PPC(リスティング広告)は、士業のWebマーケティングを行う上で、とても効果的です。
ただ、「広告費をかけるのはちょっと…」のような懸念から、しっかり活用できている方は非常に少ないと言えます。
そんな”食わず嫌い”にならないためにも、今日は、PPCのお話をします。
PPCとは?
PPCは、別名、リスティング広告と呼ばれることからも分かるように、広告の一種です。
クリックごとに課金されるので、PPC(ペイ・パー・クリック)と呼ばれています。
以下のような形で、検索結果の画面に表示されたり、色々なホームページ上にこのような形で表示されたりもします。
どの形態であっても、広告が見られるだけでは広告費は発生せず、クリックされることで広告費が発生するようになります。
クリックされると、あなたのホームページに誘導する事ができます。
これにより、ホームページのアクセスを増やすことができるのです。
PPCにより成功している事例
例えば、このデータを見て下さい。
このデータのこの部分が問合せ数のカウント数なのですが、PPC経由で1ヶ月で25件もの問合せが来ているのです。
しかも、PPCの仕組み上、メール問合せとスマホからの電話はカウントできるのですが、固定電話からの電話はカウントできないので、実際にはコレ以上の問合せがきている事になります。
ちなみに、これはグーグルだけのデータですが、この事務所は、この1ヶ月で、合計76件もの問合せを獲得できています。
もちろん、毎月かける広告費の量によって、問合せ数をコントロールしていくこともできます。
このように、正しく使いこなせれば、非常に集客に役立つのです。
なぜ士業にPPCが効果的なのか?
では、なぜPPCがなぜ効果的なのか?というと、士業にピッタリの特徴がたくさんあるからです。
ここでは、その中でも主なものをご紹介します。
- (1)多くのキーワードを狙える
- (2)すぐにアクセスアップできる
- (3)アクセスが安定する
- (4)地域を区切って勝負できる
- (5)検索結果以外からも集客できる
- (6)SEOとの相乗効果
- (最大のメリット)様々な配信手法が使える
この中でも、この最後の「様々な配信手法」というのは、非常に強力なポイントなので、ぜひ抑えておいて頂ければと思います。
順番に解説します。
(1)多くのキーワードを狙える
まず、一つ目のメリットが、「多くのキーワードを狙える」ということです。
士業業界では、1つのキーワードだけ狙っていてもダメで、複数のキーワードでアクセスアップしないと、アクセスが増えないのです。
なぜかと言うと、士業業界の検索キーワードは、1個1個の検索数が少ないからです。
そのため、たとえ1個のキーワードで上位表示できたとしても、そこから集められるアクセスが少なくなってしまうのです。
なぜ士業業界の検索キーワードは、検索数が少ないのか?と言うと、「士業は、他の業界と違って、必要とされる場面が限られているから」です。
例えば、歯医者さんや美容院は、多くの人が利用するサービスなので、検索数は多めです。
実際、検索数を調べてみると、
「札幌 美容室」:月間平均検索数4400回
「名古屋 美容室」:月間平均検索数2900回
「新宿 歯医者」:月間平均検索数1300回
のように、キーワード1個の検索数が、軽く1000回を超えます。
一方、これが士業業界のキーワードになると、例えば
「税理士 新宿」:月間平均検索数210回
「障害年金 名古屋」:月間平均検索数260回
「札幌 会社設立」:月間平均検索数70回
のように、1個1個の検索キーワードの検索数が明らかに少ないことがお分かりいただけるかと思います。
そのため、例えば「札幌 会社設立」のキーワードを狙ってSEOを行って上位表示できたとしても、そこから入ってくるアクセスは、あまり多くないのです。
SEOは、仕組み上、複数のキーワードを狙うのが難しい
PPCは、よくSEOと比較されますので、SEOとくらべて考えてみましょう。
結論から申し上げますと、SEOで複数のキーワードを狙うのは難しく、手間と時間がかかります。
SEOの仕組み上、1ページで複数のキーワードを狙うのは難しいのです。
例えば、トップページを「税理士 新宿」でも「税理士 池袋」でも「税理士 渋谷」でも上位表示させる、というのは、かなり難しいです。
一方、PPCは、広告なので確かに広告費はかかりますが、設定さえすれば、どんなキーワードにも広告を出すことができます。
なので、「税理士 新宿」でも「税理士 池袋」でも「税理士 渋谷」でも広告を出して、アクセスを集めることができるのです。
これは、SEOにはない、大きなメリットなのです。
このように、「複数のキーワードを狙える」というのは、士業にとって非常に大きなメリットなのです。
(2)すぐにアクセスアップできる
次のメリットが「すぐにアクセスアップできる」という点です。
PPCは、最短で、設定したその日に広告を出すこともできます。
つまり、PPCを始めたその日に問合せが来る、という可能性もあるわけです。
一方、SEOだと、半年~1年くらいかかってしまうこともあります。
気長に待てる人はいいですが、正直、問合せはできる限り早く欲しいですよね。
このように、PPCは、スピーディーにアクセスを集められるので、問合せ獲得に効果的なのです。
(3)アクセスが安定する
3つ目が、「アクセスが安定する」という点です。
SEOは、検索エンジンのアルゴリズム(検索順位を決めるルールのようなもの)が変わると、検索順位がガラッと変わったりします。
極端な話、昨日まで検索1位だったのに、今日は100位以内にも入っていない、という可能性もあるのです。
例えばSEOで、あるキーワードで上位表示されたとしても、その1つのキーワードに頼っていたら、そのキーワードの検索順位が落ちた時に、アクセスが激減してしまうのです。
これだと、アクセスが安定しないので、事務所の売上もアップダウンが激しくなってしまいます。
一方、PPCは、順位がコロコロ変わるということはありません。
また、先ほどお伝えしたように、複数のキーワードを狙えるので、1つがだめになっても、他のキーワードがカバーしてくれるので、いきなりアクセスが激減することもありません。
このように、安定性という意味でも、PPCはメリットがあるのです。
(4)地域を区切って勝負できる
4つめのメリットは、「地域を区切って勝負できる」というものです。
SEOの場合、ライバルは全国になります。
例えば、SEOで「会社設立 代行」というキーワードで上位表示させたい場合、東京にある事務所と、大阪にある事務所は、距離は遠いにも関わらず、同じキーワードを狙っているなら、検索結果上でライバル関係になってしまいます。
このように、SEOは、地域を区切るという概念がないので、全国相手に戦わなくてはいけないのです。
一方、PPCは、地域を区切って広告を出せます。
例えば、東京都新宿区にだけ広告を出す、千葉県千葉市にだけ広告を出す、ということもできるのです。
士業は、地域型のビジネスなので、基本的に事務所の周辺にのみ広告を出せればいいわけです。
なにも、全国相手に熾烈な競争に巻き込まれる必要はないのです。
地域を絞って広告を出せるので、費用対効果も高まりやすいのです。
(5)検索結果以外からも集客できる
5つめが、「検索結果以外からも集客できる」というものです。
SEOは、「検索エンジン最適化」と呼ばれることからも分かるように、検索結果にしか表示されません。
つまり、検索結果の画面からしか、アクセスを集められないのです。
しかし、多くの人にとって、検索している時間は極僅かなのです。
このデータは、博報堂が出している、一般的な人のウェブの利用時間の比較のグラフですが、検索が利用されているのは、全体のうち25%未満。
その他は、いろいろなホームページを閲覧したり、動画を見たりしているのです。
画像引用:http://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/corporate/pdf/HDYnews130520.pdf
このように、SEOだけだと、75%以上も機会損失している、とも言えます。
一方、PPCは、検索結果上だけでなく、いろいろなホームページ上に広告を出すこともできます。
例えば、このような感じです。
このように、多くの人が時間を使っている「ホームページ閲覧」の時間に広告を出せるのは、大きなメリットなのです。
(6)SEOとの相乗効果
6つ目は、「SEOとの相乗効果」です。
SEOは、正直、「上位表示してみないと、そのキーワードから問合せが来るのか?は分からない」という怖さがあります。
もちろん、問合せが来るであろうキーワードを調べ上げて対策するわけですが、その予測が100%当たることはありません。
なので、例えば、半年~1年かけてやっと上位表示できたとしても、結局問合せが来なかった、というケースもゼロではない、ということです。
これは非常に怖いですよね。
一方、PPCは、取り敢えずめぼしいキーワードすべてに広告を出し、その結果を分析することができます。
例えば、PPCはこのように、「どのキーワードで問合せが来たのか?」を測定できるのです。
このデータは離婚サイトのPPCのデータですが、「離婚したい」「離婚 弁護士」といったキーワードで問合せが2件ずつ来ていることがわかります。
これにより、問合せに直結するキーワードを見つけることができます。
そして、PPCで良いキーワードが見つかったら、そのキーワードでSEOを行えばいいのです。
こうすれば、問合せが来ることがわかった上でSEOを行うことになります。
ようするに、勝ちがわかった状態で対策できるので、失敗を減らすことができるのです。
このように、PPCは、SEOと相乗効果を発揮するので、先にPPCを行い、そこで実績が出たキーワードをSEOでも狙う、ということができます。
(最大のメリット)様々な配信手法が使える
それでは最後に、「様々な配信手法が使える」という点についてお伝えします。
ここでは、全部お伝えするとキリがないので、費用対効果が非常に高い「リマーケティング」という機能について解説します。
リマーケティング(ヤフーでは、サイトリターゲティングと呼ばれます)という配信手法とは、「ホームページに一度訪れた人に対して、狙い撃ちして広告を出す」手法です。
一度ホームページに訪れている人は、つまり興味があるということなので、非常に費用対効果が高いのが特徴です。
図にすると、以下のようなイメージです。
多くの人にとって、士業を探すシーンというのは、人生で何度もあるわけではありません。
例えば、離婚で悩んでいる人は、人生で10回も20回も離婚する、なんていうことは、ほとんどないですよね。
つまり、多くの人にとって、士業を探すのは、非常に稀なことなのです。
ということは、必然的に、「比較されやすくなる」ということでもあります。
ホームページに来たとしても、即決してくれないわけです。
この時に、あなたのことを覚えておいてくれればいいのですが、多くの場合、忘れられてしまいます。
しかし、リマーケティングを使えば、こう言った人だけをターゲットにして広告を出せるのです。
これにより、ホームページに再度訪れてもらうことができ、問合せにつながりやすくなるのです。
実際、以下のデータはリマーケティングのデータですが、月間11件もの問合せを獲得できており、なんと問合せ1件につき3243円という、非常に安い広告費で集客できているのです。
これは、非常に費用対効果が高いですよね。
こういった。数多くの効果的な配信方法を使えるのも、PPCの魅力なのです。
いかがでしょうか?
このように、PPCには、SEOでは実現できない数多くのメリットがあり、士業業界の特性ともマッチしているのです。
正直、これを使わない手はないと言えます。
PPCは2種類ある
ここまででも何度かお伝えしましたが、PPCは大きく分けると、
・検索広告
・ディスプレイ広告
の2種類があります。
簡単に解説します。
検索広告
検索広告というのは、この部分に表示される広告です。
例えば、「離婚 相談 弁護士」で検索された時に広告を出す、といった形で広告を出します。
キーワードに連動して出る広告なので、検索連動型広告、などとも呼ばれます。
検索広告は、このように「テキスト(文字)」で表示されます。
ディスプレイ広告
また、こういった、ホームページ上に表示されるのも、PPCの設定の一種です。
先ほどお伝えしたリマーケティングも、こう言った形で、、「ホームページに一度訪れた人に対して、狙い撃ちして広告を出す」ことができます。
ディスプレイ広告は、「テキスト(文字)」はもちろん、こういった「画像」でも表示させることができます。
画像も使えると、表現の幅が広がるので、これも反応を高めやすくなる理由にもなっています。
このように、
検索画面上に出る「検索広告」と、
ホームページ上に出る「ディスプレイ広告」という、
おおまかに2種類があります。
これらの設定を駆使して、費用対効果を高め、問合せが増えるよう運用を行っていきましょう。
どんなターゲットを狙えばいいのか?
士業がPPCで狙うべきターゲット層は、「今すぐ客」です。
ここで言う「今すぐ客」というのは、「すでに何かしらの悩みを抱えていて、それを解決するために検索してきている人」のことだと考えて頂ければ良いでしょう。
図で言うと、以下のようなイメージです。
PPCは、クリックされる度に広告費がかかります。(これを、クリック単価と呼びます)
せっかくなら、可能な限り早く、かけた広告費を上回る売上を手に入れたいですよね。
そのため、可能な限り購買意欲(依頼したい気持ち)が高い人にむけて広告を出したほうが、費用対効果が高まりやすくなります。
その一方で、やはり多くのライバルも今すぐ客を狙ってくるので、ライバル状況は強めと言えます。
クリック単価(広告が1回クリックされるごとにかかる広告費)は、オークション的に決まるので、ライバルが増えれば、それだけクリック単価も高騰します。
なので、ライバルが増えすぎると、広告費がかかりすぎてしまい、費用対効果が合わなくなることもあります。
(実際、交通事故や過払いと言ったジャンルのキーワードでは、1クリックあたり2000円以上の広告費がかかることもザラにあります。)
成約率は高めだが、その分、ライバルも同じように今すぐ客を狙ってくるので、ライバルも強め。
その結果、広告費が高騰してしまうことがある。
PPCは、この特徴を理解した上で使う必要があると言えます。
狙うキーワードとしては、例えば以下のような購買検索キーワードを狙うのがベターです。
- 相続 手続き 代行
- 離婚 弁護士 相談
一方、以下のような情報検索キーワードを狙うのは、PPCにはあまり向いていません。
- 会社設立 必要書類
- 遺言 書き方
せっかく広告費をかけて集客するのですから、購買検索キーワードを狙ったほうが費用対効果が高く、また、効果測定もしやすいのです。
よくいただく疑問
ここで、多くの方からいただく疑問についてお答えします。
弊社は、PPCの運用代行のサービスも行っていますが、比較的多くの方から質問されることがあります。
それは、
「広告は、クリックされないんじゃないか?自分はあまり広告を見ないから、PPCは効果が薄いんじゃないか?」
「PPCは、お金がかかるだけで、士業には効果がないって聞いたけど…」
といった質問です。
1つずつ、順番に解説していきます。
広告はクリックされるの?は完全な誤解
まず、「広告は、クリックされないんじゃないか?」
「自分はあまり広告を見ないから、PPCは効果が薄いんじゃないか?」といった疑問についてですが、
結論から申し上げますと、クリックされないなんていうことは全くありません。
PPCは、弊社ももちろん使っていますし、弊社のお客様も数多くの実績を出されています。
また、ホームページから費用対効果高く集客できている会社は、その多くがPPCを利用しています。
右肩上がりで成長中
実際、こちらのデータからもわかるように、ウェブ広告の市場は年々右肩上がりで成長し続けています。
なぜこんなに成長するか?と言うと、テレビのような、不特定多数をターゲットにした広告ではなく、検索キーワードや顧客の属性によって、ターゲットを絞って広告を配信できるからです。
ターゲットを絞って配信できるということは、費用対効果高く集客できる、ということでもあります。
他にもウェブ広告が優れている点はたくさんありますが、このように、ウェブ広告の市場が伸びているのは一目瞭然です。
スマホの登場により、更に加速
ウェブ広告の市場がどんどん伸びているのは、スマートフォンの普及も一つの要因です。
スマートフォンで検索すると、PPC広告はこのように表示されます。
パソコンよりも画面が小さいので、画面の大半を使って広告を見せることができます。
これにより、クリックを誘導しやすくなります。
このように、スマートフォンが普及している中、それと相性の良いPPC広告は、どんどん効果的に活用できるようになってきているのです。
インフィード広告など、よりコンテンツに馴染む広告形態が増加中
さらに、PPC広告は、世の中の流れに合わせて、どんどん進化しています。
例えば、「インフィード広告」という配信方法があるのですが、このように、記事の間にさり気なく広告が出てきます。
画像引用: https://promotionalads.yahoo.co.jp/online/infeed.html
見て分かるように、、一般のコンテンツに馴染むように広告形態が進化してきており、今後もますます進化し続けるでしょう。
消費者にとっても便利になっていくウェブ広告を、使わない手はないのです。
「PPCは、お金がかかるだけで、効果がないって聞いたけど…」
もう一つが、「PPCは、お金がかかるだけで、効果がないって聞いたけど…」という疑問です。
まれに、PPCは物販や一時的なキャンペーンに効果を発揮するもので、士業には向かない、といった誤解をしている人もいますが、それは非常にもったいないです。
これも、結論から申し上げますと、「上手く行かないのは、正しいやり方を知らないだけ」です。
弊社も、多くの方からPPCの相談を受けますが、その多くが、正しいやり方を知らないで運用してしまっています。
正しいやり方を知らなければ、効果が出なくても当然ですよね。
車だって…
例えば、車を運転することを考えてみて下さい。
車は、正しい使い方をすれば、とても便利な道具です。
しかし、間違った使い方をすれば、人を傷つけてしまうことにもなります。
他にも、例えば包丁だって、正しい使い方をすれば、とても便利な道具です。
美味しい料理を作るには、包丁は欠かせませんよね。
しかし、これも間違った使い方をすれば、人を傷つけてしまうことにもなります。
このように、世の中の道具やツールは、正しい使い方をすれば便利であり、間違った使い方をすれば危険なものなのです。
PPCだって
PPCも、これと同じです。
正しいやり方を知っていれば、集客に貢献してくれます。多くのお客様をあなたのもとに連れてきてくれます。
しかし、間違った使い方をすれば、お金だけどんどん消費し、なんの効果も得られなくなります。
すべて、使う人の腕次第なのです。
更に詳しいPPCの解説は、以下のページをご参照ください。
>> まだSEO対策だけやってるの?PPCと比較してメリットや違いを解説
>> リスティング広告(PPC)の運用のコツ10個 & 3つの心構え