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経営理念の作り方。明確な”Why”は、圧倒的な差別化要因になる!

経営理念の作り方。明確な”Why”は、圧倒的な差別化要因になる!

「経営理念」と聞くと、大企業のもの、と思われる方もいるのではないでしょうか。

しかし、実は経営理念は、大企業だけのものではなく、中小企業はもちろん、士業事務所のような自営業者や、個人においても必要不可欠なものです。

ビジネスにおいては、経営理念があることで、他との圧倒的な差別化要因になります。
(理由は後でお話します)

個人の理念は、その人の目標達成に役立ち、人生をより良くしていきます。

今日は、そんな「経営理念」について、その概念やメリット、作り方、浸透のさせ方などを解説します。

※便宜上、「経営理念」という言葉を使っていますが、士業事務所であれば”事務所理念”、個人であれば”自分の理念”に置き換えて読むと、理解しやすいかと思います。
※経営理念という言葉は、人によって、企業理念、ミッション、ミッションステートメント、ビジョン、などの別の言葉で解説されることがありますが、ここでは分かりやすいように”経営理念”という言葉でお話します。

目次

経営理念とは?

経営理念とは、いろいろな書籍やコンサルタントによって、その定義が異なりますが…

ここでは、経営理念とは「企業の存在価値のこと」としてお話します。
もっと簡単に言うと、「なぜ、その企業が存在しているのか?」「何のために、その会社があるのか?」ということです。

このお話をする上で、Whyから始めよ!という書籍で解説されている概念が非常に役立つので、簡単に紹介します。

Screenshot

Whyから始めよ!

「なぜ、その企業が存在しているのか?」「なぜ、自分が存在しているのか?」Why?を考えることで、圧倒的な差別化を実現することができます。

この書籍の中では、以下の3つの言葉が出てきます。

  • What:何を売るか?(商品やサービスのこと)
  • How:どのように売るか?(マーケティングや価値観のこと)
  • Why:なぜ売るか?(存在価値、存在理由のこと)

この内のWhyを、経営理念として理解すると分かりやすいと思います。

この3つの要素が、会社の命運を分けると言っても過言ではないのです。

どういうことか?
詳しく説明していきましょう。

多くの企業は「What」から考え始める

ビジネスにおいては、多くの人が、Whatから考え始めます。

例えば士業で言えば、「相続税対策のサービスを提供しよう」「離婚相談のサービスを提供しよう」のような感じですね。

そして、Whatが決まったら、それをどのように売るか?つまり、Howを考え始めます。
ホームページを作ったり、広告を出したり、などのマーケティングをやり始めるわけです。

これを図にすると、以下のようになります。

多くに人は、Whatから始めてしまう…

しかし、多くの場合、Whatそのものでは差別化は難しいものです。

革新的な技術力があったり、特許を取得できるくらいの商品であれば、一時的にはWhatそのもので差別化できるかもしれません。
しかし、技術革新が進むにつれて、ライバルに必ず真似されるようになります。

士業事務所でも同じことで、自分にしかできないサービス、というのは、ほぼ存在しないでしょう。

なので、Whatから始めると、最終的には、価格競争に陥ってしまう可能性が高くなるのです。
他と比べても差がないのであれば、人は安いところから買おうとしますので、当然と言えば当然です。

「Why」から考え始めることで、圧倒的な差別化になる!

では逆に、Whyから考え始めたら、どうでしょうか?
つまり、経営理念から考え始めたら、どうでしょうか?

参考になる事例としては、アップル(Apple)が挙げられます。
iPhoneやiPodで有名な、あのアップルです。

Appleは、「Think different」というスローガンを掲げています。
「他と違うことをやること」が、Appleの理念であり、Whyなのです。

このWhyを元にして、iPhoneやiPod、Macなどの商品(What)が生み出されているのです。

これを図にすると、以下のようになります。

Whyから始めて、HowやWhatを具現化していく!

よくよく考えてみると、iPhoneやiPodやMacは、全く別分野の商品です。

iPhoneはスマートフォン(携帯電話)ですし、iPodは音楽プレイヤーですし、Macはパソコンです。
iTunesに至っては、形のある商品ではなく、Web上の音楽メディアです。
このように、商品のジャンル自体は、てんでバラバラです。

また、商品力という意味ではどうでしょうか?
例えばiPhoneは、他のスマートフォンに比べて、圧倒的に機能が優れているのでしょうか?

違いますよね。
こう言ってはアレですが、iPhoneでしかできないこと、というのは、ほぼありません。
他のスマートフォンも、機能的には大差ないはずです。

しかし、根底にあるWhyを一貫して守り続けているからこそ、顧客にはすんなり受け入れられ、選ばれるのです。
売上も、右肩上がりで伸びています。
そして、熱狂的なファンが生まれます。

「Appleは、クールだ」
「Appleを使ってると、なんだかかっこいい」

こういった、見えない価値を生み出しているのは、他でもない「Think different」という考え方に、ファンが知らず知らずのうちに影響されているからなのです。


このように、Why(経営理念)が明確になっていると、圧倒的な差別化要因になるのです。

なぜ、経営理念は重要なのか?7つの理由

経営理念の重要性について、なぜ重要なのか?の7つの理由を解説します。

(1)圧倒的な差別化要因になる

先ほどのAppleの事例にもあるように、経営理念(Why)が明確か?そうでないか?で、最終的な売上に大きな違いが出ます。

経営理念(Why)は、顧客から見た時に「他と違う」「なんだか、こっちの方がいい」という見えない価値を生み出します。

Whyは、HowやWhatと違い、真似することができないものです。

Whatは、簡単に真似されます。
似たような商品やサービスを、より安く提供してくるライバルが、必ず出てきます。

また、Howも真似されます。
マーケティング手法などは、結局はやり方の問題なので、真似しようと思えば真似できてしまいます。

しかし、Whyは真似できません。
表面的に真似したとしても、その根底にあるものはそれぞれの会社や個人で異なるので、真似できないのです。

これが、圧倒的な差別化要因となり、大きな強みになるのです。

(2)「アンテナ」が立ち、目標達成が早くなる

理念が明確になると、アンテナが立ちます。

どういうことか?
例を挙げて、簡単に説明します。

例えば、今日あなたが事務所に来るまで、”赤い車”を何台見たでしょうか?
おそらく、覚えていないですよね。

では、今日あなたが家に帰るまでに、”赤い車”の台数を数えてみて下さい。
“赤い車を見つけよう”と考えながら歩いていると、赤い車が目に飛び込んできます。
そしてあなたは、1台、2台、のように、いくつもの赤い車を見つけるでしょう。

きっと、事務所に来る時も、帰る時も、赤い車は、同じくらいの確率で見ているはずです。
しかし、意識しているか?していないか?で、情報をキャッチできるかどうか?が全然違うのです。

これは、経営理念も同じことです。

「なぜ、その企業が存在しているのか?」が明確になって、「自分はこのために存在しているんだ!」という方向が分かると、その方向に進むための情報が、どんどん目に飛び込んでくるようになるのです。

目標達成のために必要な情報を、逃さずキャッチできます。
新たなビジネスチャンスに気付く確率も、高くなります。

このように、理念が明確になると、アンテナが立って、目標達成が早くなるのです。

(3)いいお客様が増える

不思議なもので、理念を明確に打ち出すと、その理念に共感してくれたお客様が集まってくるようになります。
つまり、あなたの会社にとっての「いいお客様」が増えるのです。

先ほど、Appleの事例を出しましたが、Appleを選ぶ顧客は、無意識に「Think different」という考え方に惹かれています。

「他と違う存在でありたい」
「かっこよくて、クールな人だと見られたい」

こういう人が、こぞってAppleを買い求めます。

このように、経営理念が顧客にも伝わることで、いいお客様がどんどん増えていきます。

(4)やるべきことが明確になり、迷わなくなる

例えば、新しい商品やサービスを出そう!という話になった場合。

Whyが明確じゃないと、やれ「利益率だ」「商品力だ」のような、表面的な話で終わってしまいます。
結果的に、新商品や新サービスを出しても、あまり売れない…。
かえって商品数が増えてしまって管理が大変…、なんていうことにもなりかねません。

しかし、Whyが明確なら、「なぜ、その商品が必要なのか?」「その商品は、自社のWhyを実現するために必要かどうか?」という部分から考え始めることができます。

そして、Whyの実現にふさわしいものだけを選び、そのマーケティングに注力することができます。

このように、Whyが明確になると、やるべきことが分かり、シンプルになり、迷わなくなります。

どんな企業や事務所でも、リソースには必ず限りがありますので、物事をシンプルにして、そこに集中することは、とても大切です。

(5)マニュアル化できない部分に、柔軟に対応できる

今の時代は、変化の時代とも言えるくらい、いろいろなころがどんどん変化しています。
そうなると、マニュアル化しようにも、マニュアル化できない部分も出てきます。

しかし、Whyが明確になっていて、「なぜ自分が働いているのか?」が分かっていれば、どんな状況にも柔軟に対応できるようになります。

詳しくは、後ほど、スターバックスとディズニーの事例を参考にご紹介します。

(6)共通のゴールが見え、一致団結できる

今の時代は、変化の時代とも言えるくらい、いろいろなことがどんどん変化しています。

また、人によって価値観は多種多様です。
組織のメンバー一人一人が、別々の方向に向かっていては、上手くいかないのは目に見えていますよね。

経営理念が明確になっていれば、皆の共通のゴールが見えるようになります。
すると、そのゴールを目指して全員が一致団結できるので、チームビルディングにも役立つのです。

(7)理念に共感した人が集まるので、採用が楽になる

「当社の理念は、●●です」

このように理念をしっかり伝えていくことで、その理念に共感した人が「一緒に働きたい!」と思って集まってきます。

つまり、会社と従業員が目指す方向が同じ、ということです。
これは、2人以上の組織においては、とても大事なことと言えます。

最初から同じ方向を目指して入社してくるので、社員教育もスムーズになり、会社にとっても従業員にとっても、Win-Winの関係が築けます。

なぜやるか?が明確だと、こんなことができる!(スタバとディズニーの事例)

先ほど、「なぜやるか?が明確だと、マニュアル化できない部分に対応できる」とお伝えしました。

ここでは、その事例を2つ、ご紹介します。

スターバックスの事例「交通事故に遭われた顧客への神対応」

ある時、スターバックスのお店の目の前で、交通事故は起こったそうです。
幸い、事故自体は大きな事故ではなかったのですが、当事者の女性はオロオロしていて、とても心配そう…。

その事態に気付いたスターバックスのスタッフさんは、こんな行動に出たのです。

「大丈夫ですか?少しばかりですが、このコーヒーを飲んで、心を落ち着かせて下さい」
そう言って、一杯のコーヒーを、その女性に渡したそうです。
もちろん、無料で。

これって、どう考えても、マニュアル化できないですよね。
「お店の前で交通事故が起きたら、コーヒーを一杯、無料で差し上げましょう」なんていうマニュアルは、作りようがありません。

しかし、スターバックスは、根底の理念を徹底して社員に共有しているからこそ、こういった神対応ができたのです。

後日、この女性から、御礼のお手紙が届いたそうです。

スターバックスの理念

スターバックスのミッションステートメントは、「人々の心を豊かで活力あるものにするために - ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」というものです。

スターバックスは、「私たちは、コーヒーを売っているのではありません。感動体験を提供しているのです」という考え方が、社内に浸透しているのです。

だからこそ、先ほどのような神対応ができたのですね。

ディズニーランドの事例「3.11の大震災の対応」

3.11の大震災の時のことです。

ディズニーランドも震災の被害を受けましたが、その時のキャスト(スタッフさんのこと)の対応は、素晴らしいものでした。

私も以前、ディズニーでキャストとして働いていたことがありましたが、ディズニ(オリエンタルランド)には、経営理念を元に「SCSE」という行動基準が定められています。

  • Security:安全性
  • Courtesy:礼儀正しさ
  • Show:キャスト全員が1つのショーを演じること
  • Efficiency:効率

これらの頭文字を取って「SCSE」と呼ばれているのですが、上から順に大事な順番に並んでいます。
つまり、Security(安全性)が最重要で、次がCourtesy(礼儀正しさ)、その次がShow(ショー)、最後がEfficiency(効率)という順番で行動しましょう、ということです。

なので、例えば、ある行動をすることで効率が良くなったとしても、それが安全でなかったり、ゲストに対して礼儀正しさが欠けるものであるなら、その行動は不適切である、ということになるのです。

このSCSEという行動基準があったからこそ、3.11のような緊急事態にも、全てのキャストが自分で判断して行動できたのです。

  • 寒さを凌ぐために、ダンボールを配布する
  • 防災頭巾の代わりとして、ぬいぐるみをゲストに手渡す
  • お菓子を配る

ディズニーでは通常、ダンボールは、ショーを維持するために、ゲストの目に触れさせてはいけないのです。
しかし、この時は安全性を確保するために、ショーよりも優先して、ダンボールを配るという行動ができたのです。

それも、上からの指示を待たずに。

これができるのは、ディズニーが経営理念のもとに、明確な行動基準を定めており、それが全キャストに浸透していたからなのです。

ディズニー(オリエンタルランド)の理念

ディズニーには、「全てのゲストに、ハピネスを提供する」という考え方があります。

これをより具体的に「SCSE」という行動基準に落とし込み、それを全キャストが共有しています。

だからこそ、普段のオペレーションはもちろん、仮に緊急時のマニュアルが無かったとしても、全キャストがゲストのために判断して、自分で行動できるのです。

すべての産業は、感動経験産業になれる

スターバックスやディズニー(オリエンタルランド)は、提供している商品自体は、全然別のものです。

スターバックスは、コーヒー。
ディズニー(オリエンタルランド)は、テーマパーク。
まったく別物です。

しかし、根底にある考え方は、非常によく似ているものがあると感じませんか?

スターバックス元CEOの岩田松雄さんは、ある講演会で、こんなことを言っていました。

スターバックスの競合は、タリーズやドトールではありません。
スターバックスは、飲食業ではなく、感動経験産業です。
スターバックスの競合は、ディズニーランドや、リッツカールトンや、バグジーなのです。
そして、すべての産業は、感動経験産業になれると、私は思っています。
~ 岩田松雄(スターバックス元CEO) ~

この感動経験産業というのは、第5次産業とも呼ばれます。

図にすると、以下のようになります。

すべての組織は、感動経験産業を目指せる!

第1次産業~第4次産業までは、「扱っている商品・サービス内容」を元に、産業の名前が付けられています。
(IT産業は、IT関連商品を扱っているから、IT産業と呼ばれる訳です)

しかし、第5次産業は違います。
第5次産業は、「お客様の感動」にフォーカスしています。

つまり、扱っているサービスや商品、業種に限らず、どん産業であっても、第5次産業(感動経験産業)を目指すことができると言えるのです。

そして、感動経験産業を目指すには、経営理念は必要不可欠と言えます。
経営理念がないと、ただ単に「私たちは●●を売る会社です」のようなステージで止まってしまうからです。

売っているサービスや商品は、単なる手段でしかありません。
その手段を用いて、世の中にどんな影響を与えていくのか?

経営理念が明確になることで、感動経験産業にステージアップできるのです。

経営理念の作り方と注意点

では、経営理念の作り方について解説していきましょう。

作り方のみならず、作る上で気をつけるべき注意点についても、合わせて解説します。

経営理念の作り方:ポイント2つ

経営理念を作る上で大事なのが、「感情にフォーカスすること」です。

誰の感情か?と言うと、その組織の代表の感情です。
会社であれば社長、士業事務所であれば所長の感情です。

経営理念は、マーケティングのように、理屈をこねくり回してできるものではありません。

感情をヒントにして、そこを深掘りしていくことで、経営理念が具現化されていくのです。

(1)自分の「好き!」をヒントにする

一つ目のポイントは、「好き!」という感情をヒントにすることです。

好き!という感情には、理由がありません。

例えば、異性を好きになる気持ちの理由を説明できますか?
理屈を言えば「顔が良かった」「性格が良かった」など言えると思いますが、それだけではないはずです。

理由は分からないけど、なんか好き。
感情というのは、そういうものです。
そして、そこに経営理念のヒントが隠されています。

やり方としては、「自分自身の感動体験を探る」のは、良い方法です。
これまでに、あなた自身が感動した経験を深掘りしていくのです。

例えば、私自身の例で言うと、次のように深掘りしていけるようになります。

私(大林)の事例

私は、ディズニーが大好きです。
ディズニーランドに行くのも好きですし、映画を見るのも大好きです。
大好きすぎて、ハロウィンの時には、仮装してしまうくらい大好きです。(笑)

ハロウィンには仮装しちゃうくらい、ディズニーが大好きです。(写真左が私、右は妻です)

では、なぜ私は、ディズニーに惹かれているのか?

深掘りしていくと、ディズニーの中の「夢を実現する」という部分に強く惹かれていることが分かってきます。
そして、夢を実現しようと頑張っている人を、心の底から応援したい!という想いが自分にあることに気付きます。

つまり、自分の理念は「夢見る人の夢を実現させること」なのでは?というように気付ける、といった感じです。

「好き!」という感情は、漠然としているものです。
なので、それだけでは経営理念に落とし込むことはできません。

この漠然とした「好き!」という感情を深掘りすることが必要不可欠なのです。
深掘りしていくと、その中の特にある部分に強く惹かれていることが見えてきます。

そこに、あなたの経営理念のヒントが隠されています。

(2)自分の怒り・悲しみにヒントにする

もう一つは、先ほどの逆で、「自分の怒り・悲しみ」にフォーカスすることも、ヒントになります。

何かに怒ったり、何かに悲しんだりする、ということは、そこにあなたの感情が動く何かが隠されている、ということでもあります。

  • 漠然とした怒りの感情があるけど、その中の何に特に怒りを感じているんだろう?
  • 漠然と悲しい感情が湧いてきたけど、悲しみの真の要因は何だろう?

このように深掘りしていくことで、経営理念のヒントを手にすることができます。

経営理念を作る時の、3つの注意点

(1)自分一人で考えない

先ほど、「感情にフォーカスして、そこを深掘りしましょう」というお話をしました。

しかし、多くの場合、普段から感情を意識している人は稀なので、自分一人でやろうとしても、上手くいきません。

例えば私の場合だと、「自分はディズニーが好きだ!……………で?」のように、深掘りしようとしても、上手くできないのです。

経営理念を考える時には、コーチなど、感情の深掘りをサポートしてくれる人と一緒にやることをお勧めします。

ちなみに私も、コーチの方にサポートしてもらっています。

コーチのサポートがあることで、感情を深掘りしていける
(上記画像の右側の女性が、私のコーチの伊藤エリさんです)

コーチングというものは、コンサルティングと違って、答えを与えてくれるのではなく、答えにたどり着けるように導く役割を果たしてくれます。

コーチの質問によって、漠然とした感情の余計な部分を削ぎ落として、感情の核心部分を見極めていくような、そんなイメージです。

コーチは、言うなれば「彫刻家」のようなものです。
彫刻家は、石や木を削って、素晴らしい彫刻を仕上げていきますよね。
コーチは、質問というアプローチを使って、クライアントの感情を深掘りして、答えへと導いてくれるわけです。

なお、コーチングのメリットについては、以下の記事でも解説していますので、ご参照下さい。

>> 【図解】コンサルティングとコーチングの違い。効果など比較してみました。

(2)今の自分の仕事を元に、Whyを考えない

経営理念(Why)を考える時に、今の仕事をベースにして考えてはいけません。

今の仕事をベースにして考えようとした時点で、What(商品・サービス)に縛られていることになります。

例えば私は、ホームページ制作会社の代表ですが、「ホームページ制作」というサービス内容に縛られて経営理念(Why)を考えようとしても、上手くいきません。

せいぜい、「●●なホームページ制作会社になる」的な、毒にも薬にもならないような、当たり障りのないものしか出てこないでしょう。

あなたが税理士なら、「税理士」という業務を、いったん忘れてください。
あなたが行政書士なら、「行政書士」という業務を、いったん忘れてください。

「税理士」「行政書士」という仕事は、Whyを実現するための、単なる手段です。
極論を言えば、Whyが実現する上でもっと良い手段(仕事)があるなら、税理士や行政書士でなくてもいいのです。

例えば、ライザップの理念は、こちらです。

「人は変われる。」を証明する
~ライザップ~

ライザップと言えばダイエットですが、理念には「ダイエット」という言葉は1つも入っていません。
逆に、入っていないからこそ、業種の枠を飛び越えた発想ができるのです。

実際、「あなたの料理上達にコミット!」という、ライザップ・Cookというサービスも出ています。
また、「スコアにコミットする」という、ライザップ・ゴルフというサービスもあります。

ライザップは、ダイエットに縛られないからこそ、制限なく価値を提供できる
画像引用:
https://www.rizap-cook.jp/pc/
https://www.rizap-golf.jp/

今の業務に縛られると、感情を深掘りできなくなりますので、注意しましょう。

(3)作って終わり、ではない

経営理念(Why)は、作って終わり、ではありません。

この後お話しますが、作ったら、それを組織内に浸透させ、お客様にも伝えていく必要があるのです。

綺麗な額縁に入れて、社長室の壁に飾っておけばいい、というものではないのです。


以上が、経営理念の作り方と、その注意点の解説です。

分かりやすいように「作り方」と書きましたが、そもそも経営理念は「作る」ものではありません。

感情の中にヒントがある、とお伝えしたように、経営理念は「見つける」ものなのです。

経営理念の原石のようなものは、既にあなたの中にあるのです。

あとはそれを、感情の動きをヒントに掘り出していく、というイメージです。

経営理念を浸透させるには?6つの方法

経営理念を作ったら、次は浸透させる必要があります。

これは、「組織内に浸透させる」という意味合いはもちろん、「お客様に浸透させる」という意味合いも含んでいます。
つまり、マーケティングをする上でのメッセージの一部にもなる、ということです。

(1)ストーリーで伝える

経営理念を浸透させるには、ストーリーを使うのが効果的です。

多くの場合、理念そのものを見ただけでは、そこに感動もなければ、周りを巻き込む力もありません。

例えば、ある会社が「顧客第一主義!」という経営理念を掲げたとします。

しかし、この「顧客第一主義!」という言葉を見ただけで、あなたは感動しましたか?
この会社はいい!と思いましたか?
この会社で一緒に働きたい!と思いましたか?

おそらく、思えないですよね。

そうではなく、「顧客第一主義!」に至るまでのプロセスを、ストーリー(物語)で伝えるのです。

ストーリー(物語)は、人の心に残ります。
ストーリーには、人を動かす力があります。

経営理念を伝える時には、ストーリーにして伝えましょう。

(2)繰り返し伝える

経営理念を浸透させるには、繰り返し伝えることが大事です。

社内向けで言えば、例えば以下のような取り組みは効果的でしょう。

  • 朝礼で取り上げる(リッツカールトンも、朝礼でクレドを読み上げています)
  • 社内報で取り上げる
  • 事あるごとに伝える(うちの理念から考えると、この対応ってどうかな?など)

また、顧客向けには、以下のような伝え方が考えられます。

  • ホームページに載せる
  • 既存客向けにニュースレターなどを出し、そこに載せる
  • 事務所案内、会社案内に載せる

心理学の世界で有名な「ザイオンス効果」というものがありますが、繰り返し伝えることで、親しまれ、覚えてもらいやすくなります。

(3)投資を惜しまない

経営理念を浸透させたいなら、投資を惜しんではいけません。

ここで言う投資というのは、時間やお金の投資という意味合いです。

例えばスターバックスは、アルバイトも正社員も分け隔てなく、合計80時間・約2ヶ月もの研修プログラムを行っているそうです。

経営理念は、勝手に浸透していくものではありません。

お金と時間をかけて、少しずつ少しずつ伝わっていくのです。

(4)評価制度と連動させる

例えばディズニーリゾートでは、「ファイブスターカード」という評価制度があります。
(厳密には、ファイブスターカードによってお給料が上下するわけではないのですが、事例として分かりやすいのでご紹介します)

ファイブスターカードは、上司が、素晴らしいパフォーマンスを発揮したキャストに手渡すカードのことです。
ディズニーの理念である「ゲストにハピネスを提供する」を実践できたキャストが、カードを貰えるわけです。

このファイブスターカードを貰うと、そのキャストは、特別な記念品と交換できます。
また、ファイブスターカードを貰ったキャスト限定のイベントに参加できるといった特典もあります。

このように、経営理念の実現に貢献したメンバーを評価できる制度があると、皆が一つの方向に向かって頑張れるようになります。

(5)すべてに一貫性を持たせる

経営理念が決まったら、行動全てに一貫性を持たせる必要があります。
特に、その組織の代表は、その会社の顔とも言える存在なので、行動の一貫性はとても大事です。

例えば、「目の前の人に幸せを提供する」という経営理念を掲げた会社があるとしましょう。
その会社の代表が、プライベートの時間に、レストランに入ったとします。

そして、そこのスタッフさんに「おい、スタッフ!」「まったく、全然話を聞いてないな」のような対応をしたら、どうでしょうか?
どう考えても、幸せを提供できている訳ないですよね。

こういう代表に、社員はついてくるでしょうか?
おそらく、「なーんだ、経営理念は所詮お題目か」と思われてしまい、求心力は一気に低下するでしょう。

ビジネスではもちろん、プライベートの時間も、すべての行動に一貫性を持たせましょう。

(6)すべての行動基準にする

経営理念(Why)は、すべての行動の判断基準になります。

例えば、新サービスを考える時。
利益率やサービス内容の詳細うんぬんの前に、「このサービスを出すと、経営理念(Why)の実現に近づくか?」を考えましょう。

もし答えがYesなら、そのサービスは形にすべきです。
逆に、もし答えがNoなら、いくら利益率が高くても、そのサービスは出すべきではないでしょう。

このように、すべての行動の判断基準になるもの。
それが、経営理念(Why)なのです。

経営理念は、進化する

経営理念は、時代の流れや、会社・組織の成長とともに、進化していくものです。

経営理念だからと言って、変えてはいけない!というものではないのです。

より明確になっていったり、より先を目指すようになったり。
進化の仕方はそれぞれです。

なので、節目節目で見直してみると良いでしょう。

まとめ

最初にもお伝えしたとおり、経営理念(Why)は、「会社の存在価値(なぜ、その企業が存在しているのか?)」です。

よく、「企業の目的は、利益の最大化である」と言われますが、企業の存在価値は、利益の最大化にあるのではありません。

利益や売上は、企業が目指す場所にたどり着くための、燃料のようなものです。

旅行に例えて言えば、企業が目指す場所が「旅行の目的地」で、利益や売上は会社という車を動かすための「ガソリン」と言えます。
ガソリンを手に入れるために旅行しているわけではありませんよね。

このように、利益や売上自体を追求することが目的ではないのです。

かの有名な経営学者のフィリップ・コトラー氏も、マーケティング3.0の中で、こんな言葉を残しています。

企業は、世の中をよりよい場所にするために存在する
~フィリップ・コトラー~

もっと噛み砕いて言うと、「企業は、世の中をより良くするためにある」とも言えます。

つまり、「世の中をより良くするために、自分の企業に与えられた役割は何なのか?」を具現化したものが、経営理念と言えます。

  • 自分の会社は、何のために存在するのか?
  • 自分の事務所は、何のために存在するのか?
  • 突き詰めて言えば、あなた自身は、何のために存在するのか?

なぜ?なぜ?なぜ?

このように、Whyを突き詰めていった先に、ブレイクスルーが待っています。

ぜひ、あなたのWhyを探求し続けていってくださいね。

参考:有名企業の経営理念の事例

なお、参考までに、有名企業の経営理念を以下にご紹介します。

※各社によって、ミッション、ビジョンなど、いろいろな言葉で語られていますが、ここでは経営理念として認識します。

企業名 理念
辻本郷税理士法人 私たちは会計を通じて、安心のトップブランドの構築を目指します。
デロイト トーマツ税理士法人 経済社会の公正を守り率先してその発展に貢献する。
クライアントの期待を超える知的専門サービスを総合的に提供する。
各人の個性を尊重し能力を発揮できる生きがいのある場を創りだす。
KPMG税理士法人 Inspire Confidence, Empower Change.
社会に信頼を、変革に力を
西村あさひ法律事務所 「法の支配」を礎とする豊かで公正な社会を実現する。
最高のリーガルサービスを提供する。
我が国における法律実務発展のリーダーとなる。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 日本におけるリーディング・ファームとして、依頼者の多様化する法的ニーズに柔軟かつ機動的に対応してまいります。
Apple(アップル) Think different
※これは厳密にはAppleの広告キャッチコピーであり、実はAppleには、明確に理念として打ち出されているものはありません。
ユニクロ 服を変え、常識を変え、世界を変えていく
ZARA(ザラ) Fair respectful treatment
野村證券(野村グループ) 金融資本市場を通じて、真に豊かな社会の創造に貢献する
ライザップ 「人は変われる。」を証明する
NTT西日本 私たちNTT西日本グループは、技術と知恵で、世界に広がる情報流通の、エクセレントカンパニーをめざします
GU ファッションを、もっと自由に。
LINE(ライン) 私たちのミッションは、世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めることです。
USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン) 私たちは、世界のエンターテイメント・リーディングカンパニーを目指します。
そのために、ゲストの期待を常に上回る「ワールドクラスの体験」を提供し続けます。
パタゴニア 最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。
そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する。
パソナ 社会の問題点を解決する
リクシル 2020年までに世界で最も企業価値が高く、革新的で、信頼されるリビングテクノロジー企業となる
NTTドコモ 私たちは「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」に向けて、個人の能力を最大限に生かし、お客様に心から満足していただける、よりパーソナルなコミュニケーションの確立をめざします。
バニラエア 一. 社員と社会の豊かな未来を創造します。
一. 低運賃を提供するために常に創意工夫をします。
一. 日本品質で安心・信頼を提供します。
一. 地域の活性化に貢献します。
ワタベウェディング 真心の奉仕と知恵ある提案を通じて、すてきな生活文化を創造し、心豊かな社会の実現に貢献すること
ラウンドワン 日本の楽しいを、世界の楽しいへ
八芳園 豊かな環境とOMOTENASHIの心を通して、日本のお客様には心のふるさとを、外国のお客様には日本の文化をご提供し続けること
ゼビオ 公正な競争原理のもと、良質な人材、資金、組織を作り「お客様第一主義」にもとづいた事業活動を通じて、社会貢献を果たしていくこと
ゴールドジム 正しいフィットネス、トレーニングの普及により、人々の健康増進、身体機能低下防止に役立つことを通じて社会に貢献するという信念を持ち、そのための商品、場所、情報の提供を行うこと。

※上記の内容は、本記事執筆時点の、各社ホームページから参照しています。

これまでに寄せられたコメント一覧

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  1.  はじめまして、こんにちは
    私は大阪で工務店を営んでいます。
    妻と4人の子どもを持つ45歳のゴツめの男です(^o^)

     今年はじめ家業の工務店から独立して、まだ自営で一人ですが将来的には会社にしていきたと考えています。

     同業から進められた経営セミナーで、「願望」「思い」「ストーリーが大事」「怒り、悲しみにヒントがあるかも」など、ここに書かれてあることを学びました。そして私も自身の「Why」を探すべく、深いところに潜ったまま今だに潜りっぱなしです(*^^*)。なにかヒントは無いかなとネット検索でここにたどり着きました。

     この記事を読んで、頭の中が少しスッキリ整理出来たと言うか、少しだけ息が出来たと言うか、そんな感じがしました。改めて「Why」の大事さに気付かされ、また頑張って潜って探してみたいと思います。
    参考になる記事をありがとうございました。
      

    • tak様

      嬉しいコメントをありがとうございます!
      ご縁頂けたこと、嬉しく思います。

      「Why」は、自分の判断軸とも言えるものなので、私も重要視しています。

      takさんの次の一歩の後押しになれたのなら幸いです。

      今後ともよろしくお願いいたします。

      大林亨輔

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