保険の相談を受けることも多いものです。

創業することで、年金事務所、ハローワーク、労基署などへの労務に関する必要手続き(新規適用届、給与支払事務所等の開設届など)も発生するので、その手続きも代行できます。

また、会社を経営するには、以下のような労務の問題も必ず出てきます。

  • 社会保険の手続き(一人社長でも加入義務あり)
  • 就業規則の作成
  • 助成金の検討
  • 給与計算

社労士の資格もあれば、これらのニーズにこたえられます。

入管業務 企業が外国人を雇用すると、就労ビザの手続きが必要になります。

ビザは、行政書士の業務として対応できますよね。

そして、人を雇用するということは、「労務」が発生する、ということです。

その労務を、社会保険労務士の資格でサポートできれば、顧問契約につながっていきます

(2)税理士

税理士の業務

  • 対法人:税務関係の書類を作成や提出、税務知識を生かして経営コンサルティング
  • 対個人:相続税や贈与税などのサポート

など

企業にとって、税務は必ず必要になってくるので、税理士はどの会社にも必要とされています。
税務顧問で継続収入になるのも、行政書士には嬉しいところです。

行政書士業務との組み合わせ(例)

会社設立、許認可申請 会社設立や許認可申請をした企業に、税務顧問でも関わり続けられます。
相続 書類関係だけでなく、財産の計算や分与の実務までサポートできます。

一点、税理士試験は難易度が高いので、かなりの時間と労力がかかります。

税理士+行政書士のダブルライセンスを持っている人は、その多くが「税理士で開業される方が併せて行政書士も登録した」というパターンです。

「顧問契約による継続収入が得たい」という目的であれば、税理士よりも社労士のほうがベターかもしれません。

(3)司法書士

司法書士の業務

  • 土地や建物の不動産登記
  • 法人に関する商業登記
  • 裁判所・検察庁・法務局等に提出する書類の作成等

など

行政書士と司法書士は、作成する書類の提出先が異なります。

行政書士は、官公署(各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署など)に提出する書類作成がメイン。

一方、司法書士は、裁判所・検察庁・法務局などに提出する書類作成がメインです。

どちらの資格も持っていれば、書類関連の手続きは何でもござれ!になります。

行政書士業務との組み合わせ(例)

会社設立、許認可申請 会社設立や事業立ち上げの時に、登記申請など、依頼者のニーズにこたえられる幅が広がります。

前述の税理士と同じく、司法書士も試験の難易度が高いです。

また、税理士や社労士のような継続収入になる業務よりも、スポット業務がメイン。

売上アップという目的であれば、コスパが悪いかもしれません。

(4)中小企業診断士

中小企業診断士の業務

  • 企業の経営状況の診断
  • 中小企業の経営コンサルティング業務

など

中小企業診断士は、経営コンサルタントとしての唯一の国家資格。

中小企業の経営課題を解決するプロフェッショナルと言えます。

行政書士業務との組み合わせ(例)

会社設立、許認可申請 設立後の経営コンサルティングも請け負えるようになり、継続収入になります。
補助金申請 補助金申請時の事業計画の作成に、中小企業診断士の資格が役立ちます。

(5)宅地建物取引士(宅建士)

宅建士の業務

  • 不動産の契約に関する重要事項の説明
  • 不動産に関する契約書などへの記名押印

など

不動産取引のエキスパートとも言えるのが、この宅建士です。

行政書士と宅建士のダブルライセンスは、以下のように業務の相乗効果が生まれるので、おすすめできると言えます。

行政書士業務との組み合わせ(例)

不動産取引+飲食店営業許可 宅建士の資格があると不動産取引ができるようになります。

これにより、店舗の契約から開業まで、ワンストップでサポート可能です。

遺言書の作成や遺産相続 相続財産に「不動産」が含まれている場合、不動産の専門知識が必要になります。

宅建士があれば、相続業務の幅が広がります。

試験範囲も、民法が重複しているので、宅建業法のみ学べばよく、取得しやすいのも嬉しいですね。

なお、行政書士と宅建士のダブルライセンスについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

>> 【最強】行政書士と宅建士のダブルライセンス。資格者の本音、年収は?

(6)土地家屋調査士

土地家屋調査士の業務

  • 不動産の「表示に関する登記」に必要な土地や家屋の調査・測量
  • 不動産の「表示に関する登記」の申請代理

など

前述の司法書士も不動産登記を行いますが、土地家屋調査士とは異なります。

司法書士が行うのは、不動産登記の中でも「権利に関する登記」と呼ばれるもの。
簡単に言えば、「その不動産が、誰の持ち物なのか?」を登記するのが、司法書士の仕事です。

一方、土地家屋調査士は、「表示に関する登記」を扱います
簡単に言えば、「その不動産がどこにあるのか?そんな形・大きさ・構造なのか?どんな目的で使用されるのか?」を登記するのが、土地家屋調査士の仕事です。

行政書士業務との組み合わせ(例)

不動産を含む相続 相続の際には、土地の分筆(1つの土地を複数に分けること)が必要になることがあります。

こういった場合に、土地家屋調査士の資格が役立ってきます。

また、「相続した不動産を売却したい」という場合にも、売却の検討に必要な土地の測量を行うこともできるので、相続業務の幅が広がります。

居酒屋の開業 深夜営業許可(深夜酒類提供飲食店許可)の申請には、店舗の図面が必要です。

この店舗の測量や図面作成を、土地家屋調査士が行うことができます。

深夜営業許可の申請は、行政書士の業務範囲なので、ワンストップでサポートできるようになります。

農地転用 農地転用の許可申請は、行政書士の業務。

地目変更や測量、文筆、図面作成などは、土地家屋調査士の業務でサポートできます。

その他、農地転用や開発許可のための測量なども請け負えるようになります。

(7)不動産鑑定士

不動産鑑定士の業務

  • 不動産(土地や建物)の適正な価値を鑑定する
  • 不動産(土地や建物)の有効な使い方のコンサルティング

など

不動産鑑定士は、「個人からの受注をいかにして取るか?」が課題と言われています。

不動産鑑定士の依頼者は、行政や法人が中心です。
個人の人は、不動産に関する相談は、不動産会社の人(宅建士)に相談に行ってしまうのです。

この時、行政書士資格もあることで、個人との接点が得られるようになるので、不動産鑑定士の弱点を補える、とも言えます。

行政書士業務との組み合わせ(例)

不動産を含む相続 不動産鑑定士として、その不動産の適正な価格を判断できます。

また、行政書士として、遺産分割協議書の作成もできます。

つまり、相続財産を公平に分配でき、相続人間のトラブルを未然に防げるようになります。

(8)弁理士

弁理士の業務

  • 特許権・実用新案権・意匠権・商標権などの「知的財産権」の取得を代理

など

近年、特許や著作権のような知的財産権の関心が高まってきています。

弁理士は、合格者が少なく、希少性の高い資格です。

例えば、令和5年の弁理士合格者数は、188人のみ。
一方、令和5年の行政書士の合格者数は、6,571人。
その差、約34.9倍。

これを見ても、希少性の高い資格であることが分かります。

行政書士の資格を持っていると、弁理士試験の論文試験の一部が免除されるので、勉強時間を短くできます。

行政書士業務との組み合わせ(例)

会社設立 知的財産が関わるような起業も、サポートできるようになります。

なお、弁理士の資格を取ると、試験を受けなくても行政書士の資格を取得することができます(税理士と同じ仕組みですね)。

(9)海事代理士

海事代理士の業務

  • 船舶の登録・登記
  • 船の安全性検査の申請
  • 船舶免許の取得・更新
  • 船員の労務管理
  • 旅客定期航路事業の届け出

など

海事代理士は、「海の法律の専門家」です。
「海の行政書士、海の司法書士」などと呼ばれたりもします。

海事代理士は、非常に希少な資格です。

少ないと言われている弁理士でさえ、登録者数は、12,281人(2024年5月31日時点)。
それに比べ、海事代理士は、日本全国に約2,000人ほど。

新規参入も少なく、弁護士にもできない独占業務があるので、港湾の多い地域では、寡占状態になることも少なくありません。

また、船舶の登記や、船の安全性検査などは、リピートされやすいというメリットもあります。

ただ、海事代理士の資格単体では、仕事がそこまで多くなく、生計を立てるのが難しいとも言われています。

実際、多くの海事代理士は、行政書士や司法書士とダブルライセンスを持っているようです。

行政書士・司法書士との違いは、以下のとおりです。

小型船舶の登録・名義変更など 海上貨物関係に関わる手続き 漁船関連の手続き 船舶のトン数測度 船員の就業規則作成
海事代理士
行政書士 × ×
司法書士 × × × ×

なお、「船舶のトン数測度:船舶の総トン数を算定する業務」「船員の就業規則作成」などは、海事代理士の独占業務です。

行政書士業務との組み合わせ(例)

BtoB 船を扱う企業から依頼を受け、行政機関に船の登録ができます。

また、定期的な船舶検査の手続きを代行することもできます。

BtoC マリンスポーツ好きな人から依頼を受け、ヨットやモーターボートなどの免許の更新手続きを代行できます。

(10)ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーの業務

  • 税金や保険、教育資金、住宅ローンなど、お金のアドバイス
  • 資産運用や、老後の生活設計をサポート

など

FPの知識を実務に活かすのであれば、FP2級が必要と言われています。

行政書士業務との組み合わせ(例)

相続 生前贈与のアドバイスや、相続発生後の遺族サポートもできるようになり、相続業務の幅が広がります。

他にも、法人に対して、事業承継のコンサルティングを行うファイナンシャルプランナーもいます。

(11)建設業経理士

建設業経理士の業務

  • 建設業関係の取引の会計処理、帳簿作成、決算処理

など

建設業経理士は、簡単に言うと「建設業バージョンの簿記」です。

建設業には、独自の会計処理があるので、建設業をメインで扱っている行政書士には、特におすすめできる資格です。

行政書士業務との組み合わせ(例)

建設業許可 許可申請の際に、財務諸表も一緒に提出します。

その際に、建設業経理のエキスパートである、建設業経理士の資格が活きてきます。

他にも、決算変更届や経営事項審査にも、役立ちます。

(12)簿記

簿記があると

  • 記帳ができるようになる
  • 財務諸表の書類を分析できる
  • 自身の確定申告や会計ソフトの入力にも役立つ

など

経理・会計・財務に精通することで、決算書などの財務諸表を理解でき、経営成績と財政状態を判断できるようになります。

日商簿記2級以上で、実務にも活かせると言われていますので、取得したい方は、2級を目指してみましょう。

行政書士業務との組み合わせ(例)

許認可業務 クライアントの財務諸表を見る機会も多いので、簿記の知識が活かせます
補助金や融資など資金調達 内資金調達には、財務の知識は欠かせないので、簿記の知識が活かせます

他にも、行政書士として開業したばかりの頃は、自分で会計ソフトに入力したり、確定申告を行うこともあるでしょう。
そういった場合にも、簿記を持っていると便利です。

(13)相続診断士

相続診断士の業務

  • 生前から「相続診断」を行い、顧客と一緒に相続を考え、争いを未然に防ぐ
  • 「終活」にともなうエンディングノートや遺言の作成サポート

など

相続診断士は、「相続を、争いなく、笑顔で終えられるようにする」資格とも言えます。

※一般社団法人 相続診断協会のホームページにも「笑顔相続」という言葉が載っています。

「相続争いは、お金持ちだけの問題」と思われがちですが、そうではありません。

司法統計(家事:令和5年度版)によると、相続争いのうち、約77.6%が、相続税と関係ない5000万円以下の遺産分割で揉めているのです。

こうした事実からも、生前の相続対策の重要性が分かります。

行政書士業務との組み合わせ(例)

遺言作成 生前から顧客と一緒に話し合い、エンディングノートや遺言の作成を支援。

争いなく相続を追えることで、二次相続のときにもリピートで相談される、といったこともあるでしょう。

他にも、相続系の資格としては、以下のようなものもあります。

  • 相続士(NPO法人日本相続士協会)
  • 相続アドバイザー(NPO法人相続アドバイザー協議会)
  • 相続手続きカウンセラー(一般社団法人相続手続カウンセラー協会)
  • 相続検定(一般社団法人日本金融人材育成協会)
  • 終活カウンセラー(一般社団法人終活カウンセラー協会)
  • 遺言執行士(一般社団法人日本遺言執行士協会)
「専門家っぽさ」は、とても大事

相続のことに詳しくない人(つまり、顧客)から見ると、「相続診断士」という肩書は、「相続の専門家」っぽく見えるものです。

この「専門家っぽさ」というのは、集客においてとても重要です。

例えば、以下の2人の行政書士がいたとします。

  • 「行政書士」の肩書のみ
  • 「行政書士」「相続診断士」の2つの肩書あり

すると、顧客から見れば、後者のほうが専門家っぽく見えるので、相談したくなるのです。

相続診断士に限らず、このように「専門家っぽく見える」というのは大事なことですので、覚えておいてくださいね。

(14)ビジネス実務法務検定

ビジネス実務法務検定があると

  • 取締役会議事録、株主総会議事録などを読み解ける
  • コンプライアンス(法令遵守)を扱う業務ができる

など

ビジネス実務法務検定(ビジ法)は、「会社の法務部門にて仕事をする人向け」の資格である印象が強いものです。

しかし、昨今の会社経営においては、コンプライアンス(法令遵守)を違反しないことがより重要になってきています。

行政書士とのダブルライセンスによって、企業法務の面でも活躍できるようになります。

なお、法律実務に生かせる知識が得られるのは2級以上とされています。

行政書士業務との組み合わせ(例)

BtoB 契約書や規約書の作成・リーガルチェックといった業務で、ビジ法が活かせます。

また、ビジ法を持っていることで、「コンプライアンスを遵守してくれる行政書士である」ことが伝わり、信頼感が上がるというメリットもあります。

(15)個人情報保護士

個人情報保護士があると

  • 個人情報の保護に精通し、適正な取扱や安全管理を行える

など

近年、人情報保護法の改正やマイナンバー法の成立などもあり、個人情報保護がよりいっそう重要になってきています。

個人情報保護士の資格を取得することで、以下のような業務で取り扱う個人情報を適切に取り扱うことができ、顧客からも信頼されます。

  • 相続
  • 遺言
  • 会社設立
  • 各種許認可

行政書士業務との組み合わせ(例)

BtoB 企業も、個人情報の取り扱いに敏感になってきています。

顧客によっては、「この行政書士に個人情報を渡しても大丈夫?」のように心配されることもあるかもしれません。

そういった場合に、個人情報保護士の資格があることで、安心・信頼してもらうことができます。

(16)語学スキル(例:TOEICなど)

語学スキルがあると

  • 入管業務など、英語力が必要な業務で差別化できる
  • 外資系など、英語を日常的に使う企業にも貢献できる

など

「資格」ではありませんが、語学力があると、仕事に活かせる場面が出てきます。

例えば、入管業務では、外国人と話す機会が多くなるので、語学スキルがあると便利です。

ちなみに、例えばTOEICの場合、実務に活かせるのは700点以上が必要と言われています。

行政書士業務との組み合わせ(例)

入管業務 語学スキルがあることで、外国人とのコミュニケーションがスムーズになり、申請のための要件などを正確に伝えられるようになります。

語学力もある行政書士は、全体から見ても少ないので、他事務所との差別化になり、集客にもプラスに働きます。

なお、行政書士の入管業務については、以下の記事でも解説していますので、あわせてお読みください。

>> 行政書士の「入管業務」は儲かる!データを元に将来性・魅力を分析

どのような資格でも、組み合わせ次第

ここまでで、行政書士の代表的なダブルライセンスの資格を紹介しました。

しかし、ここに挙げた資格だけがすべて、というわけではありません。
どのような資格でも、組み合わせ次第で、仕事に活かすことができます。

例えば、「行政書士+心理カウンセラー」という組み合わせはどうでしょうか?

相続の手続き(実務)に加え、大切な人を失った心の傷を心理カウンセラーの資格でサポートできるかもしれませんよね。

明確な単価アップにならなかったとしても、「心理カウンセラーも取得しているので、心に寄り添うサポートが可能」のようにホームページで訴求すれば、他の事務所との差別化にもなり、集客にもプラスに働きます。

ダブルライセンスの割合

月刊 日本行政 2024年3月号」によると、ダブルライセンスを取得している行政書士は、全体の24.6%です。

行政書士のダブルライセンスの割合
宅建士、社労士、税理士とのダブルライセンスが多い。

上記のデータから、「社会保険労務士」「宅建士」とのダブルライセンス取得者が多い、ということが分かります。

※税理士との兼業について

税理士との兼業が多いのは、「税理士資格を取得すると、行政書士資格も取得できる」からです。

実際、税理士との兼業(130人)のうち、113人(86.9%)は、「税理士資格を取得して、行政書士になった」人です。

このことから、「行政書士を取得した後に税理士を目指す」人は、非常に少ないことが分かります。

行政書士にお勧めのダブルライセンス:ベスト3

お勧めのダブルライセンス:ベスト3

ここまでで、行政書士のダブルライセンスをいくつかご紹介しました。

その中でも、お勧めのものを、以下にご紹介します。

※筆者の主観も含みます。

(お勧めNo1)社会保険労務士

一番のお勧めは、「社会保険労務士」です。

理由

  • 他の難関資格に比べて、比較的短い期間で取得を目指せる(コスパがいい)
  • 行政書士が得づらい「継続収入」を、社労士の顧問契約で実現できる
  • 業務の幅が広がり、ワンストップで顧客の課題を解決できる(例:会社設立⇒顧問契約で労務も対応、など)

会社設立や許認可申請など、BtoBの仕事をメインにしている行政書士は、社会保険労務士の資格を活かせる場面がとても多いのです。

(お勧めNo2)宅建士

理由

  • 試験範囲がかぶっているので、短い期間で取得を目指せる(コスパがいい)
  • 相続や各種許認可など、行政書士の業務との噛み合わせがいい

先ほどデータをご紹介しましたが、宅建士と行政書士のダブルライセンスを取得している人は、比較的多いです。

多いということは、「それだけ業務にも活かせるから、多くの人が取得している」とも言いかえられます。

(お勧めNo3)建設業経理士

特に、建設業許可をメインにしている行政書士事務所には、おすすめの資格です。

理由

  • 短い期間で取得を目指せる(コスパがいい)
  • ウリにしている行政書士が少なく、差別化できる

なお、建設業許可という業務自体、以下のような複数のメリットがあります。

  • 単価が比較的高い(建設業許可の申請で、約10~15万円)
  • リピート業務が多い(毎年の決算届、5年ごとの更新)
  • 派生業務が多い(例:経営事項審査、電気工事業者登録、マンション管理業登録、など)

建設業経理士の資格も取得することで、さらに「稼ぎやすい」業務になっていくでしょう

トリプルライセンスなら最強の資格に

資格は、かけ算で専門性が高まっていきます。

例えば、「行政書士×社労士×宅建士」のトリプルライセンスを考えてみましょう。

飲食店を開業するケース この場合、行政書士としては、「営業許可申請」「会社設立」を担当できます。

さらに、営業許可を取得できるか?判断するには、テナントとして利用する建物の構造を的確に把握する必要があります。
これには、宅建士の資格が活きてきます。

また、会社設立後の労務、社会保険の手続などには、社会保険労務士で対応できます。

もちろん、トリプルライセンスを取得するには、それだけ時間と労力もかかります。

しかし、全体数が少ない分、差別化にもなり、顧客にも喜ばれます。

あなたの目指す働き方に、トリプルライセンスが必要であれば、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

まとめ

それでは、本記事のポイントをまとめます。

まとめ

  • ダブルライセンスには、「売上面でのメリット」「労力・時間がかかるデメリット」がある
  • ダブルライセンス=集客できる、ではないので、要注意
  • あなたの望む働き方・提供したいサービスに見合う資格があれば、ぜひチャレンジ!

参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

株式会社ミリオンバリュー代表士業専門Web集客コンサルタント大林 亨輔
累計500以上の士業事務所のWEB集客をサポートしてきた、士業専門Web集客コンサルタント。

船井総研出身の父の背中を見て育ち、22歳の時に独立起業。
士業業界のホームページ制作・SEO・PPCといった集客サポートを行い、独自の【士業専門3ステップ集客ノウハウ】を確立。

全国各地でセミナーも行い、ノウハウの普及に務めている。

ディズニーとスターバックスが大好き。
「息子3人の食費がすごいので、仕事頑張ります」
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