「どの強みを打ち出すべきでしょうか?」
こういった相談を受けることがあります。
今日は、この悩みを解決するヒントになればと思い、「どの強みを打ち出すべきか?」を考えるポイントをお伝えします。
すべてのマーケティングは、「顧客ありき」である
まず始めに。
今回の「どの強みを打ち出すべきか?」というお話に限らず、マーケティングでは、「顧客ありき」という考え方を、絶対に忘れないでください。
どんな対策を行う時にも、まず「顧客のニーズ・悩み」があり、そこから逆算して、「私はこんな強みがあります」「あなたのニーズに応えられます」「その悩みを解決できます」と伝えるべきなのです。
これは、マーケティングの大原則とも言えます。
どういうことか?
分かりやすく解説しますね。
(例)とある税理士さんの悩み(どの強みを打ち出すべき?)
これは、以前、とある税理士さんから受けた相談の事例です。
とある税理士さんから、こんな相談を受けました。
・自計化促進に力を入れている
・クラウド会計に力を入れている
・飲食店の勤務経験があり、飲食店の税務に詳しい
・30代の若手税理士なので、若い方とも話が合う
・コーチングもできる
これらのうち、どれを強みとして打ち出すか?悩んでいるんです…。
もしあなたが、このような相談を受けたとしたら、どれを打ち出すべきだとアドバイスするでしょうか?
結論。自分で考えずに、顧客に聞こう。
結論から申し上げますと、言葉がアレですが、実はこの問題は「考えても答えは出ない」なのです。
より正確に言うと、「顧客が何を求めているのか?」「どの強みが一番刺さるのか?」は、売り手側には判断できず、その答えを知っているのは顧客自身である、ということです。
そのため、どの強みを打ち出すか?は、顧客にアンケートを取ったり、ヒアリングして見極めるのがベストなのです。
「顧客に聞く」というと、すごく地味な印象を受ける方もいるかもしれませんが、ものすごく重要なポイントです。
実際に顧客に聞いてみると、自分が思いもよらなかった答えが返ってきたりするのです。
この「顧客に聞くことの重要性」を落とし込んでいただくため、一つ事例を紹介します。
(例)実績数ではなく、「雑居ビル」が強みだった!?
その法律事務所では、離婚相談をメインで扱っていました。
その事務所の代表弁護士Aさんは、自分自身の強みを「実績の多さ」だと思っていました。
確かに、周りの事務所と比較しても、負けないくらいの実績数があったのです。
ホームページでも、実績数の多さを謳っていました。
しかし、周辺のライバル事務所に押されて、集客が伸び悩んできてしまったのです。
そこで、これまでのお客様にアンケートを取ってみたところ、意外なことが分かったのです。
なんと、アンケート結果では、「この法律事務所が、雑居ビルの中にあったから」と書かれていたのです。
Aさんは、実績数が強みだと思っていましたが、実績数に惹かれて来所されたお客様は、ごく一部に過ぎなかったのです。
では、なぜ「雑居ビルにある」と、選ばれる理由になるのか?
よくよくお客様にヒアリングしてみると、「相談に来たことがバレにくい」という理由があったのです。
この地域のライバル事務所は、その建物1件が法律事務所、という作りになっていました。
一方、このAさんの法律事務所は、雑居ビルの3階に入っていたのです。
雑居ビルの中のワンフロアであれば、雑居ビルに出入りしても、法律事務所に行ったかどうか?はバレません。
「美容室に行っていたのよ」など、言い訳ができるからです。
しかし、1軒屋の法律事務所だと、そこを出入りしていたら、すぐにバレてしまいます。
離婚相談に来た人からしたら、ママ友に「あらやだ、鈴木さんたら、弁護士さんに相談しに行ってるんですって。離婚かしら?(ヒソヒソ)」のように、バレてしまうのは絶対に割けたいのです。
この、「雑居ビルだからバレにくい」という強みをホームページで打ち出したところ、問合せが増えたのです。
このように、「自分は、この強みが刺さる!と思っていたのに、顧客が求めていたのは別のものだった」ということは、よくあります。
これはもう、売り手側が考えてもわからない部分ですよね。
だからこそ、顧客に聞きましょう、ということなのです。
「顧客から、ニーズや悩みを聞き出す方法」×2
そうは言っても、「どうやって顧客のニーズや悩みを聞き出せば良いんだろう?」と悩まれる方もいらっしゃると思います。
そこで、「顧客から、ニーズや悩みを聞き出す方法」を2つ、ご紹介します。
- (方法1)既存客にヒアリングする or アンケートする
- (方法2)見込み客にヒアリングする or アンケートする
順番に解説しますね。
(方法1)既存客にヒアリングする or アンケートする
最も確実なのは、「(1)既存客にヒアリングする or アンケートする」ことです。
既存客に、「数ある事務所の中から、なぜ当事務所を選んでくださったのでしょうか?」とヒアリングしてみてください。
すると、「あなたが選ばれる真の理由(つまり、あなたの最大の強み)」が見つかりやすくなります。
例えば、先ほどの税理士さんの例を思い出してみましょう。
先ほどの税理士さんは、
- 自計化促進に力を入れている
- クラウド会計に力を入れている
- 飲食店の勤務経験があり、飲食店の税務に詳しい
- 30代の若手税理士なので、若い方とも話が合う
- コーチングもできる
という、5つの特徴がありました。
しかし、どれを打ち出すべきか?判断できない。
この時に、既存客に「数ある事務所の中から、なぜ当事務所を選んでくださったのでしょうか?」と聞いてみるのです。
その答えを聞いて、打ち出す強みを決めれば良いのです。
例えば、「自分で経理ができるようになれば、数字が読めて、経営に役立つと思ったから」と言われたら、「自計化促進」をメインに打ち出せばいい、ということです。
他にも例えば、「飲食での経験があるということだったので、飲食店をやってる自分にピッタリだと思った」と言われたら、「飲食店の勤務経験がある」という部分をメインに打ち出せばいい、ということです。
場合によっては、「飲食店専門の税理士」という打ち出し方もありかもしれませんね。
このように、顧客に聞くことによって、自分が打ち出すべき強みが分かってくるのです。
ベストなのは、ヒアリングすること。
なお、アンケートの方が確かに手間は減るのですが、アンケートだと、既存客の本音を聞き出せないことが結構あります。
そのため、基本的には、ヒアリングすることをお勧めします。
ヒアリングは、対面でも、電話でもOKです。
ヒアリングの方が、「それって、具体的にはどういうことですか?」など、より深掘りして聞くことが出来るので、相手の本音を聞き出しやすくなります。
これが1つ目の方法「(1)既存客にヒアリングする or アンケートする」です
(方法2)見込み客にヒアリングする or アンケートする
そして2つ目の方法が、「(2)見込み客にヒアリングする or アンケートする」というものです。
先ほどは「既存客に聞く」というお話でした。
確かに、既存客は一番いい判断基準になるのですが、開業したばかりだったり、これから開業する人は、既存客がいないわけなので、既存客にヒアリングすることはできないですよね。
そういった場合には、あなたの見込み客(お客様候補)の方にヒアリングしてみる、というのも1つの方法です。
例えば、あなたが税理士だとしましょう。
この場合、あなたが狙っている見込み客に近い人がいたら、「今、税務について悩んでいることってありますか?」「税理士を選ぶ時の決め手ってなんでしょうか?」と聞いてみるのです。
例えば、異業種交流会に参加したりして、見込み客に近い人がいたら、「ちょっとお伺いしたいのですが~」と聞いてみるとよいでしょう。
この時、相手に「会社の売上とかの数字をリアルタイムに把握したいんですよね」と言われたら、「クラウド会計に強い」という部分を打ち出すと良さそうだ、と予測できますよね。
他にも例えば、「年配の税理士さんだと気が引けちゃうから、同年代の方が話しやすいなぁ」と言われたら、「30代の若手税理士」という部分を打ち出したほうがいいかも、と予測できますよね。
このように、顧客に聞くことによって、自分が打ち出すべき強みが分かってくるのです。
少なくとも10人~20人くらいに聞こう
以上、2つの方法をご紹介してきましたが、「顧客に聞く」ことの重要性をご理解いただけましたでしょうか?
最初にお伝えしたとおり、「顧客に聞く」というのは、ものすごく地味な作業です。
しかし、非常に大事なポイントなので、ぜひ実践して頂ければと思います。
なお、1人2人くらいの回答だと、少なすぎて信頼性に欠けるので、少なくとも10人~20人くらいに聞くことをお勧めします。
ヒアリングで分かるのは、「強み」だけではない
そしてこれは、「どの強みを打ち出すべきか?」の判断だけでなく、あらゆることに使えます。
例えば、既存客に「どんなキーワードで検索してきましたか?」とヒアリングすれば、SEOやPPCで対策すべきキーワードが見つかります。
グーグルアナリティクスなどでは絶対に知ることができない、お宝キーワードが見つかることも多々あります。
また、「どんなサービスがあったら嬉しいでしょうか?」とヒアリングすれば、新商品の開発にも役立てることができます。
このように、すべてにおいて「顧客ありき」なのです。
顧客のニーズや悩みがあるからこそ、売り手側がどう行動すべきか?が決まるのです。
「コンセプトを作る」という考え方には、要注意
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今日のお話を簡単にまとめると、「いい意味で、自分で考えない」ことが大事だ、ということです。
売り手側の目線で考えても、顧客には刺さりません。
顧客ニーズは、顧客に聞くのが一番です。
ぜひ実践してみてくださいね。
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