「相続に特化したホームページを作りたいんですが」
「採用コンサルティングに特化して集客したいんです」
こういった、ホームページを特化したい!というご要望をお持ちの方は、結構多いと思います。
確かに、ホームページは、特定の業務に特化することで、集客力を高めることができます。
しかし、闇雲に特化すればいい、というわけではないのです。
今日は、「どんな業務に特化すればいいのか?」という部分について、詳しく解説します。
「治療系」と「予防系」
このお話をする上で、「士業のサービスの種類」という考え方が重要になってくるので、お伝えしますね。
実は、士業の扱う業務(サービス)には、
- 治療系サービス
- 予防系サービス
の2種類があります。
この2種類のサービスの違いを理解しておくことが、ホームページ集客を成功させる上で、とても重要になってきます。
歯医者を例に挙げると
ここでは、話をわかりやすくするために、歯医者(歯の治療)を例に挙げてお話します。
歯医者でたとえてみると、
- 治療系サービス = 歯の治療(虫歯の治療など)
- 予防系サービス = 定期検診
に当たります。
人間は、痛みがなければ行動しません。
例えば、ある人が、自分の歯を見たら、一部が黒くなっていたとしましょう。
見た感じ、明らかに虫歯だと分かっても、痛みを感じていない時は、多くの人は行動しません。
「今は特に痛みもないし、まぁいいか」と思ってしまい、歯医者に行くのも面倒なので、とりあえず放っておくのです。
しかし、いざ痛みが出てくると、人間は行動します。
近くの歯医者を検索して、予約して、治療してもらうのです。
このように、多くの人は、痛みが出てきて初めて行動します。
逆に、普段から予防(歯医者で言えば、定期検診)に力を入れている人は、ほとんどいません。
このように、世の中のサービスというのは、「予防系サービス」よりも、「治療系サービス」の方が、お客様にとって緊急度が高いので、売れやすいのです。
士業・コンサルタントも、考え方は同じ
そして、歯医者にかぎらず、士業のサービスも、考え方はまったく同じなのです。
士業のサービスにも、大きく分けると、予防系サービスと治療系サービスがあります。
そして、ホームページで集客すべきなのは、治療系サービスなのです。
士業業界の「治療系サービス」「予防系サービス」とは?
分かりやすいように、例をあげて、予防系サービスと治療系サービスの違いなどを整理していきます。
予防系サービス
まず、予防系サービスの特徴としては、
- お客様にまだ「痛み」がない
- 効果が分かりづらい
- 効果が得られるのが遅い
- 検索されづらい
というものが挙げられます。
お客様がまだ必要性を感じていないので、検索されづらいのです。
検索されづらいということは、イコール、ホームページでの集客が難しくなってくる、ということです。
代表的なサービスの例で言うと、例えば、
などは、予防系といえます。
(例1)社会保険労務士の顧問契約
例えば、社労士の顧問契約は、予防系といえます。
社会保険労務士の顧問契約で、労務相談にのったり、就業規則を整備したりするのは、将来的なトラブルを防ぐ意味があるので、予防に近くなります。
そのため、ホームページから直接、社労士の顧問契約を集客しようとするのは、難しくなります。
なお、社労士の顧問契約の獲得法については、以下のページでも解説していますので、合わせてご参照下さい。
>> 社会保険労務士がホームページで集客するための3ステップとは?
(例2)遺言作成
他にも、遺言作成のサービスも、予防系といえます。
遺言作成は、主に、被相続人が亡くなった後の、相続人同士のトラブルを防ぐ目的で作られたりするので、予防系といえます。
予防系なので、積極的に検索してくる人がおらず、集客しづらい傾向にあります。
(例3)コンサルティング系のサービス
また、各種コンサル系のサービスも、ものによりますが、予防系のものが多くなります。
もし、各種コンサル系のサービスを集客したいなら、先に「依頼のきっかけになる治療系サービスがないか?」を探したり、「治療系サービスに見えるように、見せ方を変えられないか?」といった工夫をする必要があります。
治療系サービス
一方、治療系サービスの特徴としては、
- お客様に「痛み」がある
- 効果が分かりやすい
- 効果が得られるのが早い
- 検索されやすい
というものが挙げられます。
お客様が、すでに必要性を感じていたり、効果がすぐに感じられて、分かりやすいサービスは、治療系サービスと言えます。
こういったサービスは、すでに需要が表面化しており、検索されやすいので、圧倒的にホームページで集客しやすいのです。
(例1)問題社員対応
例えば、問題社員の解雇サポートのようなサービスは、治療系です。
お客様は、すでに問題社員で悩んでいて、痛みを抱えている状態です。
ですので、検索されやすいですし、依頼に繋がる可能性も高くなるのです。
(例2)相続手続き
他にも、相続手続きも、治療系と言えます。
遺言と違い、相続手続きは、「被相続人が亡くなった後」のサービスです。
相続手続きをしなければ、相続人は困ってしまいますので、検索されやすくなります。
(例3)助成金申請
また、助成金申請のような、効果が分かりやすいサービスも、治療系と言えます。
効果が得られるのが早かったり、効果が分かりやすいサービスは、検索されやすいものです。
助成金申請は、単純に「返済不要のお金がもらえる」ので、お客様も積極的に検索しやすくなります。
以上が、予防系と治療系の主な特徴です。
一点、「税理士の顧問契約は、ホームページから直接集客できますか?」という質問が多いのですが、税理士の顧問契約は、ホームページから直接集客できます。
税理士の顧問契約は、社労士の顧問契約と違い、「会社に顧問税理士をつける」のが、一般的になっているからです。
なので、検索数も比較的多くなっており、ホームページから直接集客できるものになります。
あなたが集客したいのは、「予防系?」「治療系?」
さて、ここまででお話したように、あなたが集客したいサービスが
「予防系」なのか?「治療系」なのか?で、集客のしやすさが大きく変わってきます。
「治療系」であれば、ひねった考え方は特に必要ないので、
「検索数」と「ライバル状況」などを調べて、集客できそうならホームページ制作に進めばOKです。
一方、もしあなたが、集客したい業務が「予防系」なら、先に「治療系」を集客することをお勧めします。
具体例を挙げて解説しますね。
(例)社労士の顧問契約を獲得したいなら
例えば、社会保険労務士の顧問契約は、予防系サービスに当たります。
(労務相談にのったり、就業規則を整備したりするのは、将来的なトラブルを防ぐ意味があるので、予防に近くなります)
多くのお客様は、いきなり顧問社労士を探すことはほとんどありません。
お客様に、その時点ではまだ痛みがなく、顧問社労士の必要性を感じていないからです。
これは、社労士のサービス内容がうんぬんとか良い悪いとか、そういう話ではなく、ただ単に「顧客側が必要性を理解できていない」ということです。
そのため、HPから社労士の顧問契約を直接集客しようとするのは、少し難しくなります。
しかし、例えばある社長が、どうしようもない問題社員がいて、悩んでいるとします。
こういう場合には、なんとか解決したいので、急いで社労士の先生を探して、相談しに来ますよね。
その時に、まず提供すべきなのは、「問題社員の対策をする」という治療ですよね。
そして、治療を行っていく中で、「問題社員がいると、いかに大変なのか?」という痛みを十分にお客様に分かってもらいます。
このように、治療した後で、予防の提案をしていくのがベストなのです。
その上で、次のように提案するのです。
対処するのに、余計な費用や時間もかかりますし、何より精神的にダメージになりますよね。
こうしたトラブルを未然に防げるように予防しておかないと、また同じ悩みを抱えてしまいますよね。
就業規則を整備しておいたりすることで、こういった余計なトラブルは、未然に防げるものなのです。
将来のトラブルを未然に防げるように、予防の観点でお手伝いさせていただきますが、いかがですか?
このように、痛みがわかった後で予防系サービス(この場合は、顧問社労士)を提案されると、選ばれやすくなるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ホームページは、特定の業務に特化すれば、それだけ集客力が高くなりやすい傾向があります。
しかし、ここでお話したように、特化すると言っても、「予防系」はお勧めできません。
可能な限り、まずは「治療系」の集客を目指し、その後に「予防系」につなげていくことを考えてみてくださいね。
参考になれば幸いです。
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