PPC(リスティング広告)は、「初期設定をしたら終わり」というものではありません。
日々、運用改善を繰り返していくことで、費用対効果を高め続けていけるのです。
今日は、PPC(リスティング広告)の運用のコツと、あなたを成功に導く3つの心構えをご紹介します。
リスティング広告(PPC)を運用する際の、3つの注意点(心構え)
PPC(リスティング広告)のコツを解説する前に、広告運用をする上での3つの注意点(心構え)をご紹介します。
いくら操作をマスターしても、この心構えができていないと、継続的に成果を出せなくなります。
ぜひ、この3つを覚えておいてください。
(1)日々の結果に、一喜一憂しない
「PPCを出して3日経ったけど、問合せが増えない…」
このような不安を感じて、広告の設定をいきなり変えてしまったり、運用そのものをやめてしまう人がいます。
その不安も分からなくはないのですが、PPCは、いきなり結果が出るものではありません。
日々の改善を繰り返してこそ、費用対効果を高めていけるのです。
そのため、「日々の結果に、一喜一憂しない」という心構えが、とても大事になります。
少なくとも半年~1年は、根気強く改善に取り組んでいただきたいのです。
日々の小さな改善が、大きな成果につながっていくのです。
上図にもあるように、コツコツ改善していくことで、目標に近づいていけるのです。
PPCは、SEOに比べて、早期にアクセスアップが可能です。
しかし、Webマーケティングというものである以上、徐々に改善していきながら、費用対効果を高めていくものになります。
例えば、データを見ながら、以下のような判断をしていきます。
- どんなキーワードで反応が出やすいのか?
- どの時間帯の反応がいいのか?
- どんな配信方法が最適なのか?
もちろん、最適な運用方法は、ライバル状況や検索状況によっても変わってきます。
運用を開始して、データを収集していきながら、そのデータをもとに、コツコツと改善していくことが重要になります。
(2)すべてのマーケティングは、”テスト”である
マーケティング業界では、よく、「すべてのマーケティングは、”テスト”である」と言われます。
PPCやSEOなどのWebマーケティングもそうですが、マーケティングというのは、「絶対の正解があるわけではない」という、少し変わったものです。
ライバル状況などは常に変動していきますので、運用していく中で、
・上手くいったものは、より強化していく
・上手くいかないものは、改善を加える
・それでも上手くいかないものは、辞めて別の方法に切り替える
のように、テストを繰り返すように改善し、最適な方法を見極めていく、という流れで進めていくことが重要になります。
PPCの運用もこれと同じで、テストを繰り返すように改善を続け、費用対効果を高めていく、という考えで行いましょう。
(3)複雑な管理画面や、専門用語に怖気づかない
PPC(リスティング広告)は、運用型広告とも呼ばれる通り、日々の運用で結果に大きな差がつきます。
だからこそ、マメな改善が必要不可欠なのですが、ここで一つ、問題が出てきます。
それが、「管理画面が複雑」「専門用語が多い」ということです。
特に、初心者の方にとっては、どこを操作すればいいのか?も分かりづらいものです。
操作がわかりづらければ、当然、費用対効果を高めるのも難しくなってきます。
GoogleとYahooで、管理画面が違うので、これも運用を複雑にしています。
しかし、安心してください。
GoogleもYahooも、根本にある考え方は同じです。
操作方法も、一度自分で設定してみれば、徐々に身についていきます。
誰でも、最初は初心者です。
失敗しながら、トライアンドエラーで上手くなっていくものです。
ここでは、図解も用いて分かりやすく解説しますので、ぜひ活用してみてください。
PPC(リスティング広告)の運用のコツ:10個
では、具体的な運用のコツについて解説していきましょう。
ここでは、私がコンサルティングなどをする中で、比較的多い設定ミスを取り上げ、その改善策を解説します。
あなたも、ご自身の管理画面を見ながら、設定ミスがないか確認してみてくださいね。
※Yahooプロモーション広告は、スポンサードサーチ(検索広告)と、YDN(ディスプレイ広告)の2つのパターンでの操作方法を記載します。
(1)検索キーワードのマッチタイプは正しいか?
私が見る中で最も多いのが、「検索キーワードのマッチタイプの設定ミス」です。
マッチタイプとは、「キーワードをどのくらい拡張させるか?」の設定のことです。
この設定でミスしてしまうと、自分が意図としていないキーワードでも広告が表示されてしまい、費用対効果が下がってしまいます。
なお、検索キーワードのマッチタイプについては、以下の記事でもコツを詳しくまとめていますので、ご参照ください。
>> 【保存版】PPCキーワードのマッチタイプの違いと、お勧め設定を解説
Googleアドワーズ(旧)での設定方法
「キーワード ⇒ キーワード」と進み、該当のキーワードをクリックすると、マッチタイプを変更できます。
Googleアドワーズ(新)での設定方法
「キーワード ⇒ 検索キーワード」と進み、該当のキーワードをクリックすると、マッチタイプを変更できます。
Yahooプロモーション広告での設定方法
「キーワード」をクリックし、該当のキーワードをクリックすると、マッチタイプを変更できます。
Yahooプロモーション広告(YDN)での設定方法
YDNでは、検索キーワードのマッチタイプを設定する箇所はありません。
(2)広告文は、ターゲットに刺さる内容になっているか?
広告文は、PPC(リスティング広告)の費用対効果を決める大きな要因になります。
良い広告文は、クリック率が高まり、その結果、クリック単価(広告が1回クリックされた時にかかる広告費)が安くなります。
つまり、良い広告文が作れれば、少ない広告費でアクセスアップできる、ということです。
よくある失敗が、「事務所名が広告文に入っている」「曖昧な表現になってしまっている」などのケースです。
例えば、以下のような形です。
もし、「税理士 相続 相談」と検索された時に、以下のような広告文が表示されたら、どうでしょうか?
初めての人は、事務所名だけ見ても、その事務所が何をしてくれるのか?が分かりませんよね。
なので、事務所名を入れても、訴求力は高まりづらいのです。
また、「実績多数」「経験豊富」などの表現も、非常に曖昧です。
これも、より具体的に書かないと、訴求力は高まりませんよね。
これを改善することで、例えば以下のような広告文ができます。
「税理士 相続 相談」と検索した人は、先ほどの広告文と、この広告文の、どちらをクリックしたくなるでしょうか?
もちろん、後者ですよね。
このように、広告文ひとつで、反応が大きく変わってくるのです。
コツを少しおさえるだけで、全然違いますよね。
なお、広告文の作り方のポイントを、以下のページで解説しています。
こちらも合わせてご覧ください。
>> リスティング広告(PPC)の運用のコツ10個 & 3つの心構え
>> クイズの正解わかる?あなたの集客脳を鍛える広告ABテスト×3
Googleアドワーズ(旧)での設定方法
「広告 ⇒ +広告」をクリックすると、広告文を追加できます。
Googleアドワーズ(新)での設定方法
「広告と広告表示オプション ⇒ 広告 ⇒ +」をクリックすると、広告文を追加できます。
Yahooプロモーション広告での設定方法
「広告 ⇒ +広告作成」をクリックすると、広告文を追加できます。
Yahooプロモーション広告(YDN)での設定方法
「広告 ⇒ +広告作成」をクリックすると、広告文を追加できます。
(3)検索広告とディスプレイ広告は、別々のキャンペーンになっているか?
検索広告とディスプレイ広告は、広告の表示のされ方(性質)が違います。
検索広告は、その名の通り、検索結果に表示されます。
一方、ディスプレイ広告は、いろいろなホームページの広告枠に表示されます。
そのため、以下のような性質の違いが出てきます。
検索広告 | ディスプレイ広告 | |
---|---|---|
表示される箇所 | 検索結果 | いろいろなホームページの広告枠 |
表示回数 | 検索数に依存する | 検索広告に比べ、表示回数が非常に多くなる |
成約率(コンバージョン率) | 高め | 低め |
表示イメージ |
このように、性質が違うからこそ、別々のキャンペーンに分けて運用する必要があるのです。
同じキャンペーンにまとめてしまうと、改善が非常に難しくなってしまうからです。
あなたのキャンペーンは、検索広告とディスプレイ広告で、分かれているでしょうか?
チェックしてみてくださいね。
Googleアドワーズ(旧)での設定方法
「キャンペーン ⇒ +キャンペーン」をクリックします。
そして、検索広告を使う場合には「検索ネットワークのみ」を、ディスプレイ広告を使う場合には「ディスプレイネットワークのみ」を、それぞれ選べばOKです。
※最上部の「検索ネットワーク(ディスプレイネットワーク対応)」を選んでしまうと、検索広告とディスプレイ広告が混ざってしまうので、ご注意ください。
Googleアドワーズ(新)での設定方法
「キャンペーン ⇒ キャンペーン ⇒ +」をクリックします。
検索広告を使う場合には「検索ネットワーク」を、ディスプレイ広告を使う場合には「ディスプレイネットワーク」を、それぞれ選べばOKです。
Yahooプロモーション広告での設定方法
Yahooプロモーション広告は、もともと、スポンサードサーチとYDNで分かれているので、大丈夫です。
(4)除外キーワードは、マメに設定できているか?
PPC(リスティング広告)には、「除外キーワード」というものがあります。
除外キーワードとは、「この語句を含んだキーワードで検索された時には、広告を表示させないようにする」という設定のことです。
例えば、あなたが会社設立のホームページを持っている場合、「会社設立 自分で」というキーワードで広告を出しても、無駄ですよね。
「会社設立 自分で」というキーワードで検索する人は、おそらく「自分で設立したい」人であって、「設立代行を依頼したい」人ではないはずです。
この場合、除外キーワードに「自分」というキーワードを設定すればOKです。
こうすることで、「会社設立 自分で」というキーワードで検索されても、広告が表示されなくなります。
このように、除外キーワードをマメに設定することで、無駄な広告配信を抑えて、費用対効果を高められるのです。
Googleアドワーズ(旧)での設定方法
「キーワード ⇒ 除外キーワード ⇒ +キーワード」をクリックし、除外したい語句を入力すればOkです。
Googleアドワーズ(新)での設定方法
「キーワード ⇒ 除外キーワード ⇒ +」をクリックし、除外したい語句を入力すればOkです。
Yahooプロモーション広告での設定方法
「ツール ⇒ 対象外キーワードツール ⇒ +対象外キーワードを追加」をクリックし、除外したい語句を入力すればOkです。
Yahooプロモーション広告(YDN)での設定方法
YDNには、除外キーワードはないので、設定不要です。
(5)単キーワードばかり設定していないか?
キーワードには、単キーワードと複合キーワードの2種類があります。
違いは、それぞれ以下のようになっています。
単キーワード | 複合キーワード | |
---|---|---|
意味 | 単語1つで構成されるキーワード | 2つ以上の単語で構成されるキーワード |
検索数 | 多め | 単キーワードと比べると、少なめ |
成約率(コンバージョン率) | 低め | 高め |
キーワードの例 | 会社設立 障害年金 債務整理 |
会社設立 代行 障害年金 うつ 申請 債務整理 弁護士 相談 |
単キーワードは、検索数は多い傾向にありますが、成約率(コンバージョン率)は低くなりがちです。
一方、複合キーワードは、単キーワードと比べると検索数は少なめですが、成約率(コンバージョン率)は高めです。
そのため、なるべく複合キーワードを中心に設定したほうが、費用対効果は高めやすくなります。
Googleアドワーズ(旧)での設定方法
「キーワード ⇒ キーワード」をクリックし、単キーワードに偏っていないか?確認しましょう。
Googleアドワーズ(新)での設定方法
「キーワード ⇒ 検索キーワード」をクリックし、単キーワードに偏っていないか?確認しましょう。
Yahooプロモーション広告での設定方法
「キーワード」をクリックし、単キーワードに偏っていないか?確認しましょう。
Yahooプロモーション広告(YDN)での設定方法
YDNには、キーワード設定はないので、不要です。
(6)地域の設定は、正しくできているか?
PPC(リスティング広告)は、広告を配信する地域を指定できます。
例えば、あなたの事務所が北海道札幌にあるなら、札幌近辺に広告を出せればOKですよね。
沖縄に広告を出しても、費用対効果は低くなりそうなことは目に見えています。
地域ごとに反応が変わってくるので、「最初は狭めに設定して、徐々に広げてみる」のように、テストしてみることをお勧めします。
Googleアドワーズ(旧)での設定方法
「設定 ⇒ 地域 ⇒ +地域」をクリックし、広告を配信したい地域を選択すればOKです。
Googleアドワーズ(新)での設定方法
「地域 ⇒ ターゲット設定済み ⇒ 鉛筆マーク」をクリックし、広告を配信したい地域を選択すればOKです。
Yahooプロモーション広告での設定方法
「ターゲティング ⇒ 地域 ⇒ +地域を編集」をクリックし、広告を配信したい地域を選択すればOKです。
Yahooプロモーション広告(YDN)での設定方法
「広告グループ ⇒ 表示 ⇒ この設定の詳細を確認」をクリックします。
画面最下部の「編集」をクリックします。
その中の「地域」の箇所で、「設定する」を選択し、広告を配信したい地域を選択すればOKです。
(7)コンバージョン設定は、正しくできているか?
PPC(リスティング広告)では、コンバージョン設定は必須です。
コンバージョン設定をすることで、費用対効果を判断できるのようになるからです。
例えば、「どのキーワードがコンバージョンに寄与しているのか?」「どのキャンペーンの費用対効果が高いのか?」といった判断ができるようになります。
逆に、コンバージョン設定をしないで運用しても、効果的な改善は不可能です。
あなたの大切な広告費(お金)をムダにしないためにも、コンバージョン設定は必ず行っておきましょう。
Googleアドワーズ(旧)での設定方法
画面上部の「運用ツール ⇒ コンバージョントラッキング」をクリックします。
その後、「+コンバージョン」をクリックし、後は画面の指示に従って進めればOKです。
Googleアドワーズ(新)での設定方法
画面右上の3点マークをクリックし、その中の「コンバージョン」をクリックします。
その後、「+」をクリックし、後は画面の指示に従って進めればOKです。
Yahooプロモーション広告での設定方法
「ツール ⇒ コンバージョン測定」をクリックします。
その後、「コンバージョン設定 ⇒ +コンバージョン測定の新規設定」をクリックし、後は画面の指示に従って進めればOKです。
Yahooプロモーション広告(YDN)での設定方法
「ツール ⇒ コンバージョン測定 ⇒ +コンバージョン測定の新規設定」をクリックし、後は画面の指示に従って進めればOKです。
(8)デバイスごとの分析をしているか?
昔は、PPC(リスティング広告)の配信先は、PC(パソコン)のみでした。
しかし、技術革新のおかげで、今では、スマートフォンやタブレットにも、広告が表示されるようになっています。
デバイスごとに広告の効果が大きく変わってくる場合もあるので、デバイスごとの分析は必要不可欠です。
例えば、離婚や障害年金などのBtoC(個人向け)のサービスは、スマートフォンの方が圧倒的に費用対効果が高いケースもあります。
このように、扱っているサービス・商品の性質によって、反応に差が出ます。
デバイスごとの分析を必ず行うようにしましょう。
Googleアドワーズ(旧)での分析方法
「キャンペーン ⇒ 分割 ⇒ デバイス」をクリックすると、デバイスごとの反応が見れます。
Googleアドワーズ(新)での分析方法
「キャンペーン ⇒ キャンペーン ⇒ 画面右側の丸マーク ⇒ デバイス」をクリックすると、デバイスごとの反応が見れます。
Yahooプロモーション広告での分析方法
「キャンペーン ⇒ 表示 ⇒ デバイス」をクリックすると、デバイスごとの反応が見れます。
Yahooプロモーション広告(YDN)での分析方法
YDNでは、管理画面ではデバイスごとの分析ができないので、CSVでレポートを出力して確認します。
「レポート ⇒ パフォーマンスレポート ⇒ +新規レポートを作成」をクリックします。
以下のような画面が出てくるので、それぞれ以下のように設定し、「作成」をクリックすればOKです。
この手順で、CSV形式のレポートがダウンロードできるようになるので、CSVを見て分析しましょう。
(9)YahooとGoogleの両方で広告を出しているか?
Yahooプロモーション広告と、Googleアドワーズでは、広告が配信される箇所などが異なってきます。
そのため、「Yahooでは効果が低かったが、Googleでは効果が高い」といったことも多々起こります。
なので、Yahooプロモーション広告とGoogleアドワーズは、両方配信することをお勧めします。
両方使ってみて、費用対効果に差が出るようであれば、効果が高い方に広告費を集中させれば良いのです。
(10)結果が出ない間も、改善を繰り返せるか?
PPC(リスティング広告)は、運用して改善を繰り返してこそ、費用対効果を高めていけます。
「初期設定だけして、数ヶ月だけやって、効果が出ないからやめる」という人を見かけますが、これは非常にもったいないです。
キーワードや広告文を少し変えるだけで、費用対効果が一気に高まる、ということもあるのです。
最初からいきなり成果が出る!というケースは、稀です。
運用型広告とも言われているように、運用して改善を繰り返してこそのものなのです。
少なくとも半年~1年は、取り組んでみることをお勧めします。
まとめ:ローマは一日にして成らず
いかがでしたでしょうか。
PPC(リスティング広告)は、日々の改善こそが命です。
「ローマは一日にして成らず」という格言もありますが、まさにその通りなのです。
あなたも、日々の結果に一喜一憂することなく、淡々と改善を繰り返して頂ければと思います。
参考になれば幸いです。
なお、PPCについては、以下の記事でもポイントをまとめていますので、ぜひご覧ください。
>> PPC(リスティング広告)って何?な人もすぐ分かる!初心者向け解説
>> 士業向け。主要アクセスアップ対策の種類と特徴、使い分けのスベテ
>> リスティング広告の初心者向け:手堅く成果を出す2つの方法
>> リスティング広告の効果を高めるコツは「コンバージョンを前にずらす」こと
>> PPC(リスティング広告)の表示順位は何番目がいいの?一番上がベストではない理由