先日、会計業界で大変有名な、天明茂先生と会食させて頂きました。
(上のお写真:真ん中の男性です)
その時に話した内容を、「仕事と人生を成功させる2つの原点」という視点でまとめてみました。
短期ではなく、長期的な成功をつかむ気づきになれば幸いです。
(1)目先の利益に惑わされない「人間力」を磨く
1つ目の原点が、「人間力」です。
天明先生は、仕事と人生において「人間力」を重要視されていました。
ただ、人間力と言っても、それだけだと漠然としていて、とらえどころがないですよね。
- 人間力とは何か?
- どうすれば人間力を高められるのか?
天明先生が考える、人間力についてお聞きしました。
人間力とは?
天明先生が言う人間力とは、ずばり「他の幸せを願う心と行動」のことです。
つまり、「利他の精神」とも言えます。
士業や経営者に必要な資質は、リーダーシップ・先見性・行動力など、いろいろなものが挙げられます。
その中でも最も大事なのが、「人間力」なのです。
人間力を高めることで、「あなたじゃなきゃダメ!」と言われる絶対的な信頼性を確立できます。
「他の誰でも良い」ではなく「あなたじゃなきゃ!」と言われる。
この根底にあるのが、人間力なのです。
人間力を高めるには?
では、人間力を高めるには、どうすればいいのか?
そのための在り方についても伺ってみました。
(在り方については、以下の記事でもまとめています)
>> 「在り方」を整えて、幸せを引き寄せるコツ
目先の利益ではなく、全体最適化を目指そう
ビジネスの世界では、利益はとても大切なものです。
お金の面での利益はもちろん、社員などの人的財産なども広い意味での利益と言えます。
しかし、自身の目先の利益(自利)だけを求めようとすると、長期的に成功するのは難しくなります。
例えば、マーケティングの世界も、「自利⇒利他」の方向に進化しています。
マーケティングの大家であるフィリップ・コトラー氏も、マーケティングの進化について、以下のように述べています。
マーケティング1.0 | マーケティング2.0 | マーケティング3.0 | |
---|---|---|---|
重視するもの | 製品・サービスそのもの | 消費者のニーズ | 自分が生み出せる価値 |
目的 | 製品・サービスを販売すること | 消費者を満足させ、つなぎとめること | 世界をよりよい場所にすること |
主なマーケティング・コンセプト | 製品・サービス開発に注力する | 自分と製品のポジショニング | ミッション、ビジョン、価値 |
上記のように、マーケティング1.0⇒2.0⇒3.0と進むにつれて、「自利⇒利他」の方向に向かっているのが分かるかと思います。
簡単に言うと、以下のような流れになっている、ということです。
- マーケティング1.0:製品志向のマーケティング。いい製品・サービスを作れば売れる、という考え方。
- マーケティング2.0:顧客志向のマーケティング。顧客のニーズを分析し、それに合うように自社をポジショニングする、という考え方
- マーケティング3.0:価値志向のマーケティング。自社のビジョン・価値を明確にし、世界をよりよい場所にすることを目指す、という考え方
天明先生はこれを「良知(りょうち)の経営」と話していました。
「売上を増やす、顧客数を増やす」という自利以上に、「世界をよりよい場所にすること」を目指す。
それが結果的に、自利にもつながる。
スタートを間違ってはいけない、ということです。
人間力は、「Whyから始めよ」とも関連する
このお話を聞いて、私は、「人間力の話は、”Whyから始めよ”にも関連しているな」と感じました。
詳細は、上記の書籍をご覧頂ければと思いますが、What(何を売るか?)や、How(どう売るか?)ということ以上に、Why(なぜ売るか?)が重要視され始めてきています。
こう言ってはアレですが、士業は、業務内容そのもので差別化するのは難しいものです。
「自分しかできない業務」というのは、基本的にないからです。
だからこそ、Why(なぜ売るか?)が大事になります。
言うなれば、「自分自身の存在意義を明確化し、存在意義で差別化しよう」ということです。
例えば、天明先生のお話の中で、とある女性社労士さんのお話が出ました。
その女性社労士さんは、ご自身が発達障害をお持ちだそうです。
しかし、障害をお持ちだからこそ、「”障害者の雇用斡旋”こそが、自分の存在意義だ」と明確化できたのだと言います。
このように、Whyが明確になると、自然と利他の方向に進むようになります。
これが、人間力を高めることにもつながっていくのです。
なお、「Whyから始めよ」については、以下の記事でも扱っていますので、参考にしていただければと思います。
>> ホームページ集客だけに囚われないで!など、強み発見や高単価化のコツ×5
(2)忘れられた「家族」の絆を取り戻す
2つめの原点は、「家族」です。
天明先生のお話の中で印象的だったのが、家族に関する話題がとても多い、ということでした。
「最近の日本は、家族を意識することが減ってきている」と言われます。
家族のつながりを取り戻すことは、個人個人にとっても、社会全体にとっても、非常に大事なことです。
家族のつながりが希薄になることによる弊害と、その解決策についてご紹介します。
例:先代(父)と2代目(子)が上手く行かないケース
先代(父)と2代目(子)の間の、事業承継について考えてみましょう。
先代は、事業を立ち上げるほどの大きなエネルギーを持っています。
いけいけドンドンで会社を成長させ、大きくしていきます。
反面、家庭をかえりみず、仕事にのめり込んでしまう節もあります。
2代目は、仕事にのめり込んでいる先代(父)を見て育ちます。
「お父さんは、家族のことはいつも後回しだ。自分は、そんな父親には絶対にならない。」
このように、ある意味、先代を反面教師にして成長していきます。
このような状態で、会社の財産や、経営理念などを相続しようとしても、それは無理な話です。
そもそも、大元の部分で仲が悪いからです。
先代と2代目が理解し合えていないのに、財産などの表面的なものだけ引き継げるはずがないのです。
では、どうすればいいのか?
天明先生は、「家系図」に、そのヒントが隠されていると言います。
「家系図」が、家族のつながりを取り戻す
家系図を作ることで、家族のストーリー(背景)が分かるようになります。
例えば先ほどの、先代と2代目の事業承継の例で言うと、先代(父)も、仕事にのめり込むようになった原因があるのです。
その原因の多くは、先代と、先代の両親との関係にあります。
人間は、良くも悪くも、両親の影響を色濃く受けます。
だからこそ、家系図を作ることで、「なぜ父がこうなったのか?」のストーリーが理解できるようになるのです。
先代(父)の背景が分かれば、先代を理解できるようになります。
ある意味で、「お父さんも、家系の影響を受けた被害者だったんだ」と気付くことができます。
この理解によって、先代への信頼・尊敬が生まれます。
結果的に、事業承継が上手くいくのです。
財産の相続よりも、”徳”の相続
天明先生は、このお話を通じて、「財産の相続よりも、”徳”の相続が大事だ」と繰り返していました。
家族仲良く、和する事が大事なんだ、と。
だからこそ、家系図を作って、家系を知ることが大事なんだ、と。
ちなみに、天明先生は、家系図の大切さを伝えるために、以下の書籍も出版されています。
なぜ、うまくいっている会社の経営者は、ご先祖を大切にするのか
この本の見開きには、以下のような一文があります。
それを真摯に受け入れ、見つめることによって、人間性が高まり、仕事も人生も好転するようになっていく。
興味のある方は、ぜひご覧頂くことをお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
- (1)人間力を高めること(全体最適化を目指す、自身のWhyを明確化する)
- (2)家族のつながりを取り戻すこと(家系図で自身のルーツを紐解く)
天明先生の話をお聞きして、この2つは、まさに仕事と人生の原点だと感じました。
私も、今回お聞きしたお話を胸に、日々精進していこうと思います。
編集後記:天明茂先生について
天明茂先生は、TKCで管理会計を教えるなど、税理士・会計士業界ではとても有名な方です。
昭和17年東京都生まれ。
明治学院大学卒業後、(株)日本コンサルタントグループを経て一般社団法人日本創造経営協会に所属。
昭和55年よりTKC出版主催の研修会講師、中小企業大学校各校講師を務める傍ら、行き詰った企業の再建・経営計画策定指導・講演活動などに携わり、平成9年から宮城大学に奉職する。
現在、公認会計士、事業構想大学院大学教授、東京国際大学客員教授、宮城大学名誉教授、NPO法人全日本自動車リサイクル事業連合理事長、あおもり立志挑戦塾塾長、宮城県多賀城市行財政経営アドバイザー。
天明先生が主催されている人間力大学校では、職務能力だけにとどまらない”人間力”に力を入れ、次世代の経営層を育成されています。
ご興味ある方は、ぜひ以下のサイトをご覧ください。
天明先生、この度は貴重なお時間をありがとうございました!
そして、ご縁を繋いでくださった、ザメディアジョングループ代表:山近繁幸様にも、心から感謝申し上げます。
あわせて、以下の記事もよく読まれています