- Google検索で「行政書士 やめとけ(食えない、稼げない)」という予測検索が出てきた
- 行政書士という道を選んだけど、このままで大丈夫…?
もしあなたが、上記のように不安に思われているなら。
この記事が、その不安解消のお役に立てると思います。
士業専門Web集客コンサルタントの、大林亨輔(おおばやし こうすけ)です。
せっかくあなたが選んだ、行政書士という道。
なのに、「やめとけ」なんて横槍を入れられたら、不安になるのは当然だと思います。
私も、大学卒業と同時に起業しようとしたときには、周囲に「やめておいたほうがいい」と何度も言われました。
だからこそ、その不安なお気持ちは、よく分かります。
そこで今日は、行政書士が「やめとけ・食えない」などと言われる理由と、その解決策をご紹介します。
この記事を読むことで、「行政書士はやめとけ、って言われてるけど大丈夫?」という不安が払拭され、今なにをすべきなのか?が見えてきますので、ぜひ最後までお読みくださいね。
動画での解説はこちら
「やめとけ」と言われる理由×8
まずはじめに、行政書士の現実の年収や廃業率のデータをご紹介します。
このデータについて、以下に分かりやすく解説させて頂きます。
(1)現実の年収(中央値)は「400~450万円」
行政書士の平均年収は、以下のデータのとおりです。
MS-Japanのデータから、以下のことが分かります。
- 年収「600万以上」が、合計37%
- 「1000万以上」は、9%
- 平均年収は、537万円
これを見る限りだと、「食えない」わけではないように思われますね。
もう一つ、参考になるデータとして、「年齢ごとの平均年収と、行政書士の平均年収の比較」をご紹介します。
年齢ごとに比較すると、「~29歳」「30~34歳」では、行政書士は世の中の平均年収よりも低くなっています。
ただ全体的には、「決して、行政書士の年収が極端に低いわけではない」と言えそうです。
(上述の通り、年収1,000万円以上の行政書士さんもいるわけですからね)
しかし、1つ注意点があります。
それは…
「平均年収」は、「現実の年収」とイコールではない
先ほどのデータで、「行政書士の平均年収は537万円」とお伝えしました。
ただ、これはあくまで「平均値」です。
「平均年収が537万円」というのは、必ずしも、「行政書士の多くが、年収537万円を稼げている」とイコールではありません。
以下は、厚生労働省が出しているデータです。
このデータを見ると、行政書士の年収の中央値(データを少ない順に並べた際に、中央に位置する値)は、「400万円程度」と考えられます。
これはつまり、「一部の高所得を得ている行政書士が、平均値を引き上げている」ということを意味します。
日本行政書士会連合会のアンケート調査から中央値を推測
実際、日本行政書士会連合会が、3,084人の行政書士を対象に行った調査によると、年間売上高500万円未満と回答した人が2,370人(76.8%)と最も多い結果になっているようです。
年間売上高 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
500万円 未満 | 2,370 | 76.8% |
1,000万円 未満 | 330 | 10.7% |
2,000万円 未満 | 146 | 4.7% |
3,000万円 未満 | 57 | 1.8% |
4,000万円 未満 | 22 | 0.7% |
5,000万円 未満 | 19 | 0.6% |
1億円 未満 | 33 | 1.1% |
1億円 以上 | 17 | 0.6% |
未回答 | 90 | 2.9% |
合計 | 3,084 | 100% |
※参考:日本行政書士会連合会「令和5年 行政書士実態調査集計結果」
上の表を、分かりやすいようにグラフにしたものが、以下です。
上記のデータは、「売上高」のアンケート結果ですので、「現実の年収」は、経費を差し引いた分、少なくなります。
仮に、経費率を20%だとすると、売上高500万円から20%を差し引いて、「約400万円」が現実の年収に近い数字であると考えられます。
このことからも、「一部の高所得層が平均値を引き上げている」ことが見て取れます。
つまり、「平均年収537万円」というのは、リアルな数字ではないということです。
日本全体の年収の中央値と比較すると
なお、参考として、日本全体の年収の中央値と比較してみましょう。
日本全体の年代別(20代~50代)年収(中央値)
年齢 | 年収(中央値) |
---|---|
20代 | 330万円 |
30代 | 400万円 |
行政書士 | 400万円 |
40代 | 450万円 |
50代 | 500万円 |
※参考:doda「正社員の年収中央値は?男女別・年齢別・都道府県別にも解説」
上記のように、行政書士の年収の中央値は、「30代の年収」にかなり近いことが分かります。
これが多いか?少ないか?は、個人の感じ方の差もあるかと思いますが…
人によっては「せっかく頑張って行政書士試験に合格して独立開業したんだから、もっと高い年収がほしい」という方もいらっしゃるかもしれません。
これが、「やめとけ」「食えない」と言われる1つの要因となっている可能性があるかと思います。
(2)行政書士の廃業率は「3%前後」。しかし…
よく、「行政書士の3年以内の廃業率は9割」のように言われることがあります。
これは、本当なのでしょうか?
調べてみたところ、「行政書士の廃業率は9割」という数字には、明確な根拠は見つかりませんでした。
総務省が出している数字をもとに、計算してみましょう。
以下は、総務省が出しているデータ(令和4年度のもの)です。
この表だけだと分かりづらいので、大事な数字だけ以下に抜き出します。
試験合格者のみ | 全体(弁護士、税理士など含む) | |
---|---|---|
年度当初における登録者数 | 36,218 | 50,286 |
廃業者数(死亡などは含まない) | 1,054 | 1,592 |
廃業率 | 約2.91% | 約3.16% |
上記の廃業者数は、「第1項第2号該当者:つまり、実際に廃業届が出された人数(死亡などは含まない)」を示しています。
上記のように、行政書士の廃業率は、実際には「3%前後」と計算できます。
それなのに、なぜ行政書士は「やめとけ」「食えない」のように言われるのでしょうか?
廃業届は出していないが、苦しい…
前述の廃業率(3%前後)は、「廃業届を出している事務所数」をもとに算出しています。
つまり、「廃業届は出していないが、売上が厳しい」という状況は、数字に入っていません。
また、先ほど行政書士の平均年収をご紹介しましたが、これはあくまで「平均」です。
例えば、「399万円以下」の中には、極端な話、売上ゼロ、という事務所が含まれる可能性もあるのです。
このような、「廃業届は出していないが、売上が厳しい」という状況もあることから、「やめとけ」「食えない」と言われている可能性はあると考えられます。
なお、こちらについては、以下のブログ記事でも詳しく解説しています。
>> 行政書士の廃業率9割は嘘。廃業しましたブログに見る、原因と解決策
(3)行政書士の登録者数が多い
行政書士の個人の登録者数は、令和6年4月1日時点で「51,619人」います。
※日本行政書士会連合会のデータより
ライバルが多いということは、「顧客の奪い合いになる」ということでもあります。
マーケティングや営業力が不足していると、「仕事がない」「仕事が取れない」ということにもなりかねません。
(4)スポット業務依存になると苦しい
行政書士の業務には、スポット業務が少なくありません。
例えば、「会社設立の手続きをやって、終わり」のようなイメージです。
売上は、以下の3つの要素の掛け算で決まります。
売上を決める、3つの要素
スポット業務(1回の手続き)で終わってしまうと、「客数×単価だけで勝負しなければならない」ということです。
そうなると、常に新規を追い続けなければいけなくなり、いずれ疲弊してしまいます。
これを防ぐには、継続や紹介につながるように工夫する必要があります。
例えば、入管業務(ビザ申請)は、継続や紹介につながりやすい業務だと言えます。
「就労ビザを取得した外国人が、家族を日本に呼びたい」など、他のビザに派生する可能性があるからです。
(5)AIやIT技術に仕事を奪われる
野村総合研究所のデータによると、「日本の労働者の仕事のうち、49%が、AIやロボットに代替されてしまう」と言われています。
行政書士の仕事でいうと、単純な書類作成などの業務(いわゆる、定型業務)は、AIやIT技術に置き換えられてしまう可能性が高いでしょう。
今でもすでに、「freee会社設立」など、IT技術を駆使したサービスが拡大していますよね。
ただ、実際にすべての業務が奪われてしまうのか?というと、そうではないでしょう。
なぜかと言うと、「行政書士の仕事は、書類を作成するだけ」ではないからです。
例えば、許認可申請の手続きを考えてみても、書類作成以外に、以下のような業務が必要になります。
- 顧客との相談、ニーズの見極めや、解決策の提案
- 行政庁の担当者との調整
- 関係機関と打ち合わせ
こういった「コミュニケーション」が欠かせないため、AIにできない価値を提供していくことができれば、行政書士にも将来性があると言えるでしょう。
(6)就職が難しい
求人ボックスのデータによると、各士業の求人数は、以下のようになっています。
各士業の求人数(東京都)
- 税理士:24,314 件
- 弁護士:14,156 件
- 行政書士:2,251 件
※本記事執筆時点の数字です。
このように、行政書士の求人数は、他士業に比べて、7~10分の1くらいしかありません。
弁護士、税理士、司法書士などは、どこかの事務所に入って経験を積むことが多いものです。
しかし行政書士は、他士業に比べて、求人が多くありません。
就職が難しいため、自分で学び、実務経験も積んでいく必要があります。
逆に言えば、最初から独立開業を目指している人には、特にデメリットにはならないでしょう。
(7)試験の難易度が高い(が、資格だけでは稼げない)
行政書士試験は、資格試験の中でも、難易度が高めです。
数字で見る、行政書士試験
- 合格率:例年10%~12%程度(BrushUP学び、より)
- 勉強時間:独学で1,000時間。予備校や通信講座を利用するなら500~600時間(行政書士資格を取るならフォーサイト、より)
- 合格者の平均受験回数:約2.4回(アガルートアカデミー、より)
難易度が高い理由としては、以下のものが挙げられます。
行政書士試験の難易度が高い理由
- 試験範囲が広い(基礎法学、憲法、民法、商法・会社法など)
- 法律知識のみならず、実務知識も必要
行政書士試験合格に必要な勉強時間が800時間ということは、仮に1日2時間勉強したとして、400日間。
ほぼ1年以上を試験勉強に費やすことになります。
それだけの時間を試験勉強に投資したとしても、「資格を取った=稼げる」というわけではありません。
資格を取った段階では、ある意味、「やっと、行政書士という商品を売れるようになった」段階とも言えます。
つまり、商品を手に入れたそこからが、真のスタートなのです。
商品を手に入れたからと言って、勝手に売上があがるか?というと、そんなことはありませんよね。
行政書士という商品の「売り方」を知らなければ、いくら資格があっても、お客様には恵まれないのです。
このような「資格を取るのが大変だけど、それだけでは稼げない(タイパが悪い?)」ということも、「やめとけ」「食えない」と言われる理由になっているように考えられます。
(8)世の中には、そもそもネガティブな情報のほうが多い
世の中にある情報は、以下の3種類に分類できます。
- ポジティブな情報
- 中立な情報
- ネガティブな情報
実はこのうち、一番多いのは、ネガティブな情報なのです。
以下のデータでも、ネガティブなニュースは、ポジティブなニュースの2倍以上あると言われています。
これは、国際報道におけるニュースの割合ではありますが、他の情報についても、ある程度同じ傾向があるものと思われます。
(テレビのニュースでも、ネガティブな内容が多いですよね)
人間は、脳科学的にも、ネガティブな情報に反応しやすいと言われています。
そのほうが、危機感を抱くことができて、生き残る可能性が高まるからです。
しかし、情報が溢れている今の時代、この脳の仕組みが、逆効果になってしまっているようにも感じます。
- スマホやネットニュースなど、ネガティブな情報がどんどん入ってくる
- 常にオンラインなので、休むことなく情報に振り回されてしまう
このような悪循環になっているのではないでしょうか?
- ネガティブな情報は、ポジティブな情報よりも2倍以上多い
- 人間の脳は、そもそもネガティブな情報に反応しやすい
こういったことから、行政書士業界のネガティブな部分が注目されてしまい、その結果、「やめとけ」「食えない」と言われている可能性があります。
平均は気にしない。結局は「本人次第」
ここまで、「やめとけ」「食えない」と言われる理由などを考察してきましたが…
ここまでの話は、あくまで「データ」であり「平均」の話です。
決して、「あなたの将来性」を正確に表しているわけではありません。
(こんなことを言うのはアレですが)
結局、稼げるか稼げないか?は、「本人次第」なのです。
これは、行政書士に限らず、どの業界でも同じです。
どの業界にも、廃業してしまうところもあれば、不況の中でも右肩上がりで成長しているところもあります。
では、その違いはどこにあるのか?というと、一番大きい違いは「安定して集客できているか?」にあります。
倒産理由の7割以上が「集客不足」
実際、中小企業庁のデータによると、行政書士を含む中小企業の7割以上(73.02%)が、「販売不振(つまり、集客不足)」が原因で倒産しているのです。
ここからも分かるように、「集客・マーケティングは、生命線」なのです。
前述の通り、行政書士試験の勉強を頑張って、独立開業しても、そこがスタートライン。
一般的に800時間が目安と言われる行政書士試験の勉強時間ですが、顧客獲得できなければ、試験勉強の努力も水の泡なのです。
- どんなに試験を頑張ったとしても
- どんなに良いサービスでも
- どんなに効率的に仕事しても
- 代表者の人柄がどんなに素敵だとしても
顧客を獲得できなければ、潰れてしまうのです。
そこに例外はありません。
逆に言えば、「集客」できれば青天井
これを逆に言えば、「集客・マーケティングを勉強すれば、青天井で売上を伸ばしていくこともできる」ということです。
だからこそ私は、行政書士をはじめ、士業の先生向けに、集客やWebマーケティングの情報を発信しています。
特にこれから独立開業される場合には、行政書士は自宅開業してマーケティングのためのお金と時間を生み出すことを強くお勧めします。
実際、当社のクライアントには、独立開業して数年で年収1,000万円を超えた行政書士さんもいらっしゃいます。
こういった先生を見ても、本当に「本人次第」だと感じます。
行政書士の「年収1,000万円超え」の割合は、一般の「1.76倍」!
年収1,000万円超えの割合を比較すると、以下のようになっています。
- 行政書士:9.5%
- 一般:5.4%(国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」より)
つまり、「行政書士は、年収1,000万円を超える割合が多い(一般の約1.76倍)」ということです。
すごく希望の持てる数字ではないでしょうか^^
正解の道を選ぶのではなく、選んだ道を正解にする
私が好きな言葉に、こんなものがあります。
正解の道を選ぶのではなく、選んだ道を正解にしていこう。
フランスの女優のブリジット・バルドーさんの格言「大切なのは、どの道を選ぶかより、選んだ道をどう生きるか」を元にした言葉だと言われています。
私自身、起業して10年以上が経ちますが、「正解の道を選ぶことはできない」と感じています。
世の中の状況はどんどん変わります。
絶対的な正解の道なんて、どこにもないのです。
(そんな道があったら、皆そこを選びますよね)
だからこそ、「選んだ道を正解にしていく」こと。
これが一番大事なんだと、強く感じます。
せっかくあなたが選んだ、「行政書士」という道。
その道が正解になるように、私が発信している情報が少しでもお役に立てれば、とても嬉しいです^^
ぜひ一緒に、あなたが選んだ道を「正解」にしていきましょう!
なお、行政書士の集客ノウハウについては、以下のページでも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。