先日、理念づくりの専門家である、大野幸子さんにお会いしました。
「経営理念」と聞くと、高尚なもののようにイメージされがちですが…
中小企業や個人事業主にも、理念はとても大事なものです。
そんな理念づくりのプロに、理念の作り方などをインタビューさせて頂きました。
なぜ、経営理念が大事なのか?3つのメリット
営業活動にも使えますし、それだけではありません。
採用にも、社員教育にも使える、万能選手なんです。
以下に、経営理念を作る、主なメリットをご紹介します。
(1)営業・ブランディング:自分に合う顧客を引き寄せる
理念を掲げると、自然と「自分と合う顧客を引き寄せる」ようになります。
理念は、言わばその人の”想い(内面)”を表現したものです。
だからこそ、合う人は惹かれてきます。
逆に、合わない人は自然と離れていきます。
(2)採用:時間短縮&いい人材を確保できる
採用活動には、多くの時間がとられるものです。
かと言って、かけた労力ほど成果が得られるのか?と言えば、そうではない…。
多くの求職者の面接をこなすだけでも、一苦労ですよね。
理念を明確にすると、その理念に共感した人だけが応募してくるようになります。
簡単に言えば、「求職者を、あえてフルイにかける」ことができるのです。
そうなれば、少数精鋭の応募者だけを面接すればよくなりますよね。
時間も削減され、質も上がる。
一石二鳥です。
想いに共感した人が集まってきてくれるので、離職率も低くなります。
(3)社員教育:業績アップに貢献してくれる
理念を明確にすることで、全員の方向性が一致します。
社員教育の方針も明確になり、全員が同じ方向に向かって、迷いなく進めます。
結果、社員一人一人が業績アップに貢献してくれる、主戦力に育っていきます。
理念に関する、よくある悩み・失敗×2
(1)調べれば調べるほど、分からなくなる
ミッションとか、バリューとか、使命とか…。
言葉の定義に振り回されてしまっている人も、よくお見かけします。
実際、経営理念について調べてみると、いろいろな用語が出てきます。
- ミッション
- バリュー
- クレド
- 方針
- 判断基準
- 企業価値
- 使命
- 社是
- 価値感
- 信条
- 貢献
- などなど…
人によって使う用語が違うので、よく分からなくなって当然と言えます。
(2)作らなきゃ!が先行し、「何のために作るのか?」が欠けている
「何のために作るのか?」が欠けたまま、「作らなきゃ!理念がないとダメだ!」だけが先行してしまっているケースも、よく見かけますね。
これはまさに、「手段の目的化」ですね。
経営理念を作ること自体は、「手段」であり、「目的」ではありません。
経営理念を作った先にある「目的」をハッキリさせないと、迷走することになりかねません。
理念の重要ポイントは「仕事をしているか?」だ
それが、「その理念は、仕事をしているか?」という視点です。
ここでいう「理念の仕事」とは、次の3つを指します。
(仕事1)見るたびに、グッとくる
他に選択肢があるのに、その道を選んだのだから、理念を見て「そうだ!これが自分の軸だ!」と、自分を奮い立たせること。
これが、理念の大事な仕事の1つです。
「グッとくる」というのは、すごく大事な感覚です。
自分がグッと来ないものに、他人が共感してくれるはずはないですよね。
注意!高尚なものを作る必要はない
社会に貢献するとか、世界を変えるとか…。
それにグッと来るならいいのですが、グッと来ないなら、意味がありません。
これを図にすると、以下のような感じです。
ある人が、経営理念を作るとします。
この人は、本当は、A地点を目指したいと思っている。
しかし、世間の評判を気にして、「私たちは、Zを目指しています」という理念を作ってしまうわけです。
しかし、Z地点は、今の自分の位置と距離があるので、現実味がない。
ワクワクしない。
全然、ぐっと来ない。
これでは、理念を作った意味がないのです。
この場合、まずは「私たちは、Aを目指しています」という理念でいいのです。
理念は進化する。作り変えてもいいのです。
そして、A地点まで行く間に、次のB地点に向かうのがワクワクしてきます。
そうしたら、理念を「私たちは、Bを目指しています」という表現に変えればいいのです。
経営理念は、周りに認められるために作るのではありません。
自分の想いを言葉にし、自分を奮い立たせ、共感者を集めるために作るものです。
だからこそ、周囲の目を気にした上っ面の理念には、要注意なのです。
(仕事2)差別化要因になっている
自分の想いに共感してくれる人をフルイ分けし、時間を節約してくれるんです。
先ほど、メリットの部分でもお話しましたが、理念を掲げると、共感した人が集まってくるようになります。
- ここは、自分に合っている。この人にお願いしたい!
- ここは、自分に合ってない。他のところに行こう
このように、見込み客や求職者を、未然にフルイ分けしてくれるのです。
私は、日々ビジネスの世界で挑戦し続ける経営者を応援したい!と思っています。
逆に言えば、挑戦していない人には、来てほしくない。笑
そうすると、会話が弾む。
お互いが共感しあっていることが感じられる。
これが、リトマス試験紙ってことです。
「ここは、他と違う」と思ってもらえるかどうか?
これも、理念の大事な仕事なのです。
(仕事3)コミュニケーションを生み出す
相手に喉を乾かせて、「もっと知りたい!」と思ってもらえるか?が大事なんです。
経営理念は、「この人・この会社のことを、もっと知りたい!」と思ってもらうための、コミュニケーションツールです。
そういった意味で、「広告」と「理念」は、明確に役割が違います。
「広告」は、完結しなければならない
例えば、セールスレターは、それを読み切った時に、見込み客に「今すぐ買いたい!」と思ってもらうのが役目です。
「これって、どういうこと?」のような、疑問を持たせてはいけないのです。
「理念」は、完結してはいけない
それに対して理念は、ある意味「完結してはいけない」ものです。
理念を読んだだけでは、すべてを理解できない。
でも、なにか気になる。
これが、「喉が渇いた」状態です。
そして、相手から自発的に「これって、どういうことですか?」と会話が続いていく。
知れば知るほど、その人は、その理念に惹き込まれていく。
これが、理念の3つ目の仕事です。
理念の作り方:構成要素は4つ
大野さんいわく、理念の構成要素は、大きく分けると4種類だそうです。
以下に、簡単にご紹介します。
- どうしてその仕事を始めたのか?
- どうしてその仕事を続けているのか?
社会性
- 最終的にどのような社会性を実現したいのか?
手段
- 社会性を実現するためにどのようなアプローチ(製品・サービス・行動)を取るのか
対象
- 社会性を実現するために、誰に価値を提供するのか
あなたもぜひ、1つ1つ考えてみてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
余談ですが、私と大野さんの出会いのキッカケは、私が書いたこちらの「経営理念の作り方」の記事でした。
この記事を大野さんが見つけてくれて、直接メッセージをいただき、お会いできたのです。
ご縁というのは、こういった偶然から繋がっていくものなのですね。
正直、言葉の定義なんて何でもいいんです。
大事なのは、「その理念が仕事をしているか?」です。
人は、本当にやりたいもの、自分の中心を見つけたときから、自分の心に正直に生きはじめると思います。
それはまさに、心で生きる状態ではないでしょうか。
ココロイキは、一人でも多くの「ココロでイキる」を実現するために、ひらめきと愛情をもって”心意気”を表現してまいります。
大野さんは、理念の作り方セミナーなども開催されています。
ご興味ある方は、ぜひ参加してみてくださいね。
大野さん、今日は本当にありがとうございました!
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